銀河のお祭りの夜、孤独な少年ジョバンニはふと気がつくと、友人カムパネルラとともに銀河鉄道に乗っていた…。
作家・宮沢賢治による数々の作品の中でも世代を問わず愛され続ける名作『銀河鉄道の夜』。1920年代に初稿が執筆され晩年まで推敲が繰り返されたが、賢治の死により未定稿のまま残されることとなった。第一次稿から八次稿まで、3度の改稿があったことが明らかとなっている。
その謎めいた輝きは今なお多くの研究者や表現者をも引き付けている。漫画界の異才ますむらひろしもその一人。
ますむらひろしは1952年、山形県米沢市生まれ。『ヨネザアド物語』『アタゴオル物語』などの代表作のほか、1983年からは宮沢賢治の作品を多数漫画化し、その功績により2001年に宮沢賢治学会イーハトーブ賞を受賞している。1985年には杉井ギサブロー監督により『銀河鉄道の夜』がアニメ映画化。『銀河鉄道の夜』を語るうえで欠かせない存在となっている。
そんなますむらが四次稿に挑んだ最新作『銀河鉄道の夜・四次稿編』(原作・宮沢賢治、作画・ますむらひろし)は全4巻・約600頁からなる大作。本展では、そのうち既刊の第1巻・第2巻の漫画生原稿と創作資料、メモ、ラフスケッチなどを展示。ますむらひろしによる「銀河鉄道の夜」の世界を紹介する。
信仰と大地と共に生きた宮沢賢治と、独特のファンタジーと猫のキャラクターで知られる漫画家ますむらひろし。それぞれの世界観が交錯し、昇華された美しくも切ない物語が読者を銀河鉄道の旅へといざなってくれる。