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年の初めは“よってたかった”落語家たちの豪華競演でスタート!

2018.01.11 Vol.702

よってたかって新春らくご‘18 21世紀スペシャル寄席ONEDAY

 毎回豪華出演陣で人気の「よってたかってらくご」シリーズ。今年の1発目もにぎにぎしいメンバーがそろった。昼の部は、古典・新作を自由に操る柳家喬太郎に、お茶の間でもおなじみの立川談笑、何が飛び出すかわからない春風亭百栄、そして独演会のチケットが即日完売の春風亭一之輔。夜の部は、新作落語の奇才三遊亭白鳥に、若き古典の名手柳家三三、とにかく明るい林家きく麿、ニコニコ笑顔で毒舌を炸裂させる三遊亭兼好、女性新作落語の旗手三遊亭粋歌が登場。どちらを選んでも、めでたい年始めになること請け合いだ。

【出演】昼:柳家喬太郎、立川談笑、春風亭百栄、春風亭一之輔ほか/夜:三遊亭白鳥、柳家三三、林家きく麿、三遊亭兼好、三遊亭粋歌ほか
【日時】1月27日(土)13時〜、18時〜
【会場】よみうりホール(有楽町)
【料金】全席指定 4100円
【問い合わせ】夢空間(TEL:03-5785-0380、平日10〜18時)

寄席で楽しむニッポンのお正月

2018.01.01 Vol.web Original

 今年の“笑い初め”は、正月の寄席で落語はいかが!?
 初めて行くにはハードルが高い…と思われる人も多いが、寄席の仕組みは実にシンプル。ふらっと行って、入り口でチケットを買い、あとは入ってただ楽しむだけ。正月は落語家たちの顔見世の意味もあり、短い時間に多くの落語家が出演するのでとってもにぎやか。他にも漫才、紙切り、奇術、曲芸などの色物が多く登場するので、寄席の楽しさを体験するにはもってこいだ。笑いにあふれた正月を満喫できること間違いなしの正月寄席をぜひ体験あれ! ※プログラムの名前は主任(トリ) 

寄席のプリンセスがネタおろしに挑む!「春風亭ぴっかり☆の落語Labo」

2017.12.22 Vol.701

 アイドル並みのルックスと歯切れのいい落語で人気の女流落語家春風亭ぴっかり☆。春風亭小朝に入門、二ツ目に昇進するや精力的に活動し、寄席以外のフィールドでも人気者に。「大人AKBオーディション」では最終選考まで残り、話題を集めた。しかし、やはりぴっかり☆が一番輝くのは、高座の座布団の上。見た目だけではなく、芸にも華と品があり、二ツ目とは思えないしっかりとした実力も持ち合わせている。「春風亭ぴっかり☆の落語Labo」は、毎回ネタおろしに挑戦する隔月開催の勉強会。ネタおろし2席にゲストが落語1席を披露。噺家が一番緊張するというネタおろしで、どんな落語を聞かせてくれるのか。

春風亭ぴっかり☆の落語Labo
【日時】12月26日(火)18時30分〜【会場】原宿アコスタディオ(原宿)【ゲスト】林家ひろ木【料金】2000円【予約・問い合わせ】春々堂(TEL:03-5447-2131)

落語と宝塚が異色のコラボ 元タカラジェンヌが落語に初挑戦!

2017.12.11 Vol.701

 TOKYO MXで毎週金曜日11時から放送中の人気番組「TAKARAZUKA CAFE BREAK」のスピンオフイベント『TAKARAZUKA CAFE BREAK presents〜「落語×宝塚」大湖せしるが落語に挑戦!』が11月22日、都内の会場で行われた。

 イベントでは、宝塚ファンとして知られる落語家の立川らく次が宝塚落語を披露し、元タカラジェンヌの大湖せしるが、人生初の落語に挑戦した。

【江戸瓦版的落語案内 】はてなの茶碗(はてなのちゃわん)

2017.12.05 Vol.699
 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

 京都の清水寺境内、音羽の滝のそばの茶店で品のいい老人が飲んでいた茶碗に目を止め、なにやらひねくり回すと、“はてな?”とつぶやき首をかしげ立ち去った。それを見ていた茶店の主人と、たまたま立ち寄っていた大阪から来ていた担ぎの油屋が色めき立った。実は先ほどの老人は、京都に店を構える茶道具商・茶屋金兵衛、通称茶金。茶道具や茶碗の鑑定では京都一の目ききで、金兵衛が目を止めただけで、その価格が何百倍にも跳ね上がると言われている。そんな金兵衛が首をひねったのだから、さぞかし値打ちのある茶碗に違いないと考えた。譲ってくれと迫る油屋に、絶対に譲らないという茶店の主人。

