SearchSearch

自動車免許を取得した小森隼、母とのドライブ明かす「女、乗せました」に内田理央が「言い方!」

2023.12.18 Vol.Web Original

 

 ダンス&ボーカルグループ、GENERATIONSの小森隼とモデルで俳優の内田理央が12月17日、都内で行われたイベント「#TOKYO サステナライフ ~わたしのミライにつながるおうち~」のトークショーに登壇した。

 イベントは、東京都が、太陽光発電設備や断熱・省エネ性能などを備えた、環境性の高い住宅の特徴やメリットなどを若い世代にも伝える目的で開催したもので、小森と内田は、サステナブルやSDGs、節電などをトピックにトークした。

 トークのなかで、自動車免許を取得したことで電気自動車などに興味があると話した小森。イベント終了後の取材で、どこかにドライブに行ったのかと聞かれると、「全く行けてない」とのこと。「めっちゃ行きたいんです。車を持ってないんでレンタカーして。色々調べたんですけど、初心者マークが外れないと登録できないところもあったりして。ただ、行く相手も別にいないんで……」

 小森のターンが終了するかと思ったところで、「あ!母親と一緒にドライブ行きました。母親がスカイツリーを見たことがないって言うんで、母親を助手席に乗せて。初の女性を助手席に乗せて!……女、乗せました!」とニヤリ。そんな小森に内田は「言い方ー!」。

 ドライブでは「あんたが運転する日が来ると思わんかったわ」と、母親に言われたと笑顔を見せた。

GENERATIONS 小森隼と内田理央「巡業を始めたい」? サステナブルなトークで意気投合

2023.12.18 Vol.Web Original

 

 ダンス&ボーカルグループ、GENERATIONSの小森隼とモデルで俳優の内田理央が12月17日、都内で行われたイベント「#TOKYO サステナライフ ~わたしのミライにつながるおうち~」のトークショーに登壇した。

 小森と内田は、サステナブルな取組みやSDGs、快適な住まいなどをトピックに約1時間トーク。イベント終了後の取材で初対面でともに緊張していたと明かしたが、司会者を交えた3人でトリオ漫才のような思わせるトークで会場を沸かせた。

 この日2人は、内田は古着のジャケットを、小森はデッドストックファブリックを活用したコーディネートとサステナブルを意識したファッションで登壇。

 ファッションのこだわりについて聞かれた小森は「人の温もりみたいなのを感じるのがすごく好きで、職人の方が手編みで編んだりとか、染めも泥染めとか天然で染めているものとか、色をい色止めせずに使っていくままに色が抜けてその人に合うみたいな、そういうのがすごく好きで。シーズンレスというか 1 回だけで終わらない、これから先の人生の中でも一緒のパートナーとして着ていけるような服みたいなのが元々すごく好きです」と一気にトーク。

 内田が「めちゃくちゃ素敵ですね」と賞賛するも、「でも……こんなやつ嫌ですよね。彼氏になって、この服はね、天然色の泥染めでやっててね、一緒にペアルックで着てく?なんて……」と自己完結する小森だったが、内田は「何にも考えないでどんどん買い替えるよりも、いろんな思いを込めて買って感じてくださる方の方が、自分のことも家族のことも大切にしてくださるような感じがしますね」

内田理央、町田啓太ら「楽しみ」渋谷の新ランドマークで開業前パーティー

2023.11.23 Vol.Web Original


 渋谷の新しいランドマーク「Shibuya Sakura Stage」のプレオープニングパーティーが11月23日に同所で行われ、俳優の内田理央、町田啓太ら著名人がゲストとして登場した。

 今後順次開業予定で、まだ一般の人は入ることができない施設内でのパーティー。ゲストにはと内田と町田のほか、モデルの福士リナ、モデルで俳優の大平修蔵も。パーティー前には、企画した女性ファッション誌「VOGUE JAPAN」のティファニー・ゴドイ編集長とトークセッションも行われた。

 

仕事に救われる朝もある 内田理央主演『来世ではちゃんとします3』最終話〈ドラマでしゃべりたい〉

2023.03.27 Vol.Web Original

 内田理央主演のドラマ『来世ではちゃんとします3』(テレビ東京、毎週水曜0時30分)。3月22日に放送された第12話で、最終話を迎えた。

 主人公・大森桃江(内田理央)は本命彼氏ができても、元セフレとの仲をしっかり断ち切れたとはいえない。それは彼氏である松田くん(小関裕太)も一緒だった。同僚の林くん(後藤剛範)は、その素直さゆえに松田くん実姉である百合ちゃん(長井短)に騙されかけた。都会で働くブラック企業のサラリーマンである彼らを取り巻く人間関係と多様性、そして家庭事情をリアルに描いてきた来世ちゃん。登場人物たちはどうしたら、幸せになれるのだろう。

それぞれの幸せ、それぞれの未来

 桃江が職場に出勤すると、そこに松田くんと林くんの姿はない。元セフレの亜子ちゃん(小島藤子)に匿われていた最中、警察から連絡をもらった松田くんは、実姉の百合ちゃんが保険金詐欺に関わっていたことを知る。やはり、百合ちゃんは林くんを騙そうとしていたのだった。実母からのネグレクトを受けていた百合ちゃんは、家を出た後もその人間性を正すことができなかったのだろう。

 その場を去ろうとする松田くんを呼び止めた亜子ちゃんは「松田くんのこと世界で一番、一生大好き。ずっと味方だけど、前に進むね」と告白する。大好きな人のことは、一度は拉致監禁までしてしまった亜子ちゃん。歪んだ愛情をぶつけてもお互いのためにならないということは、その当時に学んだことのはずだった。でも、時間が経ってもやはり、松田くん以上に好きになれる男性が現れなかったのかもしれない。

 でも、それでもいい。若い頃の情熱的な恋の感情は、期間限定の熱さを持っている。情熱的な恋が運命だとは限らないし、恋愛というものは奇しくも、我を忘れるほどの情熱なんてない方が上手くいくものなのである。

