新型コロナウイルスの感染拡大を受け、フランスのノーベル文学賞作家アルベール・カミュ(1913〜1960)の代表作『ペスト』(新潮文庫)の人気が再燃している。1947年に発表された『ペスト』は『異邦人』に次ぐ2作目の小説で、当時フランス領のアルジェリア・オラン市を襲った伝染病ペストの脅威に立ち向かう民衆を描いた不条理文学の金字塔。新潮文庫版『ペスト』は1969年発行、近年では年間で平均5000部ほど増刷していたが、国内で感染が拡大した2月以降に書店からの注文が急増。2カ月で7回15万4000部を増刷し、このほど100万部を突破した。
不用不急の外出を自粛し、伝染病の恐怖と不条理を味わう読書にぴったりだ。