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[東京都知事選]増田寛也氏会見、最優先事項は「子育てに対する不安」解消

2016.07.11 Vol.670

 東京都知事選に出馬を決めた増田寛也元総務相が11日、都庁で会見した。最優先事項に、待機児童問題など「子育てに対する不安」を解消することを挙げ、舛添要一前知事が打ち出した韓国人学校増設のための都有地貸与については、十分議論がされていないとし、「白紙に戻して、どのような利用方法があるのか考えていきたい」との見解を示した。

 増田氏は会見冒頭、4年間でリーダーが3人交代し、都政は停滞と混乱を招き、その間に多くの課題が山積したとコメントしたうえで、「いま東京都に、都政に必要なことは、こうした積み重なっている課題を早く解決すること。そして、2020年にオリンピック・パラリンピックがありますが、その後の東京の姿も考えてながら、これからの首都としての東京をしっかりとしていくことが必要」と語った。

 立候補にあたり、「3つの「不安」の解消に努めたい」と意気込む。最優先事項の「子育てに関する不安」、そして「超高齢化社会に対する不安」、そして「災害に対する不安」を挙げている。

鈴木寛の「2020年への篤行録」第34回 18歳のための都知事選「テレビ選挙」講座

2016.07.11 Vol.670

 本稿の締め切りは、参議院選挙の投開票日(7月10日)の前になりますが、テレビや新聞の報道は、参院選よりも東京都知事選(7月31日)の方が盛り上がりそうな雰囲気です。

 都知事選は、この四半世紀、「テレビ選挙」と言われています。80年代までは、ほかの地方の知事選と比べて、メディアの取り上げ方に大きな差がなかったのですが、90年代から、テレビを意識した候補者のパフォーマンス合戦が激しくなり、タレント出身で無所属の候補者が政見放送とポスターを貼るだけの選挙活動で政党推薦の候補者を破って当選したこともありました。この間、特定の支持政党を持たない人たちの増加に対し、各政党とも、首都特有の選挙の難しさに頭を悩ませています。

 テレビ、特に民放各局の選挙報道が過熱すると、どのようなことが起きるでしょうか。ニュース以外の情報番組でも、主婦やお年寄り向けに、噛み砕いて取り上げるのはよいことですが、番組の作り手が「分かりやすさ」を追求する余り、どうしても誰と誰が出るかばかりに焦点を当てた報道が中心になります。

 今回の選挙戦は、任期途中で辞任した舛添前知事がやり残した政策的な課題は一体何だったのか、そこをしっかり検証するのが筋ですが、あれだけ連日、辞任に至るまで報道していた割に、辞めた後のことは置き去りにされがちです。

 選挙が「劇場化」してしまうと、候補者の方も本気で勝ちに来ている陣営もあれば、都政とは関係のない、自らの主義主張をしたいだけの陣営、新しい方法論を試すことに注力する陣営など、次の都政に向けた本来の政策論争からやや逸脱した選挙模様になりかねません。今度の都知事は、オリンピック・パラリンピックの開催準備という歴史的使命はもちろんのこと、かつてない超高齢化対策、一向に解消されない待機児童問題など、難題が山積みです。

 前回のコラムでは、参院選を迎える18、19歳の有権者のみなさんに向け、「各政党・候補者がどのような公約を掲げているのか、他党の公約や専門家の指摘と擦り合わせて一つ一つ吟味をする」と書きました。テレビの選挙報道は、あくまで一つの判断材料として、自分の頭で考え、友や師と議論すべきなのは、都知事選も同じです。

 参院選で初めて投票した都内の18、19歳の有権者の皆さんにとっては、良い意味でも悪い意味でも、テレビが選挙をどのように取り上げ、どれだけの影響を投票行動に与えるのか、そして視聴者である皆さんが、そうした選挙報道にどう向き合うか、格好の実践の場が来たと言っていいでしょう。

(文部科学大臣補佐官、東大・慶応大教授)

東京都知事にふさわしいのは誰だ!? 各党ともに候補者選定は参院選後!?