 そして、自分磨きのために筋トレに邁進していた檜山くんは、ソープの予約ページから推しの嬢・心ちゃんがいなくなっていることに気がつく。もう心ちゃんに会うことはできない……と卒倒してしまう檜山くんだけど、これでよかったのではないだろうか。

 叶わない恋をずっと続けるのはつらい。連絡手段が強制的に絶たれたことで、檜山くんは前に進まざるを得なくなった。自分磨きも筋トレも、きっと次の恋や、それ以外にも色々な役に立つ。檜山くんは失恋をしたけれど、きっとそれ以外に得たものも多いはずだ。どうか次は風俗ではなく、もっと真っ当な場所で恋をしてほしい。

 一方の桃江は、梅ちゃんに「セフレに会ってしまったことで罪悪感を抱えている」と告白する。梅ちゃんは意外と冷静に「嘘も時に必要だよね」と反応する。お見合いを経て一歩成長した梅ちゃんは、一生を遂げられるパートナーに出会えなければ、1人たくましく生きればいいだけだと話す。人生の選択肢は多い方がいい。「こうなったら最高!」と思える選択肢を目指すのは大切だけど、それ以外の選択肢を取ったっていい。どうにでもなれるような遊びを残していくと、ふと人生に余裕が生まれるものだ。

恋に仕事に、人生のバランスはかくも絶妙

 いろんなことが丸く収まったかのように見えたスタジオデルタに、久しぶりに締め切りギリギリの大仕事が入ってくる。林くんと松田くんも遅れて合流し、全員が色々な想いを抱えながらも「今は仕事するしかない」と作業に向き合う。

 生きていれば、受け入れ難いことも困難な壁にもぶち当たる。しかし、デルタのみんなは「ブラック会社員」だ。そこで働くからこその、強い絆がある。人生はいろいろあるが、多くの場合仕事は続けていかなければいけない。そして、多くの場合仕事はストレスの元だが、プライベートがぐらついた時、仕事が逃げ場になる時もある。

 こうやってバランスを取りながら、私たちは仕事をし、恋をして、そして生きていく。仕事があるから、恋が楽しいし、恋があるから、仕事もがんばれる。どちらが抜けてしまっても物足りないのだ。それに桃江たちが、他人に理解されにくい多様性を持っていても強く生きていけるのは、やっぱり仕事が忙しいからなのかもしれない。考えたからって上手くいくわけではないこともたくさんあるし、恋愛はその筆頭ともいえるのだから。

 互いに元セフレと会っていたけれど、やましいことはないと告白し合えた桃江と松田くん。結局、2人は似たもの同士なのだ。寂しがりやで、常に自分の役割を探している。松田くんの家庭問題がなくなったわけではないし、桃江の性依存がきれいさっぱりなくなるのかも、まだ分からない。

 だけど、なんでも一気に解決しようとしなくてもいいのかもしれない。性依存、家庭事情、セカンド童貞、アセクシャル、痛客、メンヘラ。世の中には色々な生きづらさがある。最終話では「シーズン4」を匂わせるようなシーンもあった。桃江たちの幸せの形はまだ分からないけれど、全員がその形を焦らずに探していってほしいと思う。まだ幸せへの道半ばのメンバーの今後は、次シーズンでまた描かれていくのだろうか……今後に期待せざるを得ない。

 

(文・ミクニシオリ)

家庭の歪み、言えずに大人になってしまったら 内田理央主演『来世ではちゃんとします3』11話〈ドラマでしゃべりたい〉

2023.03.17 Vol.Web Original

 内田理央主演のドラマ『来世ではちゃんとします3』(テレビ東京、毎週水曜0時30分)。3月8日に放送された第11話では、主人公・大森桃江(内田理央)の彼氏である松田くん(小関裕太)は複雑な家庭事情を抱えており、姉の登場に面食らってしまう。そんな折に目の前に現れた、元セフレの亜子ちゃん(小島藤子)。松田くんは亜子ちゃんの自宅に向かってしまい、そこで姉との関係、母の歪んだ愛とネグレクト的事実について語る――。

 

母親のネグレクトから始まった家庭崩壊と、事実の隠蔽

 今回始めて、松田くんの口から姉である百合ちゃんのことが語られた。松田くんの家は、母親が松田くんばかりを溺愛し、百合ちゃんに愛を向けなかったという。結果、百合ちゃんの歪みは、松田くんに「妬み」として向けられた。松田くんはそのことを「家族のことだから」と、誰にも言えなかったであろうことが伺える。

 そんな松田くんに、亜子ちゃんは「家族のことでも、DVはDVだよ。警察に行こう」と諭すが、松田くんもなかなか決心がつかない。「家族のことは、家族のことで」という風潮って、日本独特のものなのだろうか。世界の家族がどんな有り様をしているのかは分からないけれど、自身も漠然と「家庭内の問題を家庭外に持ち出してはいけない」と教えられていたような気がする。

 だからこそ、家庭の問題はなかなか明るみに出ない。例えば宗教二世の問題もそうだし、百合ちゃんが受けたネグレクト問題もそうだ。亜子ちゃんは、松田くんに暴力を振るっていた百合ちゃんを訴訟しようと提案していたが、百合ちゃんもまた、親の愛を正しく受けられなかったという意味では被害者だ。

 林くんの家では、百合が林くんの作ったハンバーグを食べている。「母の得意料理なんだ」と笑う林くんに「私は作ってもらえなかった。おでかけもご飯も、弟だけだったんだ」と話しながら、お箸を上手く使えていない様子が描かれる。みんなが当たり前にできることを自分は教わっていない。その事実は、大人になってからも百合ちゃんを苦しめ続けたはずだ。

 家庭という小さな社会は、子どもの成長にとても大きな影響を与える。義務教育でも、ある一定以上の「家庭の事情」に踏み込もうとしない学校もあるだろう。こうして、家庭の暗黒は大人になるまで、家庭の中で闇に紛れてしまうのである。

 だからこそ松田くん自身、近親の仲である桃江にすら、まだ自身の家庭の闇を話すことができていない。家庭内で起こるトラウマ的な間違った教育も、その子の本質的な人間性を形作っていってしまう。愛されない姉の横で自分だけが溺愛され、子どもとしての役割を求められ続けた松田くん。だからこそ、責任感を伴う恋愛から一線を引いてしまっていたのかもしれない。

