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ゴーン被告が逮捕後初会見も真新しい話は特になく…

2020.01.09 Vol.726

 昨年末、保釈中に逃亡した日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(65)=会社法違反(特別背任)などの罪で起訴=が1月8日、レバノンの首都ベイルートで記者会見した。ゴーン被告が会見を行うのは2018年11月の逮捕後初めて。

 対外的には記者会見といえるものなのだが、どうやら自らに批判的なメディアを排除するためか「懇親会」という形式を取り、多くの日本のメディアが締め出される中で“会見”が行われた。

 会見前には日産社内のクーデターに関与したとする日本政府関係者の名前を明かすことをにおわせていたのだが「レバノン政府に迷惑をかけたくない」などとして早々にそれはなしに。

 ただ日産内の関係者として西川広人・前社長兼最高経営責任者(CEO)、川口均前副社長、豊田正和社外取締役、ハリ・ナダ専務執行役員、前監査役の今津英敏氏、元秘書室長の大沼敏明氏の名前を上げた。豊田氏については日本の当局とつながっていたとも語った。豊田氏は元通産省の官僚で2018年6月に社外取締役に就いている。

 逃亡の具体的な方法についても協力者に迷惑がかかるとのことで「語るつもりはない」と肩透かし。ただただ“なぜ逃げなければいけなかったのか”について日本の司法制度を批判しながら繰り返した。

「クーデターの証拠」があると主張していたのだが、これもほぼ日本では報道されているようなもの。スライドで示した資料についてもニューヨークタイムズ紙に「文字が小さすぎて読めなかった」などと評される程度の扱いで、これをもって出席者に事件の概要を理解してもらおうという意思のものではなかった。また特別背任における主張も一方的なもの。

 会見は結局、政府関係者の名前、逃亡方法、新証拠という聞こえのいい材料で注目を集めたうえで、日本の検察やメディアを一方的に批判するといった内容に終始した。

 ゴーン被告は「数週間以内に無実の証拠を明らかにする」とも語っており、今回は大いなるプロローグといったところか。

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