リアル二刀流1年目で46本塁打、9勝、そして26盗塁
米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平が10月3日、今季レギュラーシーズン最終戦となるシアトルでのマリナーズ戦に「1番・指名打者」で先発出場した。第1打席で、9月21日のアストロズ戦以来11試合ぶりとなる46号ソロを放ち、逆転ホームラン王に望みをつなげたが第2打席は申告敬遠、第3打席は見逃し三振、第4打席は再び申告敬遠、第5打席はボール球を空振り三振に終わり、48本のサルバドール・ペレス(ロイヤルズ)とブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)に2本届かなった。
大谷の今季はリアル二刀流1年目。投手としては23試合に先発し、130回3分の1を投げて9勝2敗、奪三振は156個で9イニング換算だと10.7個。防御率は3.18で、規定投球回に達していないものの、両リーグで15位以内をマークした。
打では155試合に出場し、537打数138安打、打率2割5分7厘。本塁打46本は3位、三塁打は8本で1位タイ、二塁打は26本。100打点は18位。得点は103。三振は189、四球は96。
投打二刀流は20試合で、出場しなかったのは4試合にすぎなかった。走塁でも26盗塁を決めて8位につけた。シーズンで45本塁打、100打点、25盗塁を記録したのは1993年のボンズ(ジャイアンツ)らに次いで史上5人目だった。
大谷は日本選手初の本塁打王のタイトルへ向け、8月まで順調に本数を伸ばしたものの、終盤の9月に入り失速。一時は打点王との2冠さえ視野に入っていた。またベーブ・ルースが1918年に記録して以来となる「2ケタ勝利、2ケタ本塁打」の偉業もあと1勝でかなわず2022年シーズンに持ち越しとなった。
来季の大谷にはこれらの記録の達成が期待されるが、来オフにはさらなる大谷フィーバーが起こりそう。
大谷は2022年には契約が切れる。現在の契約は2021年から2年総額850万ドル(約9億4000万円)。内訳は2021年が300万ドル、2022年が550万ドル。だが、これは年俸調停を回避する形で結ばれたもの。大谷が本格的な契約交渉を繰り広げるのは2023年から。
しかも2023年オフにはFA(フリーエージェント)になる。メジャーに渡ったとき、大谷の最大の希望だった二刀流での出場を認めたことが、エンゼルスに決めたポイントだった。ヤンキースは難色を示したため合意に至らなかったとされる。だが「球団は間違っていたと判断したようだ。FAの際は二刀流を認めて獲得に動くだろう」(ITサイト「ニュージャージー・コム」)と変化している。
そんな噂が飛び交う中で大谷は今季本拠地最終戦後の9月26日に「エンゼルスは好きなチームです。ただそれ以上に、勝ちたいという気持ちが強いです」と発言。2014年を最後に7年もポストシーズンから遠ざかり、そのうち6度は勝率5割以下。2022年もオフによほどの補強をしない限り、ア・リーグ西地区の強敵アストロズを上回ることは難しく、ワイルドカードによる進出がやっとという状況に変わりはない。
マドン監督は「このチームを去りたいということは聞いたことがない。勝ちたいという気持ちは誰もが思っていることだ」と火消しに懸命。
CBSスポーツは「大谷がこのオフにエンゼルスと契約交渉を行うことに何の障害もない」として「金銭的にこだわるなら、年俸の規則がなくなる25歳までメジャーには来なかっただろう。早く来たのは最高のリーグでプレーし、そこで勝つことが最優先なのだ」と、大谷の気持ちを代弁した。
そうはいっても契約の金額は名選手の最大の指標。エンゼルスの最高給選手はマイク・トラウト外野手(30)で、メジャー最高でもある12年総額4億2650万ドル(約473億4000万円)で1年あたり39億円を超す。来季は投手・打者・走者に加え、外野守備にも就く大谷の契約金額が契約切れやFA、さらにトラウトも絡んでどこまでアップするか。
大記録と大型契約。大谷の2022年はこれまで以上に騒がしい1年になることは間違いない。