 

「なんで私じゃダメだったの」と男性に聞いても…

 

 とはいえ、姉の登場で動揺してしまった松田くんは、元セフレで少々メンヘラ気質のある亜子ちゃんの自宅に来てしまう。傷ついているタイミングとはいえ、監禁までされた過束縛ガールの自宅にのうのうと連れ帰られるこの甘さが、松田くんをダメ恋愛に縛り付けている部分もあるだろう。それもこれも、一言で言えば「お育ち」。松田くんが自主性に欠ける行動を取ってしまうのは、育てられ方にも原因があった。

 互いにどこかしら好きな部分があったから、セフレという関係に甘んじていた。だからこそつらい時には甘えたくなるし、2人の間には共依存関係がある。好きだから「なんでもさせて」と松田くんにすり寄る亜子ちゃんと、そこに甘えてしまう松田くん。相手から与えてもらう役割に甘えているだけでは、支え合う関係性は作れない。

 松田くんのスマホを見て、松田くんに今彼女がいると知ってしまった亜子ちゃん。動揺を隠すかのように「スタイルがいいの?すごく性格がいいとか?」と引き笑いをしながら聞き続け、止まらなくなる。かつて、桃江が本命だったセフレのAくんにもそうしたように。

「なんで自分じゃだめだったのか」、「自分に何が足りなかったのか」。そんな風に、恋愛を通して異性からの評価を求めてしまう女性は一定数いると思う。男性と比べれば柔軟性の高い女性からすると、その評価を自分に活かそう、というくらいの気持ちなのかもしれないし、終わりにする理由をきちんと提示してほしいということなのかもしれない。

 でも、評価を求められる男性の方はどうだろう。どんな時も自分に自信を持って「貴女のこういうところがダメだったから」と伝えられる人もいるかもしれない。しかし、そうして男性は常に「ジャッジ」を迫られる。判断するのも、決めるのも自分だ。

 振られる側の亜子ちゃんもつらいかもしれないが、何度もきちんと振らないといけない松田くんだって、つらい。相手の悪いところを探しているうちに、だんだんとわからなくなって「全部自分が悪い」と思い込んでしまう男性もいる。松田くんもまた、そうして自分を責めてしまうのだった。

 恋愛において、男性と女性は全く違う。女性は恋愛にまつわる多くを同性の友人と共有して、お互いに評価をし合う。一方の男性は、恋愛事情を誰かに相談することも、言語化することもない。そんな男性に「何がダメだったのか」と泣きつくのは酷だし、また現実的な答えが返ってくる可能性も低い。

 恋愛において、男女の差というのは理解しておくべきだと思う。そうでないと、お互いを不要に傷つけてしまうこともある。傷ついた松田くんを助けようとした亜子ちゃんは素敵だし、友人として頼るのも悪くない。でも、それだけであるべきだった。恋愛的な下心を持ってする人助けは、時に余計なこじれを生んでしまうのだ。

 前シーズンと比べて、登場人物たちの性愛のこじれを生んだ「家庭事情」にフォーカスを当ててきた『来世ではちゃんとします3』も、来週が最終回。松田くんと姉の関係はどうなるのか。そして、主人公である桃江と松田くんは、自分らしい「幸せ」を見つけることができるのか……?

 

(文・ミクニシオリ)

悪気なく、人が人を傷つける瞬間 内田理央主演『来世ではちゃんとします3』10話〈ドラマでしゃべりたい〉

2023.03.11 Vol.Web Original

 内田理央主演のドラマ『来世ではちゃんとします3』(テレビ東京、毎週水曜0時30分)。3月8日に放送された第10話では、主人公・大森桃江(内田理央)の同僚である梅ちゃん(太田莉菜)が、お見合いで出会った縄文杉くん(蛙亭・中野周平)と「友達として」オタ活を楽しむ。しかし、縄文杉くんは梅ちゃんへの気持ちを我慢できなくて……。

 後半では、林くん(後藤剛範)が匿っている女が百合ちゃん(長井短)だということを知り、なぜか動揺する松田くん(小関裕太)。林くんを吹っ切れない凪ちゃん(ゆうたろう)まで巻き込んで、林を説得しようとするも、上手くいかない。自分らしくいる。ただそれだけで、他の誰かを傷つけてしまうことがある。

 

「好きになるのは自由」だけど「好きだから自由」ではない

 お見合いで出会った梅ちゃんと縄文杉くんは、恋人としてでなく、オタク友達として推しアニメの応援上演にやってきた。

 縄文杉くんに「聖地巡礼に行って、これからもずっと一緒にオタ活しよう」と言いながら、普段の口調が戻ってきている梅ちゃん。だけど縄文杉くんは「高杉さんのことを好きになってしまいました」と打ち明ける。

「高杉さんを困らせたくなかった」という思いがあったことも語る。縄文杉くんだけど、それでも梅ちゃんは、自分に向けられている目線が性的なものだと気づいてしまうと、嫌悪を感じてしまう。そして、縄文杉くんとの出会いを通して「誰が相手でも、恋愛するのは無理」と正直な気持ちを語ることができた。

「恋愛はできない」という自分の気持ちには気づいていた梅ちゃんだけど、ずっと1人でいることに関しては、不安を感じていた。しかし軽い気持ちでお見合いに参加してしまったことで「自分だけ楽めればいいって、縄文杉くんの気持ちを無視していた」ということにも気づくことができた。

 ハーフ顔で世間的に見ても整った顔立ちの梅ちゃんは、自分にその気がなくとも、誰かから好意を集めてしまうことがある。でも、相手が好意を持つこと自体を否定してはいけないということに、気づいたのかもしれない。

 恋は自由だ。誰かのことを好きになってはいけないわけではない。だけど、好きだからと言って、何でもしていいわけでもない。梅ちゃんへの配慮を忘れなかった縄文杉くんの優しさのおかげで、自己理解が一歩前に進んだ梅ちゃんなのであった。

 