 すったもんだの末、油屋が半ば強引に茶碗を手に入れた。翌日、油屋はその茶碗を手に、茶金の店へ。対応に出てきた番頭が一瞥しただけで、“値打ちがないのでうちでは取り扱えない”と門前払い。 “そんなことはない、ぜひ茶金に取次ぎを”と押し問答していると、騒ぎを聞きつけた茶金が何事かと出てきた。番頭同様、値打ちがないという茶金に油屋は“昨日、音羽の滝のそばの茶店で、この茶碗をひねくり回し首をかしげていたじゃないですか”と話すと、思い出した様子。“ああ…あの茶碗でしたか。いや、穴も傷もヒビもないのに、水が漏るんですわ。それで、どうしてやろう…はてな?と…首をかしげたまでのこと”。

 がっかりと意気消沈した油屋に茶金は私の名前に三両出してくれたのだからと、その二束三文の茶碗を三両で買い取ってやった。この話を聞いた近衛関白殿下は、茶金が持参した茶碗を見て「清水の音羽の滝の音してや茶碗も日々にもりの下露」と歌を詠むとその短冊を付した。すると茶碗の値段がぐんと跳ね上がった。さらに、その噂は広がり、時の帝の耳にまで届いた。帝はその茶碗を見ると、“はてな”と箱書きし、下げ渡した。それにより、“はてなの茶碗”として、国宝級に昇格。ついには鴻池家の耳に入り、なんと千両で売れてしまった。茶金は油屋を探し出し、それまでの顛末を話して聞かせると、千両の半分の五百両を油屋に分け与えた。大喜びで帰った油屋だが、翌日数人の男たちと一緒に、何やら大きな荷物を持って、茶金の元へ。一体何事かと問う茶金に、「十万八千両の金もうけです」「何がや?」「今度は、水瓶の漏るのを持ってきた」

【お笑い】秋の夜長に、ダブルのホワイトが大暴れ!?

2017.11.18 Vol.700

三遊亭白鳥・桃月庵白酒ふたり会“Wホワイト落語会19”

 三遊亭白鳥、桃月庵白酒による“Wホワイト落語会”。名前にちなんだわけでもないが、色白でぽっちゃりとしたビジュアルが似ている2人。しかし、そんなホンワカした雰囲気にだまされてはいけない。白鳥は動物やUFOが登場するキテレツな新作落語で観客を惑わせ、かたや白酒はニコニコと笑いながら、会場から出たら絶対に他言できないような際どい毒舌を吐きまくる。まったく対照的な落語を聞かせる2人だが、なぜか不思議な化学反応で、どちらのファンもトリコになってしまうWホワイト落語会。何が起こるか分からない、先がどう転がるかわからないという落語会では味わえないスリルに身を任せてみては?

【出演】三遊亭白鳥、桃月庵白酒
【日時】11月29日(水)19時15分〜
【会場】成城ホール(成城学園前】
【料金】全席指定 3500円
【問い合わせ】成城ホール(TEL:03-3482-1313)

【江戸瓦版的落語案内 】今戸の狐(いまどのきつね)

