アニメーション映画『イノセンス』の公開20周年を記念したトークイベントが2日、都内にて行われ、押井守監督と、声優の大塚明夫が登壇。シリーズの重要キャラクター草薙素子役の故・田中敦子さんへの思いや、続編への意欲を語った。
士郎正宗原作、押井守監督によるSF長編アニメーションの金字塔『イノセンス』(2004年)の公開20周年を記念し、『イノセンス 4Kリマスター版』と『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4Kリマスター版』の2作品を2月28日から2週間限定公開。
冒頭、押井監督は初公開から20年を経ての4K版上映に「この20年何をやってきたのかとも思う。この作品で死ぬ思いをしたので、その後の記憶がないのかも」と苦笑。
バトー役の大塚は「『GHOST-』のほうも見ていただいて、在りし日の田中敦子のことも思い出してもらえたら」と、草薙素子役の故・田中敦子さんを偲んだ。
この日は「20年前に戻りたいか」や「義体化したいか」「作品のなかで自分に似たキャラはいるか」などの質問に2人が○×で回答。
「『GHOST-』『イノセンス』の続編を作ってほしいか(作りたいか)」という質問には2人とも「○」。押井監督が「やり残したことが1つだけある。それがやれるんだったらやりたい」と言うと観客も色めき立ち、大塚が「ご来場の皆さん、大変な使命を背負いました。この2作品の続編を見たいよなということをぜひ伝道師となって広めて」と訴え、観客も大きな拍手。
『イノセンス』は「素子とバトーの再会というシンプルな物語。能書きは固いけど聞き流してもらって構わない」と笑いを誘いつつ「魂になった素子はバトーにどんな思いを抱いたのかとかいろいろ考えた。“変わってないわね”というセリフは、2人が変わったからこそ言えるんです」と言う押井監督に、うなずきながら聞いていた大塚も「泣けてくる。あの短いやり取りのなかにどれだけのものが込められていたか」。
大塚が、素子役に田中さんを提案し、オーディションで見事通ったといういきさつを振り返ると、押井監督も「個人的に田中さんと話したことはあまりないんですけど。マイクの前に立った瞬間から素子になる。僕にとっては素子そのもの」と言い、もし続編があるなら「素子をどうするか。“声無し”でやるのもいいかもしれない」とアイデアを巡らせた。
押井監督は「(20年前にも)話題になったんですけど、ラストの人形の目に何か映ってます。目を皿のようにして見てみて」とアピールしつつ「完成した当初、これ以上の仕事はできないと思っていたんですけど、ある人に“まだまだ若い”と言われた。今振り返って見ると20年前の自分は分かってなかったと思わなくもないんですが、自分の中にある特殊な情緒、人形だったり犬だったり、人間じゃないものと関わるときに出てくる感情は変わらないなと思いました」と語り、シリーズのファンに改めて感謝。
ファン垂涎のトークから大塚や押井監督とのプレゼント付きジャンケン大会など、観客も大盛り上がりだった。