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若手時代からの盟友ザ・パンチさんによる「徳井健太」の性格診断【徳井健太の菩薩目線 第217回】

2024.09.10 Vol.web original

“サイコ”の異名を持つ平成ノブシコブシ・徳井健太が、世の中のあらゆる事象を生温かい目で見通す連載企画「徳井健太の菩薩目線」。第217回目は、『THE SECOND 〜漫才トーナメント〜2024』準優勝者であるザ・パンチについて、独自の梵鐘を鳴らす――。

 8月末に行われた『敗北からの芸人論 トークイベント vol.14』。そのゲストとして『THE SECOND 〜漫才トーナメント〜2024』準優勝者のザ・パンチのお二人に来ていただいた。このお二方と僕は深いつながりを持つ。

 ザ・パンチのルーツはNSCではなく、渋谷公園通り劇場にある。学生時代にオーディションに参加し、デビューを果たしたコンビ。当時の渋谷公園通り劇場には、ガレッジセールさんを筆頭に、カラテカさん、あべこうじさん(当時はコンビ)、犬の心さんなどが板の上に立っていた。その中に、僕が勝手に師匠と仰ぐ、カリカのお二人もいた。

 ザ・パンチの浜崎さんも松尾さんも、カリカのお二人と仲が良く、特に浜崎さんは家城さんとも林さんとも仲が良かったから、僕が師事していた林さんを介す形で、毎日のように会っていた。芸歴では、お二人の方が2期先輩にあたるけど、年齢は一緒。同世代ということもあって、20代の頃は本当によくザ・パンチさんとあーでもないこーでもない話をしていた。

『THE SECOND』で準優勝を果たしたことで、現在、ザ・パンチさんは芸能界一周旅行の最中にいる。お二人と会って、がっつり話しをするのは十何年ぶりくらいだろうか。でも、当時と距離感は変わっていなくて、僕自身、とても感慨深い時間を過ごさしてもらった。

 昔から、僕と松尾さんは意見がぶつかることが多く、トークイベントでもところどころ舌戦になった。その様子を横で見ていた浜崎さんが、「懐かしいな。お前らよくぶつかってたよな」と口にしたとき、20代の景色がフラッシュバックした。

 浜崎さんは、「お前は普段クレイジーだけど、酒を飲むとホントお笑いの話ばかりしていたよな」と懐かしんでいた。全然変わっていないから、徳井がお笑いの分析みたいなことをしているのも納得だと頷いていた。

 その言葉を聞いて、僕は面映ゆくなるとともに、自分の矛盾さにハッとした。

 人は普通、酔ったときにクレイジーになる。酔ったときに人間の本性がさらけ出されるとしたら、僕のクレイジーは偽りの姿で、やせ我慢だったんだろうなって。酔った勢いじゃないと真面目な話ができなかった僕は、20代はずいぶんと本能をごまかしていたんだと思う。本当はあの頃からたくさんお笑いの話をしたかったんだなって、ザ・パンチさんと話をして気が付かされた。

 話の中で、松尾さんから「ずっと昔から思っていたけど、徳井はすぐに核心に迫ろうとするよな」と指摘された。そんなこと今まで考えたことなかった。

「10が核だとしたら、徳井は8.9.10から話をする。人間っていうのは、まず天気の話とか当たり障りのないこと、つまり1.2.3あたりから話すんだよ。そこから5.6.7になったとき、さも8.9.10くらいのつもりでリアクションをする。それが人間なんだ」

 松尾さんの説明を聞いて、ものすごく納得した。興味がある人を目の前にして、天気について話したいなんて思わないんだから。

「俺らはまだいい。関係性もあるから。でも、お前は初対面の人でも8.9.10からいくから、本当であればめちゃくちゃ人とぶつかるはずなんだよ。でも、その割には揉めごとの数が少ないから、徳井はピュアなんだろうな」

 十何年ぶりに話したとは思えないほど、心地よかった。たしかに、僕はすぐ心臓を掴みにいこうとする。1.2.3が欠けていて、どうやらもう治りそうにもない。相手を身構えさせてしまうだけだから可愛げだってない。だけど歳を取り、厄介な角が取れたことで、僕は今、こうしてなんとか対話できている。そんな大切なことを気が付かせてくれた浜崎さん、松尾さん、昔も今もありがとうございます。

 金も夢も何もない中で、ただお笑いが好きって一点突破だけでつながっていた同志。渋谷公園通り劇場によく登場していた芸人たちは、その多くがどういうわけか解散している。銀座7丁目劇場に比べると、圧倒的にその数は多いから、あの場所は呪われていたのかもしれない。そんな場所から、今、狼煙を上げているザ・パンチさん。僕はめちゃくちゃ楽しみにしています。

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