7月26日に東京・後楽園ホールで開催された「プロフェッショナル修斗公式戦」のメーンで行われた世界フライ級チャンピオンシップで、内藤のび太が同級3位の澤田龍人を4R4分46秒、肩固めで破り、初防衛に成功した。内藤にとっては昨年9月に室伏シンヤに挑戦し、ベルトを奪取して以来の試合だった。
ここまで防衛戦が延びたのにはわけがある。
修斗では近年、若い選手の層の底上げや活性化といったことを目的にインフィニティリーグというリーグ戦を展開。優勝者にはランキング上位との対戦やタイトル挑戦といったビッグチャンスが与えられる。
2013年に行われたウェルター級のリーグ戦では大尊伸光が優勝。翌年3月の大会で環太平洋ウェルター級王者・佐々木信治に挑戦しタイトルを奪取した。
しかし昨年行われたフライ級リーグで優勝したのは内藤と同門の飛鳥拳。ともに対戦を望まなかったため、実現には至らなかった。そのため挑戦権をかけて年明けからフライ級戦線は大きく沸いた。
ベルトを巡ってはベテラン勢も虎視眈々。まず1月大会では世界ランキング1位の正城ユウキと澤田が対戦。澤田は世界戦の経験も豊富なベテランを相手に3R16秒KO勝ち。そして「ランキング1位の選手に勝てたので、次はタイトルマッチお願いします」とアピールした。
その一方で、過去世界戦に2度挑み、そのたびに苦杯をなめ続けた猿丸ジュンジが復活ののろしを上げていた。昨年の9月から2連続KO勝利。そして内藤から矛先を猿丸に変えた飛鳥と5月大会で対戦。MOBSTYLESの15周年記念大会とあってケガを抱えての強行出場だったのだが、気合の入り方が違った猿丸は飛鳥を寄せ付けず、1R2分でKO勝ち。この時点でトップコンテンダーに躍り出た。
内藤と猿丸の異次元対決実現か!? と会場が盛り上がる。もっとも内藤の場合、誰と対戦しても異次元感はついて回るのだが…。
やっと俺の出番がやってきたとばかりにジャイアン貴裕に連れられリングサイドに現れた内藤が対戦をアピールするが、猿丸からは「怪我してるんですいません。11月お願いします」というつれない返事。すごすご帰るジャイアンとのび太という「台本通りか!?」という見事な展開となってしまった。
そんなわけで今回実現した内藤vs澤田のタイトル戦。驚異的なスピードで進化を遂げる澤田はその伸びしろが読めないだけに、内藤にとっても嫌な相手だったに違いない。
実際、試合後の会見で内藤は「あんなに打撃で来るとは思わなかった」と振り返っている。その打撃に1R早々にピンチを迎えたが、持ち前のグラップリングの強さと驚異的なスタミナで徐々にのび太ワールドに澤田を引きずり込み、勝利を収めた。
試合後「自分なんて生きてても死んでてもどっちでもいいような人間だと思うんですけど」と独特の前フリから、パンクラス・フライ級王者の砂辺光久との対戦希望を口にした。次期挑戦者と目される猿丸との対戦も避けては通れない。
澤田と飛鳥の次世代ファイターの巻き返しも必至。他団体を見回しても軽量級が未曽有の盛り上がりを見せており、しばらくはこの階級から目が離せない状況だ。