2017.11.09 Vol.699
 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

 初代三笑亭可楽に弟子入りした良輔という若者。前座修行をしていたが修行は厳しく、寄席のくじ売りだけでは到底生活が成り立たない。背に腹は代えられぬと、師匠から禁止されていた内職を始めた。良輔が住んでいた今戸は、江戸庶民が日常用いる素焼き土器・今戸焼の一大生産地。人形、猫、福助と並び、江戸は稲荷が多いため、狐の需要もまた多く、狐の彩色の内職をすることに。もともと器用な良輔には、仕事が舞い込み、毎日寄席が終わってから、せっせと内職に精を出していた。それを見ていたのが、良輔の家の筋向かいに住む小間物屋の女房。もとは千住(通称コツ)の女郎上がりで、近所では「コツの妻(サイ)」と呼ばれている。家計の足しに内職をしたいと思っていた女房、良輔に手ほどきを受け、狐の彩色の内職を始めた。一方、師匠の可楽は当時飛ぶ鳥を落とす勢いの人気落語家。寄席がはねたあと弟子は、その日の売り上げを持って可楽亭に行き、売り上げを数えるのが、日課となっていた。夜もふけて、外がシーンとしている中、可楽亭からはチャリーンと小銭を数える音。たまたま通りかかったやくざ者が、可楽亭で賭場が開帳されているとにらみ、強請ってやろうとほくそ笑む。翌朝、可楽のところに押しかけ「お宅で賭場を開帳し、サイコロの狐 (博打の一種)をしていることは知っているんだ。これを世間にバラされたくなかったら、金を出せ」とすごんだ。しかし、大の博打嫌いの可楽は「何かの間違いでしょう」と相手にせず、家の中へ入ってしまった。しかし「隠れて狐をやっていることはお見通しだ。口止め料を出しやがれ」と騒いでいると弟子の一人が「隠れて狐? はて、狐ができているのは良輔という兄弟子の所です」と教えた。やくざに乗り込まれた良輔。内職がばれたと焦り狐を戸棚に隠すと「時々寄るから、少し(金を)こさえてくれ」というやくざに「少しでは困るんです。(注文は)多いほうがいいので」 「そいつはありがてえ」と会話が微妙にかみ合ってしまった。
「今、静かだが(賭場が)できているのか」、「できてます」「どこで」「戸棚の中に」「戸棚? ちょっと見せてもらおうか」といって開けると泥の狐がずらり。「なんだ、こりゃあ?」「狐です」「馬鹿野郎、オレが探してんのは、骨の寨だっ」「コツのサイなら、お向こうのおかみさんです」。

責めの姿勢は変わらない。昇太落語の神髄がここに!  

2017.10.09 Vol.699

春風亭昇太独演会「オレスタイル」
 日本テレビの長寿&高視聴率番組「笑点」の6代目司会者に抜擢され、その名を全国区にした春風亭昇太。新作落語のトップランナーとして、若い世代の落語ファンからカリスマ的人気を誇る噺家だが、意外にも古典落語も多く持っている。独演会「オレスタイル」では、そんな昇太の新作、古典織り交ぜた高座が楽しめるとあって、客席はいつも超満員。普段着でふらりと登場し、オープニングトークで客席を温めると、前座がわりにゲスト落語家が一席。あとはノンストップの昇太祭りがスタートする。四角い座布団の中で暴れまわる、昇太落語をたっぷりとご堪能あれ。

【江戸瓦版的落語案内 】もう半分(もうはんぶん)

2017.10.07 Vol.698
 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

 千住の永代橋のほとりに、老夫婦が営んでいる小さな酒屋があった。流行らない店で、一年中貧乏暮らし。その夜も客は常連の棒手振り(ぼてふり)の八百屋の爺さんだけ。60歳半ばと思われるその老人、酒の注文を一度に頼まず、半分ずつする。まず茶碗に半分の酒を注文して、それを飲み干すと「もう半分」。理由を聞くと、注文を2度に分けて注いでもらい何度も飲むことで、量を多く飲んだ気がするという。

 結局「もう半分。へえもう半分」と何杯もお代わりをするのだが…。ある日、いつものように何杯か酒を飲み帰った後、店を閉めて主人が片づけをしていると、さっき老人が座っていたところに汚い風呂敷包が。持つと、ずっしりと重い。不審に思った店主が包みを開けると50両もあろうかと思う金が出てきた。貧しい身なりをした老人がこんな大金を持っているわけがない。きっと何か理由のある金なんだろうと思い、届けてやろうとするが、それを女房が押しとどめた。

「忘れる奴が悪いんだ。この金があれば、大きな店が出せる。もらったってバチは当たりゃしないよ」と主人を説得。そのすぐ後に、忘れ物に気づき慌てて戻ってきた老人が「頼む、返してくれ。あの金は娘が吉原に身を売って作ってくれたもの。頼む…」と涙を流して懇願しても、夫婦は知らぬ存ぜぬで、店から追い出してしまった。老人は悔し涙を流し、居酒屋夫婦を恨みながら大川へ身を投げてしまった。悪銭身に付かずというが、どうして。猫ババした金で大きくした店が大繁盛。奉公人も雇い、夫婦は悠々自適。さらに、あきらめていた子どもも身ごもり、月満ちて出産。

