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ジェンダーで起こる問題と、ジェンダー社会に生きる私たちの幸せって?内田理央主演『来世ではちゃんとします3』第2話〈ドラマでしゃべりたい〉

2023.01.15 Vol.Web Original

 内田理央主演のドラマ『来世ではちゃんとします3』(テレビ東京、毎週水曜0時30分)。1月11日に放送された第2話では、主人公・桃江の働くデザイン会社「スタジオデルタ」を取り巻く個性豊かな登場人物たちが勢揃い。無性愛、トランスジェンダー、特殊性癖など……多様なジェンダーを持つ人々が登場し、それぞれ悩み、苦悩している。

人とは違うジェンダーに苦悩する登場人物たち

 第2話は、主人公の大森桃江の周囲の人間関係が一気におさらいされた。付き合った彼女の浮気で深く傷つき、セカンド童貞となってしまった上に処女信仰を持ってしまった林勝(後藤剛範)。そして、そんな林に想いを寄せる、トランスジェンダーの凪(ゆうたろう)が登場。

 恋愛経験が少なく、異性に対して正直な態度を取ることしかできない林は、外見の整った凪に好意を抱きつつも、自分の中にある違和感を許せない。その結果、いつも凪にどっちつかずな態度を取ってしまい、いつも結果的に傷つけてしまう。処女信仰と恋愛経験の少なさゆえに、女性の本質を見抜くことのできない林。その恋愛遍歴は、林をセカンド童貞に追い込んだ最初の彼女と、別れたばかりのお隣りさん、ソープ嬢・梢……のみだ。

 セクシャリティゆえに傷ついた経験も多い凪は、林に再三「異性で傷ついた心は、異性で癒やす」ことを勧めてきた。しかし、正直者で不器用な林は、2人の元カノのことを引きずったまま、凪に頼ることを怖がってしまう。

 来世ちゃんは、とにかく一方通行の恋愛が多い。実際に男性に受け入れてもらったこともある凪も、今はストレートの林を好きになったしまったからこそ、苦しんでいる。主人公の桃江も、自身の外見に自信がなく、風俗嬢にガチ恋している檜山トヲル(ラバーガール・飛永翼)も……片想い地獄だ。

 もしかしたら現実世界も同じなのかもしれない。心に秘めている人がいても、周りにはそれを打ち明けない人もいる。好きな人が自分を好きになってくれるなんて、ある意味奇跡的なことであって……その上自分のジェンダーを受け入れてくれることは、さらに奇跡なのかもしれない。

 後半では、無性愛者(アセクシャル)の高杉梅(太田莉菜)のところに、親友がやってくる。梅ちゃんの友人のりんごちゃんは、グロテスクさに興奮を感じる「リョナラー」。現実にはできないことに性的興奮を覚える自分のことを「異常性癖持ち」と自称するりんごちゃんは、彼氏にそのことをカミングアウトしていない。

 気づいた時には血や肉片に興奮を覚えていたりんごちゃんだが、現実でそんなことをすれば大変なことになってしまう。だから彼女は彼氏には自身の性癖を伝えず、実際の情事では脳内で妄想することで終わりにしている。

 性癖も性自認も単なる「趣味」ではなく、ひとつの個性だ。それが人と違うというだけで、周りに打ち明けられなかったり、人から理解されなかったりして傷つく人がいる。

 今日本では、急速にジェンダーへの理解を進める動きがある。しかしそれはまだ発展の途上で、今もまだ自身のジェンダーで苦しむ人がいる。人の生活から、恋愛を切り離すことは難しい。そして、恋愛からジェンダーを切り離すことも難しい。だからこそ、彼女たちの悩みはなかなか尽きない。

 シーズン1からずっと、林に好意を持っている凪。たとえソープ嬢であっても、元カノの梢ちゃんを忘れられない林くん。そして彼氏とのわざとらしいほどのラブラブぶりを見せてくれたりんごちゃん。彼女たちの幸せは、今後どのように描かれていくのだろう。

