第40回日本アカデミー賞の優秀賞発表会見が16日、都内で行われ、本年度の各部門最優秀作品賞が発表された。
最優秀作品賞と最優秀監督賞という大賞をWで獲得したのは昨年、日本を席巻したヒット作『シン・ゴジラ』。この2賞に加え撮影賞、照明賞、美術賞、録音賞、編集賞で最優秀賞を受賞し、7冠に輝いた。同作は『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明が総監督、『ガメラ』シリーズなどで特撮監督を務めて生きた樋口真嗣が監督を務め、長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ、市川実日子ら豪華キャストが顔を揃えたスペクタクル大作。実はこの日、スケジュールの都合で庵野総監督は授賞式を欠席。樋口監督は「いるべき人間がいなくてすみません」と苦笑しつつ「60年前に怪獣映画を作った大先輩からバトンを受け継ぎ、それに恥ずかしくないものを、と本気で向き合って作った」と結果に胸を張った。
日本アカデミー賞の歴史において、特撮怪獣映画が最優秀作品賞を受賞するのは、これが初。ステージ上に集まった樋口監督とキャスト、スタッフたちも喜びつつも驚きの表情を隠せない様子。樋口監督も受賞の喜びを語る前に、開口一番「皆さん怒っていませんか、大丈夫ですか」と会場の雰囲気を伺い、笑いを誘っていた。続けて「過酷な状況のなか映画を作っている皆さんに、いつかこんな時が来るよと声を大にして伝えたい」と、力強いメッセージ。授賞式後の囲みでは「自分たちが一番、怪獣映画を作っているという意識が無かったと思う。たまたま事件が怪獣という形をとっていたというだけで、一般の映画と変わらぬつもりだった」と語った。
俳優賞では、主演男優賞に佐藤浩市、主演女優賞に宮沢りえとベテランの実力派が並び、アニメーション作品賞最優秀賞には『君の名は。』など大作系を押しのけ『この世界の片隅に』が受賞。『君の名は。』は『怒り』や『64ーロクヨンー前編』といった骨太な実写ドラマを退けて最優秀脚本賞に輝いた。