鈍感な素直さが、誰かを簡単に傷つける

 後半、一方の林くんは、未だに家に謎の女・黒木百合ちゃんを匿っている状態……。元カノだったお隣さん・梢ちゃん(浦まゆ)の知り合いであるはずの百合ちゃんだが、林くんを心配に思い、その部屋を覗き見た松田くんは、ひどく動揺する。どうやら2人は、知り合いのようだ。

 そんな松田くんが泣きついた先は……林くんのことを吹っ切れずにいる、男の娘の凪ちゃんだ。最初こそ「鬼退治みたいなことを頼むな」と松田くんに言い放つ凪ちゃんだけど、林くんへの情なのか、百合ちゃんを引き剥がしに向かってくれる。

 林くん本人は、百合ちゃんの存在を少しだけ疑っているようだけれど、百合ちゃんの「あなたのことが好きだから一緒にいるだけ」という言葉に簡単にほだされる。林くんと百合ちゃんちゃんのカップリングは、これまで見てきた来世カップルの中でもかなりむかっ腹が立つ。林くんは素直でいい人だけれど、時たま「女なら誰でもいいのか?」と思うほど簡単な男だ。簡単な誘惑に騙され、搾取される。素直さで騙され続けていく様を近くで見ているのは、たとえ友人でもつらいだろう。

 凪ちゃんに対しても、林くんに悪気はないことも分かる。でも悪気がないからこそ、簡単に人を傷つける。百合ちゃんは、林くんのところにやってきた凪ちゃんを見て「可愛いカッコをした男の子だあ!」と言い放つ。そして、林のためにとやってきた凪ちゃんの前で、簡単に百合ちゃんにほだされる。

 そんな「配慮のない素直さ」に傷つけられる凪ちゃん。女の子以上に努力して、美しくあろう、強くあろうと努力していた彼女。しかし、林くんと百合ちゃんの心ない一言で、自尊心は簡単に傷つけられてしまう。

 「女の子に生まれなかっただけで、僕の努力は全部意味ないじゃん。でも、泣いたらみじめだ」。そう言って最後まで自分の理想とする自分であろうとする姿は、強く美しかった。林くんは素直で鈍感で、自分のせいで凪ちゃんが傷ついたということにすら気づかない。これまでの梅ちゃんも、林くんも。鈍感であることで、傷つく誰かがいるということを知らなかったのだ。

 結局、百合ちゃんは林くんの家に居座り続ける。そして、林くんのスマホから松田くん宛に「お姉ちゃんだよ」というLINEを送りつける。姉の出現に、これまでにないほど動揺する松田くんの前に、かつて彼を監禁するほど愛した元セフレ・亜子ちゃん(小島藤子)が現れる。彼女もまた、かつて松田くんの「鈍感さ」に傷つけられた人の1人でもある。弱りきっているところに、依存でズブズブに愛してくれる女性が登場してしまったら……松田くんは、正気でいられるのだろうか。

(文・ミクニシオリ)

 

宗教二世と、その恋愛事情 内田理央主演『来世ではちゃんとします3』9話〈ドラマでしゃべりたい〉

2023.03.03 Vol.Web Original


 内田理央主演のドラマ『来世ではちゃんとします3』(テレビ東京、毎週水曜0時30分)。3月1日に放送された第9話では、主人公・大森桃江(内田理央)の元セフレ・Bくん(平田雄也)が久しぶりの登場。何やら切羽詰まった様子で桃江の家を訪れた彼は、なんと桃江に「一緒に実家に来てほしい」とお願いする。
Bくんの勢いに流されて、彼の実家に婚約者のフリをして向かうことになってしまった桃江。一見優しそうにも見えたBくんの実家だけど、どうやらBくんと実家には、何か確執があるようだ。

 

恋人の家族がもし、宗教を信仰していたら

 これまでも登場人物を通して、様々な「生きづらさ」が描かれてきた来世ちゃん。桃江の元セフレ・Bくんに関しては、これまでは彼が「家族との確執を抱えていそう」ということが、やんわり描かれてきた程度だった。

 広告代理店勤務で、普段は優しく落ち着いているBくんだけど、これまでも何度か「性格の屈折」が垣間見えるようなシーンがあった。顔はニコニコと笑っていても、意外とプライドが高く素直でないところがあったBくんだったが、今回はじめて、そんな彼の「歪みの原因」が垣間見えることになる。

 突然桃江の家にやってきたBくんは「旅費も謝礼も渡すから、婚約者として実家に着いてきてほしい」と言う。どうやらBくんは長年実家には帰っていなかったようなのだが、大好きだったおじいちゃんの7年忌で、久しぶりに実家に帰ることを決意したのだという。

 Bくんの実家にたどり着くと、実家には優しそうな父母とともに、怪しい占い師のような女性の姿が……。どうやらBくんの家は、何か新興宗教のようなものにハマっているようだ。初対面の息子の婚約者に対して「家のしきたり」をあれこれと押し付けてくる両親。そして、その両親の意思決定は例の占い師が握っているといった風で、Bくんはその構図に納得はしていないようだった。

 Bくんの家の事情は、思ったより複雑そうだ。彼は恐らく宗教2世として育てられるも、自身は信仰に至らず、家族とも上手くやれていないのだろう。Bくんには過去、結婚を考える元カノがいたこともあったという。しかし、この調子で「しきたり」を押し付けられたら、信者ではない人ならほとんどが引いてしまうだろう。

 Bくんの両親には、あまり悪気がないようにも見える。信仰心のある本人たちからすると、よかれと思ってやっていることなのだ。だからこそ、息子であるBくんにも信仰としきたりを押し付けてしまう。本人たちは「息子のために」と思っているのがまた、たちの悪い部分だったりする。

 自分だったら、相手の家族が宗教を信仰していたらどうするだろう。交際するだけならまだいいかもしれないが、結婚となると相手の家族とも関わらなくてはいけない。相手はよかれと思って、自身の信じるものに準じた行動を求めてくるだろう。いくら相手のことが好きでも、価値観にずれがある家族と付き合いを持ちたくない人もいるかもしれない。