自分らしい幸せの見つけ方って、なんだろう

 性の問題は自分だけで解決しづらいことも多く、根の深い悩みに発展しやすい。しかし、今回はちょっと明るい話題も。

 桃江の同期・高杉梅は無性愛者で、人を好きになるという気持ちが分からない。取引先の男性に言われる「御社の女性はみな美人で仕事もできて」「そういえば、〇〇さんが高さんのことタイプって言っていましたよ」など、相手は褒め言葉のように伝えてくることが、異性に女性として見られることが苦手な梅ちゃんにとってはセクハラなのだ。

 そんな梅ちゃんだけど、イラストを描くのが趣味で、SNSで漫画を投稿して、いいねを追うことが密かな楽しみ。ボーイズラブが好きで、恋愛漫画にもトライしている梅ちゃんの最近のブームは、漫画のために他人の恋愛や情事を想像してみることだった。

 妄想を繰り返した末に、まずは自身の経験をエッセイ漫画にして投稿してみることにした梅ちゃん。すると、漫画がネットで大バズ!無性愛者であるということを親にカミングアウトできておらず悩んでいた梅ちゃんだけど、彼女は「自分らしい喜び、幸せの見つけ方」を自分で模索している。

 性の問題はどこまで行っても私たちにまとわりついてくるけれど、性やジェンダーとあえて関わろうとせずとも、幸せになる方法を模索している人もいる。ジェンダーだけでなく、幸せのカタチだってそれぞれだ。来世ちゃんの登場人物たちは、周りと自分を比べてしまう人も多い。けれど、小さな夢を叶えた梅ちゃんを見ていると、なんだか元気になる。

 来世ちゃんを見ていると、それぞれの悩みに事情があるということが分かる。そのものが、悩みを抱えるのは自分だけではないというエールにも聞こえるし、頑張り方、人生の進め方もそれぞれなのだということが分かる。

 あなたは登場人物のうち、誰に共感しましたか?共感した登場人物がどうやったら幸せになれるのか、客観的に考えてみると、あなたの目指すべき「人生のゴール」も見つかるかもしれない。

 

(文・ミクニシオリ)

「Kさんとの思い出」【36歳のLOVE&SEX】#8

2021.04.23 Vol.web Original

 10年以上推していたアイドルが、先日卒業コンサートを行った。

 ファンやオタクというものの定義は非常に曖昧である。

 新曲がリリースされるたびに楽曲を聞きこむ人もいれば、出るグッズはすべて購入して収集するという人もいるし、握手会やイベントに通い詰めて自分を覚えてもらうことに喜びを感じる人もいる。

 どれが正しいオタクの姿か、どこからがオタクかという線引きは難しいが、少なくとも自分は、この推しに対してはオタクだったと自認している。

 

 私が応援していたアイドルは、某48グループに在籍し、オレンジと緑がテーマカラーの女の子だ。

 彼女を応援したいがために、「総選挙」と呼ばれるグループ内ランキングを決める投票イベントでは複数票を投じたし、彼女のパフォーマンスを見るために、いろんなコンサートに行った。

 彼女のおかげで、ナゴヤドームにも、豊田スタジアムにも、福岡ドームにも、東京ドームにも行けたし、各地で美味しいものを食べた。

 毎日まとめ記事をチェックしたし、振り付けを覚えて客席で小さく踊ったりもした。

 私は彼女のオタクになれて幸せだし、本当に楽しい思い出をいっぱい作れたな、と思っている。

 

 私が熱心にオタク活動をしていたのは10年近く前だろうか。

 同じ会社のKさんという人も私と同じグループのオタクであった。

 というか当時は部署内でこのグループが大流行りしていて、仕事を終えてからみんなでライブを見に行ったりしたこともあった。

 だが一緒にオタクをしていた人も退職をしたり、推しの卒業に伴ってオタクを卒業したり、一緒にグループを応援する仲間が少なくなっていた。

 幸い、私とKさんの推しは長くグループにいてくれたので、オタクを続けることができた。

 我々は日々新曲の選抜メンバーの発表にドキドキしたり、新しい才能を発掘したら共有し、コンサートを見るために二人で遠征することもあった。

 

