今年はさまざまな国難が「これでもか」とばかりにわが国を襲いました。
92年、英国のエリザベス女王はウィンザー城の火災、相次いだ王室スキャンダルを「アナス・ホリビリス(ひどい年)」とラテン語で嘆きましたが、今年の日本はまさに「ひどい年」でした。
そんななかで、希望をもたらしてくれたのは、今年の流行語大賞ともなった「なでしこJAPAN」の活躍ではなかったでしょうか。私も女性として、彼女らの活躍には心からの賛辞を贈ります。
世の中に変革をもたらすのは「若者、バカ者、ヨソ者」だと言います。
アップルの創業者で、IT産業の旗手スティーヴ・ジョブスの言葉に「Stay foolish. Stay hungry」(バカでいろ、ハングリーを続けろ)という名文句がありますが、彼はそのままの人生を歩みました。バカと思われることにも、彼は挑戦を続けました。意思を持ってバカ者を貫いたのです。
素晴らしい技術を有するオリンパスの不正経理を暴いたのは英国人社長、ヨソ者でした。結果的に、国際社会で日本企業全体が胡散臭い存在だとの印象を強めてしまい、日本が世界のヨソ者となる恐れもあります。
そろそろ、日本もギアを切り替えたほうがよいでしょう。
そのための即戦力が「なでしこ」たちです。女性力の活用です。
ダボス会議で有名な世界経済フォーラムがまとめた世界の女性力活用ランキングで日本は年々地位を下げ、今年は135カ国で98位となりました。
理由はただ一つ。他国が女性力活用を意識して高める努力をしているのに、日本はなすがままだからです。
ノルウェーでは、取締役の女性比率が4割に満たない場合、上場廃止となる過激な法を施行しました。そのため、自ら上場を取りやめた企業もあります。欧州諸国でも同様の制度を導入する動きがあります。日本で実施するなら、上場企業はゼロになることでしょう。
女性管理職の国際比較では、アメリカで47%、ドイツ30%に比べ、日本は10%に満たないのが実情。アジアでもフィリピンでは57%、シンガポールで25%です。
医師不足といいますが、近年、3割を占める女子の医学生が、結婚、出産で離職後の職場復帰が不十分であることも原因とされています。国公立の医学部は税金で賄われているわけで、女医さんが専業主婦のままでいるなら「もったいない」。
育児や介護など、女性の社会的環境整備を進めることで800万人もの雇用を生み、GDPを15%押し上げるという試算があります。
日本社会で、女性はそもそもヨソ者。万年野党でした。真の政権交代は「なでしこ」を主力選手とすることではないでしょうか。
ちなみに世界をリードする大学、ハーバード大、ペンシルバニア大、ケンブリッジ大などの学長は女性。東大や京大で女性学長が誕生するのはいつのことでしょうか。
(自民党衆議院議員)