萩尾さんは36歳にして大きな会社を経営。富士吉田、南阿蘇の “水”を扱うビジネスを展開している。阿蘇山の広大な自然の中にある工場は、その村での誘致企業第1号。雇用も生まれ。地域への貢献も大きい。
「南阿蘇村に行って気づいたことがありました。畑があって、田んぼがあって、放牧されている牛がいて豚がいる。水から肉まで、口に入るものすべてが多分全部現地で作られているんですよね。現地のお水を吸った野菜やお米は現地のお水で作るのがやっぱり一番おいしい。お客さんにそういう価値を分かってもらいたいなと思っているんです。田舎の旅館に行って、現地で料理が出てきたら美味しいじゃないですか。それは親和性で、お水と食材との相性なんですよね」
水は基本。いい水のあるところにいいものができるんですね。
「すべての源だ、って言っている意味が分かります。体も3分の2が水だって言っているくらいですから。その3分の2の水を何で満たすかという価値観みたいなものって、意外と日本人って、これだけいい水があるのに知らないということを、まず届けたいですよね」
富士山、南阿蘇に続いていろいろな場所も考えているようですね。
「大きな山があるところに雨が降って水がたまっていく。だから日本って水の埋蔵量が世界でも有数といわれているんです。九州だったら阿蘇、中国地方だったら大山。次は島根の大山水系のお水を今年中に販売できるようにしたいと思っています。水は大事な資源なので地域の人はしっかり守りたいと思っています。だから現地のオーナーさんとしっかりした信頼関係を築いていくことが大事。熱意を伝えることしかないんですね」
これもひとつの地方創生の形ですね。
「水源先はだいたい過疎の地域なので、そういうところに産業を作るということは価値が高い。それをすることが地方創生につながると思います」
そんな萩尾さんの若さの秘訣は?
「僕は経営者としては若い部類に入っていると思うのですが、先輩たちを見ていて思うのは、やはりチャレンジをし続けているというところですよね。全然休む気配がなくて、常に新しいものを探していたり、この人はどこまでやるんだろうというくらい仕事をやられているので、そういう人たちに引っ張られています。僕らも早く追いつき追い越せで、僕らを見て、ああいうふうになりたいと思ってもらえる存在に少しでもなることが大事だと思っています。若さというかモチベーションですね」