電力不足という新たな闘いを強いられた今年の夏もいよいよ後半戦。3・11以降、「脱原発依存」「縮減」などの言葉が飛び交いましたが、創意工夫も含めた皆さんの「節電」努力で、この夏は何とか乗り切れそうです。
MOTTAINAIの心が日本の底力です。
それでも電力不足の不安は変わりません。原子力発電に代わり、再び猛烈な働きぶりを見せているのが昔ながらの火力発電です。輸出済みのタイの火力発電所をそっくり奪い返したり、古い発電所に再度火を灯すなど、なりふり構わぬ対応ぶりです。それに企業の自家発電分が加わります。
肝心の燃料ですが、産油国であるクウェートが東日本大震災・津波のお見舞いとして500万バレルの原油を贈ってくれました。日本円で約450億円相当です。在京クウェート大使が、震災のお見舞いに党本部に来られた際、「わが国にお手伝いできることはないか」と尋ねられたので、「石油の一滴でも」と答えたこともきっかけとなったようです。
おりしも日本クウェート交流50周年の記念の年でもあります。せっかくの好意を風化させないため、8月初旬に国会の合間を縫って、サバーハ首長らに私なりの感謝の意を伝えてきました。
ちなみにこのアラブ出張の際、現在内戦状態にあるリビアにも足を延ばしました。反体制派の拠点となっているリビア第二の都市、ベンガジで暫定政府の幹部らにも会ってきました。
アフリカ最大の産油国であるリビアの反体制派には支援するNATO諸国やインド、中国などが各国の思惑とともに、次々に訪れています。日本は国内問題でもたつく民主党政権が外交にまで気がまわらないのか、3周遅れ状態。ここは与野党を越えて、日本の存在を確保しなければなりません。
石炭は二酸化炭素排出量が多く、その割合は石炭、石油、ガスの順に10:8:6となります。地球温暖化対策を考慮すれば、当然LNG(液化天然ガス)に注目が集まります。浜岡原発の停止要請(命令)を受けて、中部電力が最初に走ったのも、産ガス国であるカタールでした。豪州からのガス供給も安定的です。
一方、シェールガスという新たなガスの出現で、激変する世界のガス市場で窮地に立つロシアが日本をターゲットに売り込み攻勢をかけています。
エネルギーの世界は生き馬の目を抜く激烈な舞台です。さて、この国の活力を確実にするために、民主党代表候補者たちは、どんな戦略をお持ちなのか、ぜひとも聞いてみたいものです。
(自民党総務会長)