2016.07.09 Vol.670

【自民が出馬要請?】増田寛也氏 元岩手県知事という実務能力を評価も…

 自民党の東京都連が推薦するといわれているのが増田寛也元総務相。増田氏は1995年から岩手県知事を3期務め、その後、2007年に第1次安倍改造内閣で総務大臣に就任福田内閣でも再任され、2008年まで務めた。

 元県知事ということでその実務能力を評価され、舛添要一前都知事の辞職問題が取りざたされて以来、たびたび名前が挙がっていた。

 増田氏は『東京消滅−介護破綻と地方移住』という著書の中で将来の東京で予想される医療や介護施設の不足問題などを指摘するなど、都政の問題点については熟知しているもよう。

 しかし増田氏は岩手県知事時代に6000億円あまりだった県の公債費を1兆2000億円にするなどしており、その実務能力にはやや疑問が残る。

 また4日に秋田県の佐竹敬久知事が増田氏について「地方創生で、東京都をいかに小さくするかを主張してきた人が都知事になると矛盾する」と指摘したように、総務相時代には大都市に偏る法人関連の税収を地方に再分配する税制改正を行い、以降、東京都は毎年約1200億円〜約2000億円の減収になっている。

 自民党都連は当初、人気グループ「嵐」の桜井翔の父親で前総務事務次官の桜井俊氏に出馬を打診。しかし桜井氏は「器ではない」「家族に迷惑がかかる」などと固辞。自民党は擁立を断念した。そこで浮上したのが増田氏。自民党都議団は3日、増田氏の擁立を目指すことを決め、4日には都内23区の首長でつくる特別区長会の幹部が増田氏と面会し、出馬を要請した。なお、区長会では23人中、21人が増田氏の出馬要請に賛同したが、小池氏の地元である豊島区と練馬区の区長はそのなかには入っていない。

 増田氏は「相当の覚悟がいる。スカイツリーから飛び降りるくらいの感じがないと駄目だ」(1日)、「熟慮の上、決めたい」(4日)などと発言しているが、8日現在、出馬については明確にはしていない。

東京都知事にふさわしいのは誰だ!? 小池百合子(本紙コラムニスト 元防衛相)緊急インタビュー

2016.07.09 Vol.670

 東京都の舛添要一前知事の辞職に伴う知事選が7月14日に告示される。投開票は31日。最近の都知事選は、知名度の高い候補者が告示日ギリギリに出馬を表明し、政策論争がほとんどなさないまま選挙戦に突入するケースが目立ったが、今回は元防衛相で本紙コラムニストの小池百合子氏がいち早く立候補を宣言している。小池氏に政策を聞いた。

小池百合子氏が正式に都知事選出馬を表明「都議会を冒頭解散」掲げる

2016.07.06 Vol.669

 自民党の小池百合子元防衛相が6日、国会内で会見を開き、舛添要一前東京都知事の辞職に伴う知事選への立候補を正式に表明した。

 小池氏は6月29日の会見で出馬の意思を固めたことを表明。自民党本部や都連に支援を求めるとし、5日に都連会長の石原伸晃経済再生担当相と会談。正式に推薦願を提出したが、石原氏が「参院選後に結論を出したい」としたことから「政策を論じる時間もなくなる。客観的、自らの意志で総合的に判断した」とこの日の発表となった。

 自民党の支援が受けられない可能性もあることから「パラシュートなしの立候補。リスクは山ほどあるが、都民目線でのさまざまな改革のために覚悟を持って臨みたい」と決意を語り、「むしろしがらみのない都民の目線で戦えるということで、ある意味吹っ切れたところもある」と続けた。また兵庫から現在の東京10区へ鞍替えし戦った郵政選挙時に小選挙区一本で臨んだことを挙げ「挑戦するときは退路を断つということが私の生きざま」とも語った。

小池百合子氏が掲げる東京のビジョンとは?『東京都知事選 特別版独占放送!』

2016.07.06 Vol.669

 東京都知事選に正式出馬表明をした小池百合子氏が掲げる東京のビジョンとは?
 待機児童・高齢化・防災・・様々な東京の抱える課題や東京の未来について語る独占放送。

 放送は7日(木)12時〜  https://abemafresh.tv/japanmoveup

本紙コラムニスト・小池百合子氏が都知事選出馬を表明

2016.06.29 Vol.669

 元防衛大臣で自民党衆議院議員の小池百合子氏が29日、国会内で会見を開き、舛添要一前都知事の辞職に伴う東京都知事選への出馬の意思を表明した。都知事選は7月14日に告示され、31日に投開票される。

 小池氏は会見の冒頭で「このたびの東京都知事選に自民党議員として出馬の決意を固めました」と挨拶。そして「都政の信頼回復、停滞の解消、山積する現在の課題の解決、希望あふれる未来の首都・東京の構築のために崖から飛び降りるつもりで、その覚悟で挑戦したい」と決意を語った。

