3月に行われた証人喚問後、姿を見ることのなくなった佐川宣寿前国税庁長官の周囲がまた慌ただしくなってきた。
学校法人「森友学園」との国有地取引で、大阪地検特捜部は5月31日、決裁文書を改竄したとする虚偽公文書作成罪などで告発された佐川氏らを不起訴処分とした。
特捜部は不起訴処分とした理由を「虚偽の文書を作成したと認めるのが困難」と説明した。「書き換え」という行為はあったが、改編の度合いが刑事訴追の壁となった。
これを受け、4日には市民団体「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」が審査申立書を郵送。5日には神戸学院大の上脇博之教授らが大阪第1検察審査会に審査を申し立てた。審査会で「起訴相当」や「不起訴不当」が議決されれば、特捜部が再捜査する。
一方、財務省は6月4日、「森友学園」をめぐる決裁文書改竄の調査報告書を発表。当時、理財局長だった佐川氏が政治家名が記載された文書を「外に出すべきではない」と発言し改竄を主導したと認定した。財務省は関係者計20人を処分し、佐川氏を最も重い停職3カ月相当とした。