内田理央主演のドラマ『来世ではちゃんとします3』(テレビ東京、毎週水曜0時30分)。2月22日に放送された第8話では、ソープ嬢に恋する痛客・檜山くん(ラバーガール・飛永翼)にちょっとした成長が訪れる。今までお金で貢ぐばかりしか頑張り方が分からなかった檜山くんだけど、ひょんなきっかけでダイエットを始めることに……?
男性でも、お金で恋は実らない時代だけど
思いを寄せるソープ嬢・心ちゃんが長期欠勤中で、長い間会えないままになってしまっている檜山くん。かなり長い間「がんばって稼いだら心ちゃんに好きになってもらえるかな……」と”痛客思想”から抜け出せなかった。
檜山くんはなぜ、好きな子のためにお金を稼ぐ努力はできるのに、外見を改善しようとは思えないのだろう。深夜、檜山くんの漫画のアシスタントに来た蜜柑ちゃん(岬あかり)にも「もっと外見どうにかした方がいいですよ」と注意されるも「俺は能力面で頑張るからいいんだ」と、話をしっかりと聞き入れない。
外見に自信がないからこそ、その現実から目をそらしたいのかもしれないし、描かれていない過去の中で、外見を改善しようとして失敗したことがあるのかもしれない。それにしても、女性の場合は恋した時、まず最初に「外見磨きをしよう」と考える人が多いのに対して、男性はそうではないことも多いように感じる。実際、檜山くんのアシスタントである蜜柑ちゃんは、500万円近い費用で整形をし、垢抜けて見えるよう努力をした過去もある。稼ぎさえあれば誰でもそれなりの恋愛ができた時代もあったのかもしれないが、今はお金だけあっても敬遠されてしまう男性もいる。メイクや整形は、まだ男性にとって縁遠い部分もあるかもしれないが、ダイエットやおしゃれをするだけでも、垢抜けたと判断してもらえることだってあるのに。
しかし、蜜柑ちゃんとの会話の中で、若くて才能もあって、それでいて外見もかっこいい漫画家も世の中にいることも知った檜山くん。運動と食事制限のダイエットによって、体型だけでなく輪郭や肌までキレイになった。すると、いつも自分に自信のない檜山くんの口から、ポジティブな言葉が出るようになった。ダイエットで自分の努力が目に見えて結果となったことで、自信が出てきたのかもしれない。
どれだけ仕事を頑張っても、恋愛が上手くいかなかったり、外見に自信が持てないと自己肯定感の低下に繋がる。適度な運動や生活習慣の改善は、ダイエット効果だけでなく自律神経を整える効果もある。檜山くんのような男性にとって、男らしさといえば金銭力という思い込みもあったのかもしれないが、自分磨きすることで、精神的に余裕を持てるようになることも、かなり恋愛力に活きてくる。継続できるかが一つの鍵ではあるが、自分磨きの楽しさに気づいた檜山くんなら、今後ソープ以外でもいい出会いがあるはずだ。
コンプレックスを人と共有してみる
一方、アセクシャルの梅ちゃんは未だに、自分の幸せを模索中。BL好きで二次創作の恋愛マンガを描いていた梅ちゃんだけど、先日自身の経験をエッセイにした漫画がSNSでバズったばかりだ。趣味に没頭するのも楽しいようだけど、このまま1人で生きていくことにも不安を感じている様子。
バズをきっかけに連絡が来たコミックエッセイの仕事も「オタ活がテーマではネタが弱い」と突っ込まれ、へこむ梅ちゃん。たしかに今、WEBで今よく見かけるエッセイマンガといえば、婚活や不妊に不倫、浮気、子育てなど、恋愛や家族にまつわるセンシティブな内容がほとんどだ。恋愛が苦手な梅ちゃんは、そういった内容の実経験が少なく、そのこともコンプレックスに感じていた。だからこそ、母親が持ってきたお見合いの話を、受けてみることにしたのだった。
梅ちゃんのお見合い相手の縄文杉くん(蛙亭・中野周平)は、自信はなさそうに見えるが、丁寧で素直なコミュニケーションのできる男性だった。梅ちゃんのヘビーなオタク趣味の話にも、自分ができる範囲で共感し、共通点を見つけることができた2人。誰もが緊張する婚活では、最初に気兼ねなく話せる共通の話題が出てくると、一気に仲が深まる。……なんだか、悪くない駆け出しにも見える。
オタク話で心を開くことができた梅ちゃんは、自分のコンプレックスについても語ることができたのだった。度を超えて明るい人でない限り、みんなそれぞれ自身のコンプレックスを抱えているものだ。コンプレックスになっている以上、そこに向き合うことはストレスがかかることかもしれない。それでも、他人に自分の弱い部分を話したり、改善に向かって努力ができるようになると、自分自身心が軽くなることがある。
コンプレックスを隠すのはあたり前で、そして簡単なことかもしれない。しかし檜山くんも梅ちゃんも、悩んだ末に自分と向き合い、ダメな部分も含めて自分を認めようと努力している。自分を認めて心に余裕が出てくると、これまでの悩みが嘘のようにすぐ解決に至ることだってある。梅ちゃんも自分の弱さを縄文杉くんに共有できたので、今後彼とは、梅ちゃんらしい距離感で仲を深めていくことができそうだ。
難問…「家族」というコンプレックスも
終盤では、松田くんの難しいコンプレックスも垣間見えた。残業中の桃江に差し入れを持ってきた松田くん、「セックスするまで優しいだけなのかな」と不安になってしまう桃江に対して、真摯に自分の気持ちを伝えてくれる。かなりいい雰囲気の2人だけど、松田くんのところに母親からの電話がかかってくる。
その電話を無視して、「母親のことでイライラしたくない」と、急に取り乱す松田くん。桃江と付き合うまで、様々な異性と都合よく付き合ってきた彼だけど、ここに来て急に、家族との角質が垣間見えた。本人の人間性にも大きく関わる可能性の高い、家族というコンプレックス。その詳細は次週、語られるのだろうか。