「東京を守る、東京を進める」というビジョンを示し、「2020年の東京オリンピック・パラリンピックの成功はもとより、その後を見据えた新しい東京の創造、経済、金融、環境などに軸足を置いていきたい。東京はアベノミクスの牽引役になるべきだし、ならなければいけない。アベノミクスをさらに東京から発信していく。さまざまな課題を東京から解決していく。そのリード役を務めたい」などと語った。

 自らの選挙区である豊島区を例に挙げながら「育児の環境を整えることも含めての少子化対策、育児支援、介護難民問題、貧困対策、地域包括ケアシステムのブラッシュアップ」などの必要性も挙げた。

 また2020年の東京都知事選が東京オリンピック・パラリンピックの期間にかかることを懸念する声があがっていることについて「今回の都知事選で当選した場合は任期を3年半にする。そのことで混乱を避けるという方法もある。問題は知恵を使って解決すればいい。国民と都民の共感を得てオリンピック・パラリンピックを成功させなければいけない。そのための知恵を出していきたいと思う」と斬新な公約を掲げた。

 小池氏は総務庁の政務次官を振り出しに経済企画庁政務次官、環境大臣、防衛大臣、国家安全保障担当補佐官などを歴任。環境大臣時は「クールビズ」を実現するなど斬新な発想力を見せた。現在は日本ウエイトリフティング協会の会長を務めている。

 本紙では長くコラム「小池百合子のMOTTAINAI」( http://www.tokyoheadline.com/?p=169081 )を執筆。鋭い舌鋒で政治問題や社会問題を解説している。また「JAPAN MOVE UP by AbemaTV FRESH!」(25日放送  https://abemafresh.tv/japanmoveup )でも現在取り組んでいる東京から日本を元気にすることについて語っている。

小池百合子のMOTTAINAI 都知事選にかかる費用は約50億円。もったいない話です

2016.06.27 Vol.669

 舛添要一東京都知事が一連の騒動で辞任したかと思えば、イタリア・ローマでは初の女性市長が当選しました。そもそもこのローマ市長選は前市長の公費流用疑惑による辞任に伴うもの。前市長は市のクレジットカードで家族の食事代を支払っていたとして批判されました。その額2万ユーロ、約240万円でしょうか。

 舛添知事の場合、1万8000円のたまごサンドの領収書や正月のホテル三日月での宿泊費などが疑惑の焦点となりましたが、身近な話題と金額でテレビのワイドショーは大盛り上がり。ヒール役と化した舛添知事は自らの記者会見での強気発言で墓穴を掘ったかたちです。

 いつも「政治と金」でコケるわけですが、すべての議員が舛添さんのように公私混同が当たり前と思っているわけではありません。ちなみに私は公私の区別がつけにくい飲食費は一切計上しません。お金の問題に足をとられ、本来の政策実現が遠のいては無意味だからです。

 舛添氏も「東京防災ブック」という危機管理本をヒットさせたのに、自らの危機管理は十分ではなかった。才気あふれる人だけに、もったいない最後でした。

 それにしてもこの騒動で生じる都知事選にかかる費用は約50億円。それこそもったいない話です。これで任期途中に都知事が辞すのはこの4年間で3人目です。その都度突如として選挙戦に突入し、いつも最後に現れる「後出しジャンケン」の候補者が勝利を納める。この繰り返しです。政策論争などより、知名度合戦、人気投票です。

 人口1350万人の東京は国でいえば世界70位のジンバブエ並みです。13兆円にのぼる年間予算規模でインドネシアの国家予算に匹敵します。日本の税収の4割は東京が生み出し、日本経済のエンジンといえます。一方で、2025年には東京圏の高齢化は恐ろしいほどのスピードで進むとされ、若者の街のイメージからは想像もつかない介護難民問題が懸念されています。一国が抱える課題が山積しているうえに2020年の東京五輪が控えているわけです。

 東京オリンピック・パラリンピックは歴史的大事業ですが、開催期間はわずか40日程度の話です。まず都政への信頼を取り戻し、毎日の都民の生活をどう守り、どう希望が抱ける首都とするかが問われているのです。

 老若男女が希望を抱ける首都・東京にする。そのためにもしっかり取り組みたいものです。
(自民党衆議院議員)

