「Diverse Theater」というのはワタナベエンターテインメントが立ち上げた、さまざまなクリエーター、プロデューサーとのコラボレーションにより、演劇の可能性を広げる実験的な新プロジェクト。その第一弾となる今回はオフィスコットーネの綿貫凜氏とタッグを組む。
今回はスイスを代表する劇作・小説家・推理作家のフリードリヒ・デュレンマットの代表作の一つである『物理学者たち』をノゾエ征爾の上演台本・演出により上演する。
物語の舞台は、サナトリウム「桜の園」の精神病棟。そこには「物理学者」の3人の患者が入所していた。そのサナトリウムで、ある日看護婦が絞殺される。犯人は通称“アインシュタイン”を名乗る患者で、院長は放射性物質が彼らの脳を変質させた結果、常軌を逸した行動を起こさせたのではないかと疑う。 しかしさらなる殺人事件が起き、事態は思わぬ方向へ動いていった。
第二次世界大戦での甚大な原爆被害も記憶に新しく、ベルリンの壁建設や水爆ツァーリ・ボンバの爆発実験など、世界情勢が緊迫した 1961年に執筆された本作では「科学技術」そして「核」をめぐって渦巻く人間の倫理と欲望が描かれる。