美術家・会田誠がミヅマアートギャラリーでは5年ぶりとなる個展を開催。本展では、それぞれ制作動機は異なりつつ、「食」を契機に生まれた、自国・日本への断ちがたい会田の思いを題材とした3作品が一同に会する。
ギャラリーのスペースを大きく占有するのは《MONUMENT FOR NOTHING V〜にほんのまつり〜》。同作は、兵站の軽視により飢餓に直面することが多かった旧日本軍の兵士をモチーフとし、素材や技法は青森のねぶたを参考にして制作された大作。東京では初お披露目となる。
平面作品では、新作絵画シリーズ《梅干し》が登場。会田は高橋由一の《豆腐》(1877年)を「日本で最初にして最良の油絵」と公言しており、《梅干し》はそれを念頭に置いて制作された、油絵具による写生画。上記2点に加え、会期が1年延期されたことで新たに追加となった「漬物」を題材にしたコンセプチュアルな新作も本展で発表となる。
デビュー以来ほぼ一貫して、日本文化や日本社会をテーマにしてきた会田誠。もちろん批評的まなざしではあるが、ここまでこのテーマにこだわり続けている現代美術家はそう見当たらない。ネットの一部で「反日アーティスト」とレッテルを張られることもあるが…はたして「愛国が止まらない」というタイトルは会田の真情なのか、それともアイロニーなのか。作品を実際に自分の目で見て確かめてみては。