2月27日、安倍総理が急遽「全国の小中高校一斉休校」を決断したことにより、全国民が新型コロナウィルスに対する危機感を共有することとなりました。この決断に対しては、教育現場や子育て家庭(とりわけ、テレワークなどで対応できない職種に従事する共働きやひとり親家庭)から悲鳴が上がりました。もちろん、休校中の子ども達のケアや、正規・非正規にかかわらず子どものための休暇を選択した親御さんへの助成措置など、きめの細かい対応が求められます。
ただ、だからといって、政府に「休校要請」の撤回を求める野党の姿勢はいただけません。「市中感染」という目には見えない津波や洪水が差し迫っている中で、命を守るため避難勧告(この場合は、一斉休校の要請)を発するのはやむを得ず、しかも、総理の意図には国民に危機の切迫を知らせる「ショック療法」の意味が込められていたのではないかと考えます。
自己反省も込めて率直に言えば、それまでは、政府も国会も専門家もメディアも、新型コロナ禍に対する認識が甘かったのではないかと思います。残念ながら、「水際対策」という緒戦には敗北したと言わねばなりません。初動に失敗した以上、今後は「市中感染」を極力封じ込めることに「背水の陣」で臨むほかありません。
今後は、3月末までの正念場の期間において、日本の経済・社会の生き残りを図らねばなりません。新型コロナ禍との闘いで国民の協力を仰ぐ以上、政府が国民の生活を守り抜き、日本経済の反転攻勢を全面的に牽引する姿勢を鮮明にする必要があります。2008年、リーマン・ショックに直面した英国のブラウン首相(当時)は、国民に向かって「現在、家計で苦しんでいる全ての世帯に、我々が救済に乗り出す準備があり、あなた達の味方であることを理解してほしい」というメッセージを発し、17.5%だった間接税率を一年間15%に引き下げました。
ここは、わが国政府も、消費税減税にまで踏み込んだ大胆な「経世済民」策を打ち出す局面です。とくに、感染拡大防止策により打撃を受けた企業への緊急融資対応(個人事業主などには直接給付も)などに加え、10兆円を超える規模の国債を新規に発行し、それを財源として子育て家庭や就職氷河期の若者への重点支援、企業の研究開発投資のテコ入れなどは、停滞する経済・社会の再生に不可欠です。「ピンチはチャンス」と捉え、異次元の金融緩和と財政出動というアベノミクスの原点に立ち返り、なかなか果たせずにいたデフレからの脱却とともに日本社会の底割れを防ぐ迅速な行動が求められています。
(衆議院議員 長島昭久)