建築空間を題材にした都市の変容、崩壊の光景を独自の視点で撮影した〈建築の黙示録〉や〈九龍城砦〉作品などで広く知られる写真家・宮本隆司の個展。
写真家としてデビューして以来、建築や建築が創りだす都市の風景を捉えた作品を数多く発表してきた宮本だが、近年は、両親の故郷である奄美群島・徳之島でアートプロジェクトを企画、運営するなど、その活動は新たな展開を見せている。
本展では、そんな宮本の初期の作品から、アジアの辺境や都市を旅して撮影した写真、徳之島で取り組んだピンホール作品などを展示。最初のパートでは、1980年代以降に撮影されたシリーズから、選りすぐられた作品を紹介。宮本の代表的シリーズを含め、都市を題材にした宮本作品の醍醐味を振り返ることができる。「共同体としてのシマ」を題材にしたパートでは、宮本が2014年に企画した「徳之島アートプロジェクト2014」から、自身も出品した作品を紹介。宮本の両親は徳之島出身であり、幼少の一時期に生活していたものの、それまで宮本が自身のルーツである徳之島について作品発表することはなかった。しかしプロジェクトを機に島へ通い続けることによって、島が共同体としてのシマの連なりであることに気づいた宮本は〈シマというところ〉シリーズを発表。本展では同シリーズから、宮本ならではのまなざしで共同体=シマに暮らす人々と場を見つめた作品を展示する。