あるニュース番組の内容が次々に改変させられる異様な状況を描いた『ザ・空気』(2017)、 国会記者会館の屋上を舞台に、日本独自の“記者クラブ制度”に着目し、メディアと政権の癒着に迫った『ザ・空気 ver.2 誰も書いてはならぬ』(2018) に続く“空気”シリーズの第三弾が上演される。
『ザ・空気』、『ザ・空気 ver.2』ともに各演劇賞でさまざまな賞を受賞するなど高く評価された。
本作の舞台は再びテレビ局。政治評論家の横松は、BSニュース番組「報道9(ナイン)」にゲストコメンテーターとして登場するため、某テレビ局にやって来た。ところが、ある「ゆゆしき事態」が発生したために、出演が難しくなってしまう。不本意ながら、普段は使われていない9階の会議室で待機することになった横松の前に、番組のチーフ・プロデューサー・星野が現れた。彼女が思いがけない人の名前を口にしたため、横松は動揺する。さらに、この部屋にまつわる「怖い話」を聞かされて……。
二兎社初参加となる佐藤B作があくの強いコメンテーターを、同じく初参加の神野三鈴がプロデューサー役を務める。
前2作同様、混迷を深める社会状況や現実の政治とシンクロさせ、今の日本の“空気”をリアルに体感できる作品となっている。