『ケイコ 目を澄ませて』の完成披露試写会が7日、都内にて行われ、主演・岸井ゆきの、共演の三浦友和、三宅唱監督が登壇。三浦が「人生の岐路」に関わった故・忌野清志郎の存在を振り返った。
聴覚障害と向き合いながらリングに立ったプロボクサー小笠原恵子にインスパイアされ『きみの鳥はうたえる』の三宅唱監督が新たに生み出した物語。
本年2月に開催された第72回ベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門に出品され高く評価。釜山国際映画祭には、主人公ケイコ役の岸井も参加。岸井は「本当に“映画好き”の目を通して見てくれて、こんなところまで気づいてくれるんだという質問が多かった」と海外での高評価に手ごたえを実感した様子。
岸井が演じるケイコを見守るジムの会長役・三浦も「今21カ国(の映画祭で上映)。世界の方たちに見ていただけるという状況がこの作品の素晴らしさを証明していると思います」と胸を張った。
聴覚障害のあるプロボクサーでありながら等身大の女性を表現するという難しい役どころを演じきった岸井を、ジム会長役の三浦は「クランクインの日にプロボクサーとして仕上がっていた」とたたえ、岸井も「三浦さんはジムにずっといて見守っていてくださった」と感謝。
この日は、物語にちなみ「人生の岐路は」と一同に質問。
三浦はフリップに「PCサクセション」と記し「高校の同級生が忌野清志郎。彼がいなければRCサクセションとは出会わなかった」と、2009年に逝去した忌野清志郎と、そのバンドRCサクセションとの縁を振り返り「でも音楽の才能が無いんだったら俳優の道に行けばと、その中の1人が、事務所を紹介してくれた。忌野清志郎と出会っていなかったら俳優になってなかった」と明かした。
一方、岸井は「ケイコ」と回答し、三浦は「この映画に関係する回答のほうがよかったですね」と苦笑。岸井は「映画が好きで、映画作りをずっと追いかけている。この作品で、私が追い求めてきた映画というものに少し近づいた気がしました。でも映画からこちらに近づいてはこないので、永久に追い続けないといけないものだとも感じましたし、これからも追い続けたいです」と映画への情熱を新たにしていた。
『ケイコ 目を澄ませて』は12月16日より公開。