 現代では無宗教の人がほとんどを占める日本では「信仰の多様性」も受け入れづらい。しかしそれは、信仰を持つ人もまた多様性を知らぬがゆえに、信仰を他人に押し付けるパターンが多いからだろう。

 たとえ家族であったとしても「信仰の自由は侵害されるべきではない」と、昨今日本でも叫ばれ続けてきた。子どもであればいいと考えてしまうのも、日本ではまだ本当の意味で「多様性」が浸透していないからなのかもしれない。

 Bくんも現時点では、家族の信仰とは「適度な距離を保つ」しかないことが伺える。人によっては絶縁にすら発展することもあるが、中には「それでも家族だから」と、苦しみに耐えながらも関係を続ける人もいる。どちらが正解ということはないのだろう。

 桃江が「ずっと頑張っていたんだね、つらかったね」と声をかけると、堰を切ったかのように泣き始め、桃江にすがりついたBくん。家族の問題は、自分の中で抱え込んでしまう人も多いという。Bくんは今後、家族を理解してくれる人を見つけるのか、それとも家族とは決別する道を見つけるのだろうか。


元セフレでも優しくするのは、普通?

 それにしても桃江は、本命彼氏がいるにも関わらず、嘘をついて元セフレと宿泊での旅行に来てしまった。Bくんにものっぴきならぬ事情があることも理解できる。しかし彼も「もしこれで彼氏とダメになるなら、僕と付き合えばいい」「僕だって桃江ちゃんの一番になりたい」など、明らかに桃江に気があるようなセリフをほのめかす。

 同性の友達同士だって誕生日を祝い合ったりするし、つらい時には助けてあげたいと感じる人もいる。そういう意味では、桃江は友人としてBくんを助けてあげたかったのかもしれない。しかし、そのために彼氏に嘘をついたということは、少なからず罪悪感があるはずなのだ。

 セフレとはいえ、友達だから助けてあげたいという純粋な気持ち。しかし、彼氏からすればきっと「元セフレとは関わらないでほしい」とも思うだろう。家のことで泣き崩れるBくんにも、頭をなで胸を貸し、優しくしてしまう桃江。そういうどっちつかずな態度や、いざという時に流されてしまう意思のなさが、これまでも桃江を苦しめてきた。善良でさえあれば、幸せになれる世の中ではない。

 バレなければいい……そんな考えが桃江にもあるはずだ。婚約者のフリなんて難しいことも、頼んできたのはBくんだけど、流されてしまったのは桃江だ。その選択が今後、彼女を苦しめることにならなければいいのだが……。

性癖が特殊なのは、恥ずかしいこと? 内田理央主演『来世ではちゃんとします3』第7話〈ドラマでしゃべりたい〉

2023.02.18 Vol.Web Original

 内田理央主演のドラマ『来世ではちゃんとします3』(テレビ東京、毎週水曜0時30分)。2月15日に放送された第7話では、職場恋愛中の主人公・桃江(内田理央)と松田くん(小関裕太)が職場恋愛を満喫中。

 オフィスの裏でたまたま会っただけなのに、出勤時間をずらそうと慌てる2人だったけど、都合よく、社内メンバーは全員外出中。松田くんは「それなら、この間の続きしちゃう?」と桃江に迫る……。

 しかし、そんな2人の前に、遅刻してきた同僚の梅ちゃん(太田莉菜)が現れてしまう。恋愛の苦手な梅ちゃんは、そんな2人のことが気に入って仕方ない。その一方で、梅ちゃんの友人であるエログロ漫画家・りんごちゃん(小西桜子)にもとある受難が。りんごちゃんが自分の性癖を「気持ち悪いから」と吐き捨てる、その理由とは……。

性癖が人と違うことを笑われ、バカにされた過去

 桃江と松田くんの職場恋愛に気づきつつある梅ちゃんのところに、りんごちゃんから一本の電話が入る。どうやら、彼氏・たっくん(ダウ90000・飯原僚也)に漫画の原稿を見られてしまい、自身の性癖を知られてしまったというのだ。帰ったら別れ話になってしまう、と梅ちゃんに泣きつくりんごちゃん。自分の性癖を「気持ち悪い」となじり、これまでは頑張って普通の子に擬態していたのに、とふさぎ込んでしまう。

 彼女は学生時代、仲が良かった子に自身の描いたエログロ漫画を黒板に貼られたこともあるという。これまでも彼女は何度か、自分を「人と違う」「理解されない」と評価していたが、その原体験にもなった出来事なのかもしれない。自身が愛しているものを否定され、笑われた経験は、幼い彼女をどのくらい傷つけただろう。彼女にとっては自然と興味を持ったエログロだったが、周りの友人にはそれを受け入れてもらえなかった。子どもだったからこそ、周りも素直に、思ったままの感想を言ったかもしれない。しかしそれは、彼女にとって存在否定に近いような言葉の暴力となったはずなのだ。

 今の日本ではジェンダーを受け入れようとする流れが一気に進んではいるが、未だ同性婚すら可決しきらない日本では、まだまだ文化レベルでマイノリティへ配慮しきることが難しい現状だ。教育現場でもまだ、ジェンダーをどのように教育していくべきか、議論はされていても徹底は難しい状況が予想できる。しかし、子どもの頃のトラウマは時間が経っても解決せずに心に残りやすく、りんごちゃん自身そのトラウマに縛られているようにも見える。だからこそ、恋人に対しても本音を隠そうとしてしまい、話し合うことすら拒否しようとする。

 しかし、彼氏からは「迎えに行くから」と電話が。会社まで押しかけてきた彼氏はなんと……たくさんの拘束具を手にしていた。拘束具を身に着けながら「こういうの興味あるの、前から知ってた。君のためなら受け入れるから」と、りんごちゃんの性癖に歩み寄ってくれたのだった。幼い頃からのトラウマが、消えるわけではない。それでも、自分を受け入れようと努力してくれる彼氏の存在。そして、性癖への理解はなくとも仲良くしてくれる梅ちゃんのような友人の存在は、きっとりんごちゃんの支えになっていくだろう。

彼氏がいなくても、パートナーは見つかる?

