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「すごい人」or「ただの人」 神童と呼ばれた人たちをできるかぎり追跡してみた。

2018.05.02 Vol.705

『神童は大人になってどうなったのか』【著者】小林哲夫

 神童といわれていた子供たちはいったいどのような大人になったのか。名門塾で全国トップの成績、東京大学を首席卒業、灘や開成、麻布、ラサールなど名門私立で伝説的といわれた人たちのその後に迫る。

 著者は長年『大学ランキング』(朝日新聞出版)の編集を手がけ、教育、社会問題に関する著書も多く出版する教育ジャーナリストの小林哲夫。

 同書には著者が出会った“元・神童”の印象から、神童の定義、神童一族の家系、神童が生まれる背景が語られている。例えば「神童一族が社会に与えたインパクト」という章では、親から子、孫、ひ孫と東京大学に5代続けた鳩山家に注目。それぞれの世代で彼らが社会貢献したかを紐解いている。ちなみに別の章で、鳩山邦夫を怒らせた、片山さつき&舛添要一元夫婦の神童っぷりも紹介されている。

 登場する人物は神童というだけあって、幼い頃のエピソードはすごいものを感じるが、それを大人になって正しく役立てているかというと疑問が残る人も多い。

 失言や空気の読めなさを繰り返す大臣や、極端な例だが、オウム信者のように頭の良さを犯罪に利用してしまう人については、神童の無駄遣いという気がしてならない。せっかく与えられたその頭脳、最終章で登場するユニークな神童たちが増える事を願わずにはいられない。本当の頭の良さというものは何かという事を考えさせられる一冊。

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