 Kさんは10歳くらい年上の男性である。

 穏やかな口調で優しそうな見た目とは反面、リアリストで、関西弁で鋭いことをズバズバ言う。

 仕事にも厳しく、自分がすべきことは責任をもってこなす、職人のような営業マン、というイメージだった。

 Kさんと私は一時期同じ部署にいた縁もあり、こうして同じアイドルグループを追いかけるにいたった。

 ライブに行っては推したちの輝きに涙し、あの曲のあのメンバーがよかった、第何期のあの子のパフォーマンスがよくなっていた、だのオタクにしかわからないことを、酒をがぶがぶ飲みながら語り合った。

 

 そんなKさんも会社を辞めることになり、さらにKさんの推しもグループを卒業することになってしまった。

 それと同時に、私自身のオタク人生も終わってしまったかのような気持ちになった。

 際に一人でのオタク活動はなんだか寂しく、しかも推しが休業に入ってしまったので、かつてのように応援できない状況が続いた。
もうあの頃のように夢中でアイドルを応援することはないのだな、とやるせない気持ちになった。

 

 会社を辞めたKさんはその後、故郷である関西地方に戻ったのだが、それから数年後、私が関西に行く予定があったのでKさんを訪ねることにした。

 久しぶりに会ったKさんは体型も鋭い口調も変わっておらず、相変わらずめちゃくちゃ飲むしめちゃくちゃ食べる人だった。

 最近の会社の様子や、私が社内でどんな仕事をしているか、Kさんが今どんな仕事をしているか、とか、たわいない話をした。

 

「田口さんが男だったらよかったのに。」

 どういう流れでそんな話になったのかは覚えていないが、私はその言葉を言われたことを鮮明に覚えている。

 私が男だったら、何がどうよかったのだろう。

 もっとKさんと楽しく飲んだり遊んだりできていたのだろうか。私は今でも十分に楽しいのだが。

 それとも、仕事でもっと活躍できたのに、とかそういうことだったのだろうか。

 

 私の周りではあまり話題になっていないが、2021年のジェンダーギャップ指数で日本は120位だったそうだ。

 156か国中の順位なのだから、これは明らかに低いと思う。

 それにも関わらず、この問題が身近で話題になっていないというのは、私の身の回りでは男女間の格差にさえ気付いていない人が多いということなのかもしれない。

 そのくらい、このジェンダーギャップ指数のニュースが表していることは、根深いことだと感じた。

 

 私が男だったなら。

 今のような平社員じゃなく、もっと責任のあるポジションを任されていたのかもしれない。

 もしかしたら、実は給料自体変わっていたかもしれない。

 もっと世間の目を気にせず、自由に生きられたのかもしれない。

 結婚すべきか、子供を作るべきか、もし一人で育てることになったらどうなるか、今ほど迷わなかったかもしれない。

 生理のたびに仕事の進捗が遅れたり、体調不良で会社を休む必要はなかったかもしれない。

 

 でも、私が男だったなら。

 女性向けの事業には一生縁がなかったかもしれない。

 仕事一筋で結婚にも子どもにも最初から執着がなく、他人の心に寄り添えないままだったかもしれない。

 

 女に生まれたことが損をしているとか、得をしているとか、表立って感じてはいなかったが、もし「田口さんが男だったらよかった」というような世界があるとしたら、きっとそれがジェンダーギャップなのだろう。

 何も解決していないけれど、友達と呼べる人がそんな心配をしてくれたことは、少しだけ嬉しいような気がした。

 

 Kさんは先日誕生日を迎えた。

 普段ほとんど使うことのないメールでおめでとうを伝えた。

 すると、その数週間後の私の誕生日のときにKさんから、おめでとうメールが返ってきた。

 メールには、知り合って14年になりますか、と添えられていた。

 Kさんの脳内には、14年前のイキりにイキった私のイメージが残っているのだろうか。もっとも、今会ったところで「全然変わりませんね」とか言われそうだが。

男性だけの会議「“なぜだろう”と考える」。駐日大使や若者らがジェンダー意見交換

2021.04.01 Vol.Web original

 世界経済フォーラム(WEF)が発表した世界各国の男女格差を測る「ジェンダーギャップ指数」の最新ランキングで、日本は156カ国中120位と、過去2番目に低い順位であることがわかった。G7の中でも最低順位だった。

