4都府県で「緊急事態宣言」が発出され、東京都は酒類を提供する飲食店に休業を要請する中でのゴールデンウィーク。ファンの間で“ハイボールの聖地”と呼ばれる銀座のバー「ロックフィッシュ」では、急きょモクテル(ノンアルコールカクテル)を開発し、「純喫茶」として営業を続けている。
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銀座・コリドー街のほど近くにあるビルの7階、十字型にスリットの入った琥珀色のドアを開くと静かなジャズが流れる。オーセンティックバー「ロックフィッシュ」は昨年の「緊急事態宣言」後、クラウドファンディングを利用してアクリル板などを設置、軽食メニューを充実させて「お食事処ロックフィッシュ」に変身し、酒類小売業免許を取得しておすすめワインを販売するなど、工夫を凝らしつつ営業を続けてきた。ところが、ここにきて酒類を提供する飲食店への休業要請。店主の間口一就さんはアルコールの提供をとりやめ、3種類のモクテルを開発して営業を継続することにした。
「当初は、アルコールを提供せずに営業できるかどうかも分からなかった。酒販免許を取っていたので角打ちができないかとか持ち込みはできないかなど、専門家にも意見を聞いていろいろな角度から調べたのですが、食品衛生法上の飲食店で届け出ている敷地内では一切アルコールの提供はできないという結論でした。(期間の)直前でお酒を出さずに営業する外食チェーンが出てきたので、うちもそうしようかなと思ったんです」
その理由には昨年の苦い経験がある。「2カ月ほど店を閉めて6月1日から営業を再開したのですが、かなり集客が弱くなりました。またゼロからかと思うと、そういうことは二度とやりたくないので、今回は絶対閉めないと決めていました」と間口さん。