内田理央主演のドラマ『来世ではちゃんとします2』(テレビ東京、毎週水曜深夜0時40分)。9月22日に公開された第7話では、内田理央演じる性依存系女子の主人公・桃ちゃんの本命セフレ・A君にスポットライトが当たった。
塩野瑛久演じるA君は、高学歴高収入高身長、いわゆる”三高”のハイスペイケメンだ。全てを持っているように見えていたA君だが、彼にもそれなりの苦悩があって……?
優等生気質のハイスペイケメンが抱える、周囲からの”期待”の重圧
桃ちゃんの本命であるA君だが、登場シーンはいつも夜中に桃ちゃんを急に呼び出す時ばかりで、前作含めて、これまで大きく人間性が描かれてこなかった。そんなA君の”事情”が、今回初めて語られた。
甘いマスクに高身長、商社務めで高収入。高学歴大学の同期で、稼ぎもよく顔も可愛い恋人を本命に据えながら、桃ちゃんというセフレまで作っている…文句のつけどころがないし、人生を謳歌できないわけがないように思える。
とはいえ、どんな人間にも悩みはちゃんとある。お金を稼いでいても、どれだけ可愛い彼女に愛されていても、心の穴が埋まらないことには意味がない。序盤でA君は「思えば、他者の評価を裏切らないよう、気を張り続けた人生だった」とひとりごちた。
高学歴で青春時代に勉強を頑張ってきた人にはよくある話だ。保護者や周りの先生に褒められれば、子供心ながらにやっぱり誇らしい。しかしいつしか、周りの指導者たちはどんどん「あなたならもっとできる」と過度な期待を寄せるようになる。勉強に真剣に取り組めるような真面目な子ほど、こういった周囲からの期待に「答えねばならない」と思い込んでしまうのだ。
幼い頃からの周囲からの期待に慣れてしまうと、典型的な「優等生気質」なキャラクターが出来上がる。A君も典型的な優等生気質で、親の期待、恋人の期待、周囲が勝手に想像する自身へのイメージというの期待に、全て応えようと生きてきてしまったのだ。「気にしなければいい」なんて言われて簡単に辞められるようなことでもなく、本人にとってはとても根強い、一種のコンプレックスに近いことだ。
そんなA君が唯一自分をさらけ出せたのが、職場や学友と言ったメインのコミュニティーとは関係ない場所で知り合った、桃ちゃんとの性行為だった。自分を抑圧して生きている人ほど、性行為や飲酒など、ソフトドラッグ的な行為にのめり込んでいってしまうというのもよくある話だ。優等生気質な人は、自分に根深いコミュニティーの中では自分の弱みをさらけ出すことができない。だから、彼女や家族でなく、セフレという曖昧な関係に救済を求めてしまうのだ。A君の性癖はちょっとクセの強いSMプレイ……。ずっと周囲に気を配ってきたからこそ、普段はできないような手ひどい扱いをすることに背徳感を覚えてしまうのかもしれない。
セフレを取るか、まっとうな恋人を取るか。2人の行く末は…?
つまり、本命彼女としては置けないものの、A君にとって桃ちゃんは、意外と大事な存在だったわけである。しかし現在、松田君とのギリギリな関係にお熱の桃ちゃんは、第5話の時点でセフレ断ちを決意し、A君のLINEをブロックしてしまっていた。さて、A君にとって本当に大切なのは、周囲の期待に沿っている本命彼女なのか、自分のダメなところを理解してくれる桃ちゃんなのか……どっちなのだろう? 第7話では、桃ちゃんの家に押しかけてしまうまでのA君の苦悩も見えた。このままおとなしく引き下がってしまうのか、来週また番狂わせがあるのか。
そんなA君の苦悩はつゆ知らず、同僚・松田君との友達以上恋人未満の関係をご満悦中の桃ちゃん。第6話では松田君とのおうちデート中にA君が押しかけてしまうという修羅場シーンもあったが、松田君との関係を前向きに考えているようだ。
大好きな本命セフレ・A君には可愛くて稼ぎもいい本命彼女がいて、自分はその子を差し置いて選んでもらえることはない。その事実はきっと、ずっと桃ちゃんの自己肯定感を下げ続けていただろう。そんな中、気持ちをきちんと言葉にして伝えてくれる松田君の存在は、桃ちゃんにとっても大きい存在となっている様子。
A君はどちらを選ぶのか、そして桃ちゃんはどちらを選ぶのか。惜しくも、来週で最終回となる来世ちゃん……見逃せない。