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米国の急激なアジア・シフトにどう対応するか?【長島昭久のリアリズム】

2021.10.11 Vol.746

 ここ1‐2か月のバイデン政権によるアジア・シフト—より正確には「対中戦略シフト」—が風雲急を告げています。我が国の戦略を考える上でも、現状を正確に把握しなければならないと思い筆を執りました。

 私たちの目に見える形でその戦略シフトが始まったのは、猛烈な批判にさらされた8月のアフガニスタン撤退です。あまりにも性急な米軍撤退(に伴う首都カブールの混乱ぶり)に、欧州はじめ国際社会のみならず米国内でも野党共和党や米軍関係者からも怒りの声が上がりました。しかし、この行動の目的は明確です。20年間に2兆ドルもの国費(1日300億円!)と約6500人に上る犠牲者(米兵約2500人、契約民間人約4000人)を出した途轍もない「重荷」を降ろして、アメリカの持てる国力を今世紀最大のライバルである中国との戦略的競争に振り向けよう、という一点に尽きるのです。

 その後、突然発表されたのが、AUKUSです。豪州のAU、英国のUK、アメリカのUSをつなげた名称が表すように米英豪3か国による新たな安全保障協力です。そこでは、豪州とフランスとの間で進められていた通常駆動型の潜水艦建造計画が破棄され、米英の有する原子力潜水艦技術を豪州に供与することが発表されたのです。当然フランスは猛反発しましたが、後の祭りです。ずいぶん乱暴な進め方ではありますが、それくらい事態は切迫していると見るべきでしょう。

 その動きと前後する形で、英国からは空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃部隊がインド洋を超えて南シナ海から西太平洋海域へやってきて、我が国海上自衛隊の軽空母「いせ」や米海軍の強襲揚陸艦「アメリカ」などと共同訓練を行いました。そこには、米海兵隊と英空軍のF-35Bと航空自衛隊のF-35Aという最新鋭戦闘機も参加しました。その後、日米英豪の海軍合同演習も行われました。

 そして、9月いっぱいで退陣する菅義偉総理が訪米し、ワシントンにおいてQUADと呼ばれる日米豪印4か国の首脳会議が初めてリアルで行われたのです。QUADでは、インドの対外姿勢を慮って軍事面を強調することは避けつつも、4か国の経済、技術、気候変動などにおける幅広い協調と結束を確認する有意義な会議となりました。

 これらの動きに通底する共通目標は、中国との戦略的競争を同盟国・同志国により優位に進めるための足場固めです。(そこに秘められた軍事的な意味合いについては稿を改めて論じます。)

 新たに選出される総理総裁および新内閣は、このような我が国を取り巻く戦略環境の激しい変化を見据えつつ、国民の命と平和な暮らしを守るという崇高な使命を全うしていかねばなりません。

(衆議院議員 長島昭久)※本稿は、9/29自民党総裁選の前に書かれました。

【今月の一言】小池百合子東京都知事、中谷元、バイデン米大統領、北村新司市長、習近平国家主席、麻生太郎財務相

2021.07.11 Vol.743

 小池百合子東京都知事が国政転出について「私はそういう意思を一度も言ったことがない。なぜそう書くのか、よく理解できない」(7月5日、記者団に)

→みんな気になってるから。

 

 自民党の中谷元・元防衛相が都議選で都民ファーストの会が自民党と拮抗したことを踏まえ「衆院選後に『小池新党』との保守合同を真剣に検討すべきではないかと思う」(7月7日、谷垣グループの会合で)

→結成されるの? 

 

 バイデン米大統領「死をもたらすウイルスからの独立を宣言できるときが今までになく近づいている」(7月4日、演説で)

→独立記念日ネタ。

 

 下校中の児童の列にトラックが突っ込み児童5人が死傷した、千葉県八街市の北村新司市長がガードレールの設置について「措置が遅れた。順次、通学路の整備を行っている」(6月30日、臨時の記者会見で)

→要望は平成20〜23年に出されていたとか。そんなに危ない通学路が多いの?

 

 中国の習近平国家主席(共産党総書記)「永遠に党を信じ、党を愛し、党のために各自の持ち場で粘り強く必死に努力しなければならない」(6月29日、「七一勲章」の授与式での演説で)

→宗教?

 

 麻生太郎財務相が過労で休養中の小池百合子東京都知事に対し「自分でまいた種でしょうが」(6月25日、青梅市選挙区の自民党新人候補の応援演説の際に)

→その応援された山崎勝候補は落選。これは誰がまいた種ですかね?

混迷の米大統領選にやっと決着!? バイデン氏の次期大統領就任ほぼ確定

2020.12.11 Vol.736

 米大統領選は12月8日、全50州と首都ワシントンが開票結果を確定する事実上の期限を迎え、中西部ウィスコンシン州を除く各地で結果が確定された。

 米大統領選は、50州と首都に割り当てられた計538人の大統領選挙人のうち、過半数の270人を獲得した候補が勝利する。これまでの11月3日の一般投票での集計では民主党のバイデン前副大統領は306人(ウィスコンシン州の10人を含む)、共和党のトランプ大統領が232人を獲得。

 ウィスコンシン州の開票結果は1日にいったん確定されたが、共和党側が訴訟を起こし、確定が先延ばしとなっていた。しかしこの10人がトランプ氏のものになっても296対242と大勢は変わらず、バイデン氏が次期大統領に就任することがほぼ固まった。

 今後は14日に各州で選挙人による投票が行われ、その結果を来年1月6日に開く連邦議会の上下両院合同会議で集計し、正式に正副大統領を選出する。

 これに先駆け、バイデン氏は11月23日に重要閣僚の候補を発表し、国務長官にアントニー・ブリンケン元国務副長官を指名。11月30日には国内外の安全保障情勢に関する機密情報をまとめた報告書である「大統領日報」(PDB)を情報機関から初めて提供された。これは現職の大統領が受ける報告と同じ内容で、トランプ大統領からバイデン氏への安全保障分野での引き継ぎが着々と進められている。

 一方、大統領選に関する訴訟については8日の期限を過ぎても続けられることからトランプ陣営の弁護団は声明で「憲法が定める唯一の期限は来年1月20日の大統領就任式だけだ」と越年闘争の姿勢を示している。

米大統領選でバイデン氏復活

2020.03.06 Vol.728

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