高校1年生の時にプロデビューした野杁は、今年22歳という若さながら、アマチュア時代を含めると、かなり試合数をこなしているキャリアの持ち主。そんな格闘技一直線人生は、意外なきっかけで始まった。
「僕、小さいころいじめられっ子だったんです。何の理由もなくいじめられていて、学校に行くのが本当に嫌だった。ある日、また連れ出された時に、たまたま兄の友達で、のちに入門することになる道場の会長の息子さんが通りすがって、いじめを止めてくれたんです。その子が空手をやっているのは知っていたので、かっこいいなってあこがれて、すぐに親に空手を習いたいと言いました。それで、小学校2年生で空手を始め、中学校2年生でキックボクシングに転向したんです」
多くの試合をしてきた野杁だが、試合前はどうやって過ごすのか。
「試合の前は相手のことをめちゃくちゃ研究します。特に1週間前はあまりハードな練習はせずに、疲れを抜きがてら体重を落とす期間にしているんですけど、その1週間で何十回も繰り返し相手の映像を見て作戦を立てる。そしてその作戦に基づいて練習して、最後の1週間でイメージをしっかり作り上げていく感じですね。そうやって考えた作戦通りにいった時は、自分の中でも納得のいく試合ができたと感じます。逆に作戦通りにいかずKOで勝っても、反省することが多いかも知れません。あと、試合前の儀式じゃないですけど、試合直前に必ず美容院に行って、カットとカラーをします。これはプロデビューしたころからの習慣で、ジンクスに近いものかもしれませんね。試合中はセコンドの声もお客さんの声もよく聞こえます。聞こえている時は調子がいいんですよ。まったく聞こえてないときは、負けることが多い。多分熱くなって、冷静になりきれてないからだと思います」
2月6日に後楽園ホールで行われるKrush.51で、−65kgの試合に出場する。
「今はその試合に向けてガッツリ準備している段階です。前回の試合が12月で、その試合自体が約10カ月ぶりだったんです。怪我とかもあり、復帰戦みたいな感じでしたが、1ラウンドでKO勝ちをして、あまり試合勘を感じられなかった。ですから、今回はすごい強豪を相手に試合ができるので、勝つことはもちろんですが、試合をしっかり楽しみたいと。Krushの後楽園大会に出るのも約2年ぶりですし、そこも楽しめたらいいかなと思っています。相手は昨年11月のK-1で日本人選手とやってKOで勝ったイリアス・ブライド選手。その勝った相手の泰斗選手はプライベートでも仲が良くて、一緒に練習もしていた仲間なので、敵討ちじゃないですけど、KOで倒したいと思っています」
そんな野杁の好きな女性のタイプは?
「家庭的な人が好きですね。料理や家事全般ができる人がいい。僕自身も料理を作ったりはしますが、女性もできる人のほうがいいです。タレントさんは、性格が分からないので、見た目になりますが、黒木メイサさんが好きでした。でもその前は竹内結子さんだったりするので、自分でもどんなタイプが好きなのか、よく分からないですね(笑)」
勝利とともに常に自分のファイトスタイルを追求する野杁の身近な目標と最終的な夢は。
「近い目標としては、K-1の−65kgのベルトです。もちろん僕はKrushで育ってきたので、Krushの−65kgのベルトも獲って、Krush代表としてK-1に出たい。その2つのベルトは僕が持たないといけないという気持ちはあります。その先は、絶対王者です。ベルトを獲っても防衛しないとずっとチャンピオンではいられない。防衛戦で負けるとチャンピオンが変わるけど、僕は絶対的なチャンピオンになりたいんです。誰が挑戦者でも絶対に負けないぐらいの強さを身に付けて、戦う相手がいなくなって引退するのがベストだと思っていますから。チャンピオンは僕にとってゴールじゃない。そこがスタート地点なんです」