1995年に行われた伝説的な屋外アート展「水の波紋95」を呼び覚まし、街とアートの深い関係を見つめなおす展覧会。
「水の波紋95」は、1995年の夏に国際的キュレーター、ヤン・フート(1936-2014)とワタリウム美術館が協力し、青山、原宿の街中40カ所に現代美術の作品を設置したアート展。各所に作品が置かれた30日間、そこには魔法が掛けられたかのように不思議な空気があふれ、さまざまな出来事が起きたという伝説の展覧会だ。「水の波紋」とは水面に落ちた一粒の水滴が波紋となりゆっくりと広がっていくように、街に設置したアート作品が多くの人たちの心に届くことを願って付けられたタイトルだという。阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件といった大きな事件が次々と起こった1995年、東京が異様な緊張感に包まれ、困難を極めながらも開催された同展は、図らずも都市における行動の自由や場所のあり方、安全についても改めて考えさせられた展覧会となった。
今回の展覧会では、コロナ禍の影響により人々が“不要不急”の外出を控えるなか、かの伝説的な屋外アート展の記憶を呼び覚まし、その源流となった作品をたどるとともに、その波紋に共鳴するかのようなアーティストたちの作品を紹介。ホワン・ヨンピン、宮島達男ら当時の出品作家の作品に加え、Chim↑Pom、キース・ヘリング、ヨーゼフ・ボイスらによる作品を展示する。