古き良き日本の風情が漂う京都にあるJT(日本たばこ産業)の関西工場。長きにわたり日本のたばこ産業を牽引してきたJTだが、ここ関西工場では、創業当初からの紙巻きたばこに加え、最新の加熱式たばこブランド「Ploom X」のたばこスティックも製造している。そんな関西工場が今回メディアに初公開された。一体どんな場所で、たばこはどのように作られるのか。愛煙家の記者が取材した。
加熱式たばこ タグーの記事一覧
値上げラッシュの中、加熱式たばこは一部を除き価格据え置き
小麦や大豆といった食料品や原油価格の高騰により、昨年秋くらいから徐々に始まっていた値上げは約1年経った今でもとどまる気配はない。この10月もさまざまな製品の値上げラッシュとなっている。
昨秋からの値上げについては、今年2月のロシアによるウクライナ侵攻で拍車がかかり、なおかつ折からの円安ドル高による輸入コストの上昇で歯止めが利かない状況となっている。
その中でも食料品や嗜好品という生活に密着したものの値上げはその金額以上に精神的なダメージも大きい。
今年5月にスシローが10月以降の価格改定を発表し、同社の大きな売りだった「1皿100円(税抜)」がなくなることが分かるとスシローファンはもちろんだが、世間一般の人たちにも「スシローまでもが値上げを…」という衝撃を与えた。
それ以降もさまざまな商品の10月をめどとした値上げのニュースを聞くこととなるのだが、9月26日にはマクドナルドが同30日から約6割の品目の店頭価格を10~30円値上げすることを発表。これも大きな驚きを持って受け止められた。
こちらについてはここまでの数多くの値上げで家計やお財布が悲鳴を上げている中とあってより深刻に受け止める向きもあった。
嗜好品では10月にビールをはじめ多くの種類が値上げされる。これは大麦やトウモロコシといった原材料の高騰、原油高による物流コストの上昇といった要因が挙げられる。
その一方で、注目すべきはもうひとつの嗜好品の代表・たばこ。その中でも加熱式たばこは2018年からたばこ税の段階的な増税に伴い値上げされてきたのだが、最後となるこの10月は一部を除き、ほとんどは価格据え置きとなっている。加熱式たばことて、ここまでに挙げた製品と同じような値上げ要因からは逃れられるわけもなく、かつ増税という別の要因もあり、値上げへは必至と思われていた。
今回のたばこ業界の決断に喫煙者からは「当然値上げすると思っていたから意外」「お酒や食べ物が値上げする中での価格据え置きははっきりいって助かる」といった声も多く聞かれている。
珍しく喫煙者に優しい!? 二子玉川に全体の半分が喫煙可能なサテライトオフィスが誕生
全26室中13室で加熱式たばこの使用が可能
2020年4月の改正健康増進法の全面施行に伴い、喫煙者には肩身の狭い世の中となった。新型コロナウイルス感染症防止のための緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出されると、街角の喫煙所の閉鎖も相次ぐなど喫煙者を取り巻く環境は悪化するばかりだ。
そんななか喫煙者には朗報ともいえる施設が3月18日に誕生した。
その施設というのは東急東横線 二子玉川駅徒歩6分にできた「REALab power by point0二子玉川」。同所は昨年10月に立川市にできた個室型のサテライトオフィス「REALab(リアラボ)」の第2弾拠点。コロナ禍におけるリモートワークの普及や働き方改革が叫ばれる中、必然的に生まれたサービスだ。
今回のREALabで特筆すべきは「喫煙可能なフロア」を設置したということ。2フロアのうち、2階は喫煙不可フロア、3階が喫煙可能フロアとなっている。全部で個室が26室あるのだが、3階の13室は全て加熱式たばこの使用が可能。さらに紙巻きたばこも吸える喫煙所も用意されるなど、喫煙者には珍しく優しい施設になっている。
「プルーム・エックス」はJTが誇る「次世代グローバルモデル」の加熱式たばこ
JTの高温加熱型の加熱式たばこ用デバイス「プルーム・エックス(Ploom X)」が8月17日から全国発売されている。
