映画『BAUS 映画から船出した映画館』の初日舞台挨拶が21日、都内にて行われ、俳優の染谷将太、峯田和伸(銀杏BOYZ)、夏帆と甫木元空監督が登壇。主演の染谷が、もともと同作を企画していた故・青山真治監督への思いを語った。
本⽥拓夫による「吉祥寺に育てられた映画館 イノカン・MEG・バウス 吉祥寺っ⼦映画館三代記」を原作に、2022年3⽉に逝去した青山真治監督が温めていた脚本を、甫木元監督が引き継いで映画化。吉祥寺に実在した老舗ミニシアターをモデルにした物語。
青森から上京し、吉祥寺初の映画館“井の頭会館”で働く兄弟を演じた染谷と峯田。
弟・サネオを演じた染谷は、本作のオファーに「ドキッとしました。青山監督が企画していたということも初めて知りましたし、吉祥寺バウスシアターは自分も10代のころからお世話になっていた劇場だったので」と青山監督やバウスシアターとの縁を振り返り、しみじみ。
公開初日を迎えたこの日、3月21日は奇しくも青山監督の命日。青山監督作『東京公演』(2011)にも出演した染谷は「もともとは雲の上の存在だった青山監督でしたが、一緒にお仕事をさせていただいてから、お声がけしていただけるようになって。いつも会うとニコニコ、ニャムニャム話してくれて(笑)。人としても大好きな方」と振り返り「この作品とも通じるというか、いなくなってもいるような。夜中に急に、ベロンベロンの青山さんから電話がかかってくるんじゃないかという気持ちが続いています」としのんだ。
兄ハジメ役の峯⽥も「僕は青山監督とお会いすることができなくて。オファーを頂いて、やりますと言ってしばらくして亡くなってしまって、ああ…と思っていたところ、甫木元監督が僕がやるとおっしゃって…」と感無量。
甫木元監督も「バウスシアターはもう存在していませんが、行ったことが無かった方も本作を見てバウスが持っていた意思を感じたり、地元の映画館を思っていただければ。青山さんは企画書の一番最後に“世界中の友人たちに語り掛けるようにこの映画を作りたい”と書いていました。見ていただいて、誰かに語りたくなる映画になればうれしいです」と思いを語っていた。