東京都知事選で元厚生労働相の舛添氏が当選

2014.02.14 Vol.611

 猪瀬直樹前知事(67)の辞職に伴う東京都知事選は9日、投開票され、元厚生労働相の舛添要一氏(65)が約211万票を獲得し、元日弁連会長の宇都宮健児氏(67)=共産・社民推薦、元航空幕僚長の田母神俊雄氏(65)、元首相の細川護煕氏(76)らを破って初当選した。
 元首相や元閣僚、メディアでも話題を集める候補者が揃い、告示前は盛り上がりを見せていたが、本格的な政策論争が行われることがなかったことや、前日8日に降った記録的な大雪の影響もあって、最終投票率は過去3番目の低水準となる46.14%に留まり、前回(平成24年)を16.46ポイント下回った。
 そのなかで小泉純一郎元首相(72)の支援を受けた細川氏が「原発即ゼロ」を前面に打ち出し選挙戦を展開したが、思ったほど有権者には刺さらず、約96万票に留まり、同じく「脱原発」を掲げる宇都宮氏の後塵を拝する形となった。
 舛添氏は「東京を世界一の街にする」というスローガンのもと、五輪を契機とした街づくりを掲げ、厚労相の経験を強調して福祉・雇用対策の充実を訴えた。9日夜、当選確実の一報を受け「私以外の候補に投票した人からも『舛添に任せてよかった』というような都政を進めていきたい」と語った。今回の勝因について「ひたすら政策を訴え、どの候補よりも全域を回り、たくさんの有権者と会話した。これに尽きる」と語った。
 都知事として実現したい政策を問われると、「東京を世界一の街にする。福祉、防災、経済、2020年の東京五輪・パラリンピックを成功させる。これを着実にやっていきたい」と力を込めた。

都知事選2月9日投開票 問題山積の都政の舵取りは誰に任せればいいのか

2014.02.01 Vol.610

 猪瀬直樹前知事の辞職に伴い行われる東京都知事選。1月23日に告示され、新人16人が立候補。以来、都内各地で激しい選挙戦が繰り広げられている。
 猪瀬氏が辞職を表明したのが昨年12月19日。猪瀬氏は2012年末に行われた都知事選で史上最高の約434万票を獲得して都知事の座に就いた。昨年9月には2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致に成功した。その人気と実績から、よもやこんなに早く都知事選が行われることになるとは誰も思っていなかっただけに、各陣営とも出馬に向け駆け足の準備となった。2020年東京五輪への対応や少子高齢化対策、脱原発などを争点はさまざま。2月9日に投開票が迫った選挙戦を探る!!

都知事選をどう見るか【鈴木寛の「2020年への篤行録」第3回】

2014.01.05 Vol.608

 あけましておめでとうございます。去年は東京オリンピック・パラリンピック招致に沸きました。本年もスポーツのビッグイベントが目白押しですね。まず来月のソチ五輪。フィギュアスケートの代表選考は大変な注目を集めました。個人的には、浅田真央選手の悲願の金メダルに期待を寄せています。そして6月にはブラジルでサッカーのW杯が開幕します。日本代表が一時勝てない時期が続きましたので不安の声も上がりましたが、11月にオランダ、ベルギーとの親善試合で結果を残したことで「反転攻勢」のムードです。予選グループの組み合わせも悪くはなく、初のベスト8以上の結果を残してほしいと思います。

 浮かれてばかりもいられません。東京オリンピック招致関連では、国立競技場の改築については、予算も含め昨年末に決着し、いよいよこの春から取り壊し、工事が始まります。問題は、組織委員会。2月に発足の予定でしたが、ご存じの通り、都知事の辞職により、立ち上がりに遅れが生じるのは必至です。そもそも招致決定後から悪い予感がしていました。いまだに組織委のトップである委員長が決まっていないのです。そもそも昨年11月にIOCのバッハ会長が来日した時点で委員長の内定者が出迎えねばなりませんでした。そうした中で、前知事の不適切な金銭授受が発覚。後はご存じの通りの展開です。国際的にも開催地としての名誉に傷が付いたことは大変遺憾に思います。

 都知事選は2月9日。ここ十数年、最後に出てきた候補が勝っているので、候補者が名乗りを上げるのが遅くなることが予想されるため、有力候補者が出そろうのは早くても今月中旬でしょう。国政選を凌駕するテレビ選挙なので知名度に焦点が当たりがちですが、オリンピック・パラリンピックを起爆剤に2020年代以降の東京の街づくり、人づくりをしていける実力のほどを私たち都民はしっかり吟味せねばなりません。たとえば高齢化。都の予測によると、オリンピック開催年には、4人に1人が高齢者となります。社会保障費の膨張を抑える中で介護や医療をどう拡充させるか、一人暮らしの高齢者を支えるコミュニティをどう醸成させるか……課題は山積しています。

 次期知事はオリンピックのホスト役を務める可能性が高そうです。それは同時に21世紀の東京の基盤を固める役目。今度の都知事選は近年まれにみる重要性があると思います。

(元文部科学副大臣・前参議院議員)

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