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2011年のノーベル平和賞受賞者タワックル・カーマン氏がイスラエルとハマスに停戦呼び掛け「皆さんも声をあげるべき」

2023.11.07 Vol.Web Original

 2011年のノーベル平和賞受賞者のタワックル・カーマン氏が来日中の11月6日、イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスに向け停戦を呼び掛けた。

 カーマン氏はこの日、都内で行われた「SDGsグローバルガバナンスサミット2023」で「多国間での国際協調・マルチラテラリズム」というテーマで講演を行った。

 イエメン出身のカーマン氏は高校生のころからジャーナリスト活動を始め、2005年には「束縛なき女性ジャーナリスト」を設立。公的機関だけがテレビとラジオを所有できるという自由のない状態の中、報道の自由や人権を求める平和デモや座り込み抗議行動を組織してきた。「アラブの春」では女性主導で青年革命運動の先頭に立ち、2011年にアラブ女性初のノーベル平和賞を受賞。これは当時、史上最年少だった。現在も女性の安全と平和構築活動に参加する女性の権利を求めて非暴力による闘争を続けている。

 講演では気候変動、格差、世界平和、人権についてそれぞれの脅威と影響について語った。そういったものによって世界各地で戦争や紛争が起きているというカーマン氏は開始から1カ月になる今回のイスラエルとハマスの紛争について「強く非難する。特に市民への攻撃。イスラエルであれ、パレスチナであれ。特に女性への攻撃、市民への攻撃は非常に醜い。私たちは勇敢に人権について語っていかないといけない」としたうえで「このステージからガザへ停戦を呼び掛けたい。私は何も恐れない。今から停戦を始めてもらいたい。人質の解放を要求したい。そしてガザにおけるバリケードを解除し、生活用品、医薬品などが届くようにしてほしい。これは戦争犯罪だと思う。皆さんも停戦に向けて声をあげるべき」などと呼び掛けた。

堀潤氏が主宰する「8bitNews」で今までとは違うハマスとイスラエルの状況をJVC・エルサレム事務所現地代表が報告

2023.10.10 Vol.Web Original

 パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」が10月7日にイスラエルに奇襲攻撃を行ったニュースが世界を駆け巡った。ジャーナリストの堀潤氏が主宰するニュースメディア「8bitNews」の公式YouTubeでは10月9日、ガザで子どもや女性への支援を続けてきたJVCエルサレム事務所の木村万里子現地代表から現地の模様が伝えられた。

 イスラエルは報復としてすぐにガザ市街を空爆したこともあり両国で1400人以上の死者が出たとみられている。これまではガザ地区からロケットが発射されることはあったのだが、今回はガザ地区を隔離するためのフェンスが破壊され、ハマスの戦闘員がイスラエル国内の市街地で戦闘を開始するというこれまでとは違う状況となっている。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は7日には「戦争状態に入った」と宣言した。

 この状況に木村氏は「今までと違うということでみんな警戒を強めている。突然の出来事。前兆はなかった」と警戒。

 現状ではハマス側がイスラエルに侵入し人質を取り、民間人にも危害を加えていることで、イスラエルを支持する言説も目立つようになっている。

 しかし今回の背景として木村氏は「一つ目は去年あたりからパレスチナの一部、ヨルダン川の西岸地区へのイスラエルからの攻撃が非常に増えてきて、現時点で200人近くの方が亡くなっている。パレスチナ側も我慢の限界が来るのではという予想をしていた方もいた。背景にそういうことがあると説明はつく」という昨年来の現地の状況を説明。そして「もうひとつは、これが大きなきっかけになったのではないかと思う」と前置きし「エルサレムの旧市街に神殿の丘というエリアがあり、そこはもともとユダヤ教、キリスト教、イスラム教それぞれの宗教の聖地で、神殿の丘に訪問することは誰でもできる。その敷地内にイスラム教の聖地と呼ばれるものがいくつかあり、そこに訪問しお祈りや礼拝することはイスラム教徒の特権として認められていて、そのほかの宗教の人がその敷地内で礼拝を行うことは禁止されている。ただ今回、5000人を超えるといわれているユダヤ教徒がその敷地内に入り、礼拝と思われる行為をした。それに対し、イスラム教の聖地を侵したというようにハマス側がとらえて攻撃を仕掛けたということが一部で報道されていた」などと報告した。

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