「南アルプス」「富士山」「六甲」「安曇野」…この名称を聞き、ミネラルウォーターを思い浮かべる人はきっと多いはず。今でこそ日本のいたるところで、誰もが手にすることができるミネラルウォーターだが、実は飲み水として浸透し始めたのは、そこまで古くないということをご存じだろうか?
先ごろ飲料大手のサントリーが発表した「サントリー ウォーターレポート( https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF1318.html )」によると、ミネラルウォーターが日本で普及し始めたのは1970年代ごろバーなどでお酒の割材やチェイサーとして扱われるようになった“瓶入りのミネラルウォーター”がきっかけらしい。
1980年代に入り、自然・健康ブームの中で「ミネラルウォーター」を手にする人が増え、飲食店だけでなく家庭でも「ミネラルウォーター」を飲む文化が生まれ始めた。
その後、1990年代には輸入水が流行、また、当時マンションの貯水タンクの汚れや水道水の問題が報じられるにつれ、安心・安全を求めて「ミネラルウォーター」を家庭向けに購入する機会も増えていった。
さらに、2000年代以降は健康志向の追い風に加え、度重なる自然災害、特に2011年の東日本大震災を契機に、家庭内に備蓄する志向が高まり、ミネラルウォーターは普段の生活の中で当たり前の存在となっていった。
日本は水道から流れる水が衛生的で水質がよく、水道水をそのまま飲むということも一般的なものと捉えられている。少し昔であれば家の水道水だけでなく、公園や学校などで喉が渇いたら水道の蛇口をひねり、ぐびぐびと水道水を口にする子供や学生を目にしたものだ。
一方で、このリポートによると、現代の若年層、例えば20代は物心ついたころには家庭内にミネラルウォーターが存在し、意識せずとも飲み水として「ミネラルウォーター」に触れている人が多く、いわば、“ミネラルウォーターネイティブ”世代といえるそうだ。20代の7割近くは、飲み水と言えばミネラルウォーターを思い浮かべ、8割近くが、ミネラルウォーターを買うことは普通のことだとも回答している。
さらに、昨年夏にLINE株式会社が運営するLINEリサーチが発表した「全国の高校生を対象にしたカフェ(飲み物)に関する調査( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003179.000001594.html )」によると、女子高生が“ふだん自分で買う飲み物TOP10”で、なんと、ミネラルウォーターが堂々の1位に輝いていたのだ。この結果からも、若い世代にとって、ミネラルウォーターは、あえてお金を出してでも買う飲み物の1つとなっており、その存在感は大きなものとなっているようだ。
日本においてミネラルウォーターが飲み水として定着していったこの40年、ミネラルウォーターネイティブなる世代も出現し、ますますミネラルウォーターは無くてはならない存在になるのだろうか。
冬が本格化したこの時期に、ミネラルウォーターの話を聞くと寒々しく感じるかもしれない。そんなときは、今、巷で話題となっているミネラルウォーターの“白湯”を手に、身体を温めてみるのもいいかもしれない。