 しかし、どこか一方が幸福だと、誰かの不幸が際立って見えるのはなぜだろう。やっと報われる恋ができた桃江は、このところ登場の度に浮かれているのだが、未だトラウマを拭いきれないりんごちゃんも、アセクシャルの梅ちゃんのことも気がかりだ。職場ではかなり桃江と仲良くしていた梅ちゃんは、桃江と松田くんの職場恋愛に気づいてしまい、こうひとりごちる。

「私と一番仲良しだったのに、彼氏ができたらそっちになっちゃうんだね」

 結婚を選択しない者に課される業は、周りと違う将来を選択する不安に加え、今まで仲良くしていた友人も、恋愛や結婚を機に疎遠になっていく可能性があるということだ。アセクシャルの梅ちゃんにとっては、結婚しない道はかなり自然な選択でもある。しかし、トラウマを抱えるりんごちゃんにも、これまで異性に傷つけられてきた桃江にも彼氏がいて、自身には歩み寄ってくれる存在がいないというのは、梅ちゃんにとっては寂しいことのはずだ。

 りんごちゃんと彼氏の仲直りを見て、パートナーシップのある関係に憧れを持つ梅ちゃん。何も恋人のみが歩み寄れる関係というわけでもないので、同性で結婚を選択しない仲間や、老後を助け合える存在が梅ちゃんにも見つかればいいなと思う。例えば、私の身の回りにも同性愛を親にカミングアウトしないために、同じ目的を持つ異性同士で同棲生活を送る友人もいるし、結婚せずとも楽しく暮らそうと、シェアハウスで集団生活をする人もいる。自分を助けてくれる人を見つけやすい場所もあるはずだ。梅ちゃんにも、自身に合うパートナーシップの形が見つかりますように。

幸せもつかの間…新たな波乱の予感

 一方、隣の部屋に住んでいたソープ嬢の梢ちゃんと別れた林くん(後藤剛範)にも新たな災難が。なんと梢ちゃんの親友だと名乗る、黒木百合(長井短)という女性が現れて……。

 そんな百合さんのことを、なぜか家にあげてしまう林くん。この鈍感さが命取りなのだが、怪しい女にばかり絡まれてしまうのはきっと、彼の底抜けな優しさゆえなのだが……。身体の関係を匂わせながら誘惑し、家に泊めてくれるよう頼む百合さん。結局、見知らぬ怪しい女を家に泊めて、自分は満喫に泊まったという人のいい林くんだったけど、とある事実に気づいてしまう。百合さんは、なぜか松田くんにそっくりなのだった。林くんはどうなってしまうのか、そして百合さんと松田くんの関係とは……?

「手に入らない幸せ」ほど恋しくなるのはなぜ? 内田理央主演『来世ではちゃんとします3』第6話〈ドラマでしゃべりたい〉

2023.02.10 Vol.Web Original

 内田理央主演のドラマ『来世ではちゃんとします3』(テレビ東京、毎週水曜0時30分)。2月8日に放送された第6話では、第5話でやっと報われた主人公の桃江(内田理央)と松田くん(小関裕太)カップルを尻目に、まだ自分の幸せを模索中の登場人物たちにスポットがあたる。

   前半では、ノンケの林くん(後藤剛範)になかなか振り向いてもらえない、トランスジェンダーの凪ちゃん(ゆうたろう)が、自分とフィットする価値観を持つ男性・柊くん(七瀬公)とデートへ。後半は、檜山くん(ラバーガール・飛永翼)が指名するガチ恋ソープ嬢の心ちゃん(中川知香)が、心を病んでしまって……? 主人公カップルが上手くいったとて、物語にはまだまだ幸せ道半ばのキャラクターが多くいる。

 

「ノンケ好き」「寝取られ癖」…いばらの道を歩み続けても、手に入らないものは輝いて見える

 まずは、前回の胸キュンシーンを思い出しながら悶える桃江が登場。職場恋愛は、周りの人間にとっては気を使うことになりかねないので、松田くんとの怪しい空気感が、周りに伝わっていないか心配。

 その一方で、今回は自分と似た価値観を持つ男性とデートに来た凪ちゃん。処女厨でノンケの林くんとはなかなか進展のない凪ちゃんだけど、第4話でも、セクシャルマイノリティならではの将来への不安を吐露していた。

 そんな凪ちゃんのデート相手の柊くんは、SNSで凪ちゃんに「一目惚れ」。ちょっとコミュニケーションが暑苦しいが、高学歴で高身長、条件は悪くない。でも……凪ちゃんは「昔から僕って、ノンケばっか狙っちゃうんだよなあ」とひとりごちる。

 これは1つの性質、としかいいようがないのかもしれないが、セクシャリティを問わず、自分には振り向いてくれないような人を好きになってしまう人がいる。無理めな人を落とせるかどうかのゲーム性に燃えているのか、はたまた自分には手の届かないレベルの異性を手に入れたくなってしまうのか……。

 柊くんもまた、そんな性質を持つ人の1人。柊くんに「好きな男がいる」としっかり伝えた凪ちゃんに対して「嫉妬で興奮しちゃいました」と伝える柊くん。いわゆる「寝取られ癖」、自分が好きな人が他の人に取られることに興奮を覚えるという性癖を持っているのだった。

 それもこれも、成長の過程の中で培われてしまった性癖であり、本人もなりたくてなったというわけではないだろう。しかし、結局手に入らないものを好きで居続けることには、苦労も涙もあるはず。凪ちゃんや柊くんは、その先もそんないばらの道を歩くことを選択していくのだろうか。

 

「自由に稼ぐ楽さ」か、「普通という不自由」か

 後半は檜山くんの指名するソープ嬢・心ちゃんが久しぶりに登場。出勤前確認の電話がかかってきてもやる気が出ず、初めてお店を欠勤してしまった心ちゃんだけど……そんなタイミングでガチ恋客の1人である、檜山くんからの「痛LINE」が。

 ソープの仕事が、どれくらい大変なのかをしっかり想像することは難しい。でも、日々檜山くんのような客の男性から「先に身体を重ねた」ということから好意を持たれるのは、どんな気持ちだろう。名前は源氏名で、正しい個人情報なども、客に対してペラペラと伝えているわけがない。檜山くんがどんなに心ちゃんを思っても、心ちゃんにとってはたくさんいる「勝手な好意をぶつけてくる人」の1人で、ソープという「金銭の発生する場所」で会う客の1人だ。

