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密を避けつつ出かけたい、春のアート展『あやしい絵展』

2021.03.23 Vol.739

 近代、大きく移り変わる時代のなかで生み出された、従来の“美”とは異なる視点を感じさせる作品に注目した展覧会。

 明治期、西洋からもたらされた知識や技術はあらゆる分野に影響を与え、美術においても西洋の刺激から新たな表現が数多く生まれていった。そのような状況のもとで生み出された作品の中には、退廃的、妖艶、グロテスク、エロティックといった「単なる美しいもの」とは異なる表現を持つものもあり、それは激動の時代に生きる人々の心をとらえ、大衆にも広まっていった。

 展覧会では、幕末から昭和初期に制作された絵画、版画、雑誌や書籍の挿図などからこうした表現を紹介。上村松園の《焰》や《花がたみ》、鏑木清方《妖魚》など、あやしくも美しい魅力にあふれた名画をはじめ、甲斐庄楠音《横櫛》、橘小夢《安珍と清姫》、秦テルヲ《血の池》などインパクト満点のあやしさを放つ作品など、近代日本美術の名作の数々に加え、アルフォンス・ミュシャ、ダンテ・ガブリエル・ロセッティ、オーブリー・ビアズリー、エドワード・バーン=ジョーンズといった、日本美術にも大きな影響を与えた西洋美術の作品も展示。

 現実を超えたあやしさ、おどろおどろしいあやしさ、官能的なあやしさ…その時代の画家たちをとりこにしたあやしさを見つめてみては。

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