 こうしたなか、国内に根強く残る男女格差の課題を話し合おうと、駐日EU代表部は3月31日、「ジェンダー平等と若者世代」をテーマにイベントを開催。議論の模様はオンラインでも生配信された。

 会に参加したのは、各国大使や国会議員、若者ら約30人。日本や世界の教育、政治参画、暴力、ガラスの天井、夫婦別姓など、ジェンダー平等を実現するための課題についてさまざまな意見交換が行われた。

 

総勢22ヵ国の小学生がSDGsをテーマに発信!「こども未来国連」第1回が開催

2021.03.27 Vol.Web original

 世界の子どもたちが集まり、平和で豊かな世界について表現し合う「こども未来国連」の第1回が27日、東京・有明の「SMALL WORLDS TOKYO」で行われた。

 こども未来国連は、社会課題を解決していくために、企業・個人・団体の様々なネットワークや情報を共有し、コミュニケーション本来の力を駆使して平和な社会づくりに積極的にチャレンジするアクション&オピニオン参加型プロジェクト「SDGsピースコミュニケーションプロジェクト」の一環。

 コミュニケーションサポーターに、中山泰秀氏(防衛副大臣兼内閣府副大臣)、鈴木隼人氏(外務大臣政務官)、星野俊也氏(大阪大学教授)、堀潤氏(ジャーナリスト)、MIYAVI(アーティスト、UNHCR 国連難民高等弁務官事務所親善大使)を迎え、SDGsを軸に「2030年の世界はどうなっていてほしいか。そのためにはどのようなアイデアが必要か」をテーマに、9〜12歳までの22ヵ国・約50人の子どもたちがアイデアを出し合った。

kemio「自分の国を外から見る経験はしたほうがいい」高校生とSDGsを学ぶイベント

2021.01.25 Vol.Web Original

 クリエイターのkemioが24日、オンラインで開催された高校生たちによる「#せかい部×SDGs探究成果報告イベント with kemio」に出席した。貧困、ジェンダー平等の実現、まちづくり、気候変動、生物多様性などSDGsのトピックについてリサーチした結果を報告したもの。

 イベントでは、特に素晴らしい発信をしたベストレポーターが成果を発表。kemioも「一緒に勉強させていただきたい」と、それぞれの報告に熱心に耳を傾けつつ、自身が考えること、取り組んでいることなどをシェアした。

「発表するまでの間に準備やリサーチに時間がかかったと思います。僕自身が学生だったころを振り返ると、このようなトピックには目もくれなかったし、勉強もしなかった。みなさんが社会に出ていくと、いい方向に変わっていくのではないかと思いました」と、期待を膨らませた。

環境について考える「アースデイ東京」、18・19日オンラインで開催【週末のおうち時間】

2020.04.18 Vol.Web Original

 50周年を迎える世界的環境フェス「アースデイ」の東京版「アースデイ東京」が18、19日の2日間、オンラインで開催される。毎年10万人以上の来場者を迎えるアースデイ東京だが、通算20回目となる今年はすべてのコンテンツをオンラインのみで配信する。

ジェンダー学者・上野千鶴子とモテクリエイター・ゆうこすが激しくバトル!FM Festival2019の未来授業

2019.11.06 Vol.Web Original

 日本を代表する“知のフロントランナー”と現役大学生との公開講座『FM Festival2019 未来授業〜明日の日本人たちへ〜』(TOKYO FMなど)が4日、都内で行われ、社会学者でジェンダー・フェミニズム研究の日本の権威でもある上野千鶴子氏と、モテクリエイター・インフルエンサーのゆうこすが学生の悩みに答える公開対談生放送を行った。

リベラル男子の間違い恋愛観……リベラルの強要は「リベハラ」?

2019.09.23 Vol.Web Original

「モラハラ夫」という言葉が昼のワイドショーで騒がれ出してから、はや数年が経つ。そしていま、そんなモラルハラスメントの系譜に、また新たな項目が生まれつつある。その名も「リベラル男子」。リベラルとはもともと自由主義な思想のことを指し、多様性を受け入れる考えとして位置していたが、これが日本の男女間ではまたも「ジェンダー的」な泥沼関係を生んでいるのである。

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