 しかし、この生まれてきた子がなんと、浅黒くやせ細り、眼光鋭くわし鼻。おまけに白髪まじりと、あの「もう半分」の老人の生き写し。それがギョロっとにらんだから、女房は衝撃のあまり気が触れて、そのまま死んでしまった。母親がいなくなったので、仕方なく乳母を雇うが、みな一晩で逃げ出してしまい、居つかない。何人目かにわけを聞き出すと、赤ん坊が夜な夜な行灯の油をペロリペロリとなめるのだという。その晩、主人が隣室からのぞいていると、丑三ツの鐘と同時に赤ん坊が立ち上がり、行灯の油さしから茶碗に油を注ぎうまそうに飲み干した。「おのれ、迷ったか!」と部屋へ飛び込むと、赤ん坊が茶碗を差し出し、「もう半分」。

200席の中からどれを?三遊亭白鳥落語会「白鳥ジャパン雪月花」 

2017.09.24 Vol.698

 志ん生の「びんぼう自慢」を読み、貧乏でも楽しく暮らせると憧れ、落語知識ゼロで三遊亭円丈に入門。古典に思い入れがなかったからこそ生み出された自由奔放な新作落語は、200席に上る。

 動物たちが活躍する「任侠流れの豚次伝」、ガラスの仮面をリスペクトした「落語の仮面シリーズ」、そのほか寄席での三題噺に、古典リスペクト作品など、いずれの作品も白鳥ワールドが全開。

 その中から、厳選して3作品を披露する同公演。落語初心者は「これが落語か!?」と驚き、落語ファンも度肝を抜かれること間違いなし! この公演が落語の未来を変える!?

【江戸瓦版的落語案内 】干物箱(ひものばこ)

2017.09.03 Vol.697
 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

 伊勢屋の若旦那、銀之助は大の遊び人。吉原の花魁にうつつを抜かし、毎日毎日遊び惚けている。さすがに堪忍袋の緒が切れた主人が、外出禁止令を出し、若旦那は謹慎中の身に。しかし毎日こう暑くっちゃたまらない。汗を流しに湯屋に出かけることだけは、なんとか許可してもらった。

 久しぶりの外出にウキウキしながら湯屋に向かう。しかしふとあることを思い出し、湯屋とは反対方向に進むと、そこは貸本屋の善公の家。実はこの善公、声色が得意だと評判の男。「おい、善公。お前、俺の声色はできるか?」「いよっ!若旦那。もちろんでございます。この前なんか、亀清での宴会でお前さんの声色をやったら、お宅の親父さんがあなたが遊んでいると勘違いして、怒ったぐらいですから」と言う。

 「そりゃ、好都合。実は俺がこれから吉原に行って花魁と遊んでいる間、家で俺の声色をして親父を安心させてほしいんだ」。一緒に遊びに行けると思った善公、残念がるも羽織一枚と小遣いをもらい引き受けることに。念のため、一緒に家に帰り外から善公が「お父っつあん、ただいま帰りました」「おお、今日は早く帰ってきたな。お帰り。早く寝なさいよ」。しめしめ、だまされた。銀次郎、安心して吉原に向かい、善公は玄関脇の梯子段を上り2階へ。「やれやれ、このまま何事もなく銀さんが帰ってきてくれればいいが…」

 しかし、そううまくは運ばない。「おーい、銀次郎。銀次郎や」と階下から親父の声。「今朝方届いた干物は、何の干物だった?」「(えーーっ、そんなの聞いてないよ)えっと、お魚の干物です」「ばかやろう、魚に決まってるだろう。じゃ、それはどこにしまった?」「あの、あの…干物箱に」「なんだい、干物箱って。とにかくそのままだとネズミがうるさくて仕方ないから、下に持ってきておくれ」「それは…。無理です。えっと、イタタタタ。お腹が痛くて」とごまかすが、様子がおかしいと思った親父が2階に上がってきてしまった。

 「やや、お前は善公。さてはせがれに頼まれたな」。その時、外から銀次郎の声が聞こえてきた。「善公、ちょっと窓を開けてくれ。実は財布を忘れちまって。引き出しの中に入っているから、そっと上から落としておくれ」。すると親父「この罰当たりめ。どこを歩いてやがる」その声を聞いた銀次郎「あはは、善公は器用だな。親父にそっくりだ」

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