 そんな心ちゃんの元に、ソープの元同僚で林くんの元カノでもある梢ちゃん(浦まゆ)からの連絡が。梢ちゃんはソープを辞めて、貯金で南の島へ。素直さが裏目に出て、心ちゃん以上に心の病に苦しんでいた梢ちゃんだけど、南の島では薬にも頼らず元気に暮らしているようだ。

 そんな梢ちゃんの素直さとおバカさにちょっとだけ、元気をもらった心ちゃんは、なんとかソープへ出勤していくのだった。しかし……心ちゃんがなぜ、ソープで働き続けるのかはまだ描かれていない。どれだけ自分に尽くしてくれそうな男性客からモテたとしても、心ちゃんは幸せを感じていない。もちろん時給の良さや出勤日の自由などのメリットはあるが……なぜ、対人ストレスの多い風俗という仕事を選び続けるのか。

 心ちゃんの幸せは、ソープで「そこそこ自由に」稼ぎ続けることなのだろうか。それとも……ソープは足を洗って、不自由に働きながらも、本当の自分を知ってくれる人と恋をしたり、人と同じ幸せを追いかけていくことなのだろうか。

 心ちゃんにとっての「手に入らない幸せ」はなんなのだろう。自立していて自制心もある心ちゃんなら、一歩踏み出せば自分にとっての幸せを手に入れることができるようにも思えるのに。履歴書にぽっかり空いてしまう空白の期間や、貢がれることに慣れてしまった事実は、それほどに心ちゃんにとって重いものなのだろうか。友人の梢ちゃんもソープから足を洗った中で、心ちゃんの選択がどう描かれていくのかが気になる。

(文・ミクニシオリ)

性依存女子救うのは…依存を分かち合える男性か、女心を理解する女性か? 内田理央主演『来世ではちゃんとします3』第5話〈ドラマでしゃべりたい〉

2023.02.03 Vol.Web Original

 内田理央主演のドラマ『来世ではちゃんとします3』(テレビ東京、毎週水曜0時30分)。2月1日に放送された第5話では、主人公の桃江(内田理央)が元カノに心が揺れる本命彼氏の松田くん(小関裕太)と、女性心を理解しているレズビアンの聖羅さん(ルウト)との間で揺れる。

 第4話では圧倒的なポジティブさで場を荒らしてくれた聖羅さんと、松田くんの元カノ・華ちゃん(筧美和子)。四角関係の4人はどうなるのか。

 

男に依存した人生を卒業させてくれるのは……女?

 職場恋愛中だというのに、気まずい空気が流れている桃江と松田くん。喫煙所で久しぶりに話すと、松田くんは元カノがいま暮らしているところへ戻るという日に空港に見送りに行くという。思わず、つらそうにその場を離れる桃江。こういうのもあるから職場は……と思わず頭を抱えてしまう。

 どっちにしろ元カノが海外に行くにあたって、元カレが見送りに行くことなんて普通あるものか?と疑問を感じざるを得ない。これが現実の話なら「元カノとの距離感がおかしい男にロクなやつはいない、そんな男辞めておけ」と桃江に進言したいところだが……。桃江のこれまでのセフレたちに比べれば、松田くんはまだちゃんと話し合える方のキャラなので何も言えない。

 松田くんが元カノとグレーになっているショックで、第4話で久々に登場したレズビアンの聖羅さんに会いに行ってしまう桃江。聖羅さんは女性だからこそ、同性である女性に対する扱いがうまく、桃江の自己肯定感を上手に満たしてくれる。

 桃江の方はレズビアンの自覚はない状態だが……男に頼らず幸せになると決めたのに、聖羅さんになら……とほだされそうになる桃江。どっちつかずに揺れる桃江に、心の中で「大丈夫、男の代用にされるのは慣れっこだから」とつぶやく聖羅さん。不思議な魅力がある聖羅さんだけど、きっとこれまでにつらい思いをしてきたこともあるはず。でも、だからこそ、傷ついてきた者の気持ちを理解し、包み込むこともできるのだ。聖羅さんと付き合ったら、これまでとは全く違う生活が待っていそう。でも、桃江の選択は……。

元恋人との間に揺れる思い。「性依存系男子」の選択は…

 一方の松田くんは、会社を休んで元カノの見送り。職場恋愛しておいて、会社を休んでまで元カノを見送りに行くなんて、ぶっちゃけありえないが……。仕事が終わって、屋上で1人泣く桃江のもとに、遅れて登場した松田くん。「住む世界が違うことを実感した」と、元カノを振ったことを桃江に伝えた。

 このセリフも、聞きようによっては「やっぱり元カノのがレベルが上なんだ」とも聞こえるセリフだけど、不安定になっていた桃江には十分すぎる“ただいま”の言葉。その後、2人は……。来世ちゃんにはこれまでなかった「純愛」シーン。これで2人は、幸せになれるのだろうか。

 第4話では自己肯定感が高くポジティブに見えた松田くんの元カノ・華ちゃん。元カレに振られて、1人で異国へ帰路に着くのは、どんな気持ちだろう。聖羅さんも華ちゃんも、志と意思のある女性に見えるが、今回は「強くあろうとする女性」の苦悩も見えた。態度には出さなくても、誰しもがんばっていること、つらいこともある。

 自分の夢のために、元カレを振り回してきた華ちゃん。でも、心のどこかには「自分で決めたことなのだから、道半ばで諦められない」という思いがあるはずだ。松田と別れた後1人泣く華ちゃんには、聖羅さんと重なる部分も。

 桃江の前で弱い部分を見せない聖羅さん、そして松田くんには涙を見せない華ちゃん。強い女性にも苦悩があるし、彼女たちのことも、包み込んでくれる人がいるといいなと思った。立場の違い、志の違い、セクシャリティの違い。居心地のいい人をパートナーに選びたいだけなのに、この世には見えない障壁が多すぎるなとも思った。