JTでは加熱式たばこ用デバイスとしてPloomシリーズを展開しているのだが、この「プルーム・エックス」はJTグループが総力を結集し開発した「次世代グローバルモデル」と位置付けられるもの。世界に先駆け、まずは日本市場で発売された。
加熱温度の緻密なコントロールに加え、空気の流れに着目した新発想の加熱技術“HEATFLOW(ヒートフロー)”を搭載したことにより“吸い応え”が向上。これまでのシリーズで物足りなさを感じていた人も納得させる吸い応えを実現した。
JTが実際のカフェで実験「加熱式たばこ、空気環境に影響なし」
実験は産業医科大学名誉教授の嵐谷奎一氏が監修
日本たばこ(JT)が「加熱式たばこ使用時の空気環境影響調査」を行い、その結果に関する会見を10月2日に開催した。
今回、JTでは実際に営業しているカフェの喫煙エリアで自社の加熱式たばこ、他社の加熱式たばこ、自社の紙巻きたばこの3つを用い、喫煙エリアおよび非喫煙エリアにおける室内空気環境への影響を調査した。
カフェは面積13㎡で喫煙エリア15席、非喫煙エリア13席という通常の大きさ。喫煙エリアは四方を壁とパーテーションで囲われており、境界部には引き戸がある状態。また換気においては3つある換気設備のうち一つを止め、通常の実験では境界風速0.2m/s以上が望ましいとされるところを0.06m/sというあえて過酷な条件を用意。そのなかで先に記した3つのたばこで実験を行った。
粉じん濃度、一酸化炭素濃度、ホルムアルデヒト濃度、アセトアルデヒト濃度といった15項目を測定。その結果、自社の加熱式たばこは喫煙エリア・非喫煙エリアともにすべての成分で使用前・使用後の濃度に大きな変化はなかった。また他社の加熱式たばこは喫煙エリアではPGとニコチンの濃度が上昇したものの、他の成分に関しては使用前・使用後の濃度に大きな変化はなく、非喫煙エリアではすべての成分について使用前・使用後の濃度に大きな変化はなかった。
紙巻きたばこでは喫煙エリアではほとんどの成分で濃度が上昇。非喫煙エリアでは粉じんのみ濃度が上昇した。
実験では加熱式たばこを個室で使用する分には喫煙エリア外の空気環境に影響を及ぼさないという数値が出たことから、会見に出席したJT執行役員 渉外企画室長の福地淳一氏は「加熱式たばこ専用喫煙室の技術的要件として、扉付きの個室であり、かつ一般的な施設に備わる排気設備があれば非喫煙エリアの室内環境に影響を及ぼさない」という見解を示した。
今回の検証については産業医科大学名誉教授の嵐谷奎一氏が監修。会見に同席した嵐谷教授も「調査にあたっては恣意的であってはいけないということを最も重要視した。測定成分の選定において偏りがないように、一般的な環境に存在する成分や健康に影響する成分を紙巻きたばこ、加熱式たばこ同等の観点から選定した。また測定結果の信頼性を担保するために同じ測定を複数回行った。多面的な観点で試験計画を立て、客観的でかつ信頼性の高い実験になったことを認識している」としたうえで「加熱式たばこ使用による室内空気の汚染は少ないと考えている。粉じんと一酸化炭素濃度の上昇は認められなかった。またホルムアルデヒド、アセトアルデヒドともに使用前、使用後を比較したところ、喫煙エリアではほとんど変わらなかった。したがって加熱式たばこの使用により喫煙エリア内の空気汚染は小さいものと思われる。喫煙エリア外、すなわち非喫煙エリアへの影響はさらに小さいと考える」と話した。
JTでは加熱式たばこ使用時の空気環境への影響については、これまでさまざまな実験をしてきたが、今回のように実際のカフェを使ってのものは初めて。
福地氏は「今後もさまざまな試験を実施していきたい。そのなかでやった実験については論文投稿をしていくことが基本。論文投稿をする場合は学会等で査読を受けたうえで投稿することになる。自社実験でも今回の嵐谷先生のように助言、監修をしていただくことで客観性をもってやっていくことを基本的な方針として今後もさまざまな実験をしていきたい」などと話した。