 

(文・ミクニシオリ)

弱さを理解できる「性依存系女子」か、ポジティブになれる「自己肯定系女子」か? 内田理央主演『来世ではちゃんとします3』第4話〈ドラマでしゃべりたい〉

2023.01.27 Vol.Web Original

 内田理央主演のドラマ『来世ではちゃんとします3』(テレビ東京、毎週水曜0時30分)。1月25日に放送された第4話では、主人公の桃江(内田理央)がトランスジェンダーの凪(ゆうたろう)とラブホ女子会に。後半は凪の姉でレズビアンの聖羅(ルウト)、松田くんの元カノ・華ちゃん(筧美和子)が登場。優柔不断でなかなか幸せを掴めない桃江とは裏腹に、どんな環境でも自分の意見をしっかり持つ、強い女性たちも登場。その違いはどう描かれていくのだろう。

悩みや弱さを人と分かち合う、マイノリティなふたり

 桃江と凪のラブホ女子会シーンから始まった第4話。ウキウキでラブホ女子会に向かう2人だけど、受付女性は「ラブホ女子会コース」を予約する凪の顔を見て、一瞬固まってしまう。そんな対応にも慣れている様子の凪だけど……やっぱり、傷ついていることも確かなのだ。「未だに男性2人じゃ入れないラブホもある」と凪。

 考えてみれば、同性同士でラブホテルに入れないのって、なんでなんだろう。インターネットで調べると「犯罪を防ぐため」「掃除に時間がかかるらしい」などという不明瞭な理由が出てくる。もちろんホテル側にも事情があるのだろうけど、同性愛者への偏見の目線がある現状も否めない。今は「同性OK」と明記しているホテルも増えているようだけど……。

 至るところで自分に向けられてきた不利な目線に不安がる凪。「将来も自分を殺して普通に男として社会人になっていかなきゃいけないのかな」「僕がもし普通の女の子だったら今までの男性を全員メロメロにできるのにな」。マイノリティであることで、色々と生きづらさを抱えてきている凪。しかし桃江もまた、手に入らないものばかり欲しくなって、性的マイノリティとはまた違う生きづらさを抱えてきた。

「私たちって似てるよね」と、固く手を握り合う2人。お互い絶対幸せになろうね、と誓い合う2人を見ていると、生きづらさや悩みを抱える人に必要なのはお互いに共感しあえる友人なのではないかとも感じる。2人の悩みは同じではないけれど、悩んでいるのは自分だけではないという安心感は大切だ。1人きりで悩み続けるよりは、きっと心強い。

一方…自己肯定感高く、強く生きる女性たち

 その一方で、今回「来世ちゃん」では珍しい強い女性たちも登場した。桃江の彼氏・松田くんは、凪ちゃんの想い人・林くんちに連泊中。元カノへのモヤモヤが晴れず、気を紛らわすかのように友人宅へ転がり込んでいる松田くんだったけど、とうとう「元カノ精算」の決意をする。

 松田くんの元カノ・華ちゃんは、派手ではないけど自己肯定感の高い女性。ピアニストとしての目標が高く、単身海外で活動している華ちゃんちゃん。松田くんとのデートに遅刻してきて「いい女って遅れてくるものでしょ?」とバッサリ言える自己肯定感の高さ。ドラマでは耳にするこのセリフだけど、異性に向かって堂々と言える女性はなかなかいない。だからこそ華ちゃんは、松田くんの心にも残っているのだろう。

 華ちゃんと話す松田くんの心中は、ぶっちゃけ未練たらたら。そんな松田くんに「一緒にフランスに行こうよ!」と誘う華ちゃん。忙しい日常を忘れるべく、女性とは都合のいい関係を作ることで自分の心を守ってきた松田くん。フランスで働いたらどんな感じかな、と想像する彼だけど……。

 日本より働きやすい海外で、個人事業主として働く想像をするも、あまりピンとこない様子。向上心のある人に憧れはするけれども、自分はより想像のつきやすい、日常生活に満足してしまうその気持ち、すごく分かる。華ちゃんのことも憧れの目線は持っているようだけど、どこかで「自分とは違うすごい人」という一線を引いているのかもしれない。だって、肯定感の強い人と一緒にいるには、自分も肯定感を高く持っていないといけない。そうではないと、劣等感で押しつぶされそうになるからだ。

 そんな松田くんに「今の彼女はあなたにとって、将来を共にするパートナーなの?」と持ちかける華ちゃん。なんでもないような顔をしても意外と食い下がってくるあたり、スタジオデルタメンバーにはない意思の強さを感じる。もちろん、桃江とは真逆と言ってもいい行動力と安定した情緒を感じる。

 華ちゃんだってきっと、自分の好きなことを仕事にするために頑張っていて、その夢を叶えるために強くなった部分もあるはず。そう思うと憧れる気持ちも分かるけど、果たして松田くんの決断は……?

 3話の最後には凪の姉・聖羅さんも登場。聖羅さんはなんと、桃江とはレズビアンバーで出会ってワンナイトラブしたこともある。……つまり、聖羅さんはレズビアンなのだ。

 通勤時間にオフィスカジュアルの服装で、颯爽と現れた聖羅さん。凪と似た境遇ではありながらも、社会に順応して生活していることが伺える。しかも、彼氏がいる桃江に対しても「それってつまり、女枠は空いてる?」と強気の姿勢だ。凪と同じ性的マイノリティではありながらも、自身のキャラクターを上手にコントロールしている聖羅さん。聖羅さんの強さの理由はまだ描かれていないが、凪と同じような悩みを抱えたこともあるはずだ。聖羅さんはなぜ、強く生きることができているのか……今後、聖羅さんの生き様がどう描かれるのかも注目ポイントだ。

 来世ちゃんの見どころはやっぱり、どの登場人物についてもその人がなぜ悩み、どんな人生を送ってきたのかを、コミカルながらにしっかり描いてくれるところだ。新しくスポットがあたった登場人物たちの人生も気になるが、松田くんと桃江はどんな選択をしていくのか……来週が待ちきれない。

(文・ミクニシオリ)

Copyrighted Image