東京都医師会が14日、都内で今後の感染症対策について定例記者会見を行った。
尾﨑治夫会長は、現在の感染状況を「一週間の平均が約1600人で推移し、増加比が約0.8%くらい。このままいくと、7月に入って1000人を割る感染者数になることも予測される」と説明。
そのうえで岸田首相が13日、国会で新型コロナの感染症法上の分類について「今の段階で動かすことは現実的ではない」と発言したことを受け「いきなり2類を5類に見直すのは今の時点では難しいと思うが、2類と5類しかないわけではなく、現状に即した新しい分類を作ってもいい。そういう意味でそろそろ指定感染症2類相当から脱却したほうがいいと考えている」と提言した。
また、国産経口薬の緊急承認に「富士フイルムのアビガン、シオノギのS-217622というプロテアーゼ阻害薬、興和のイベルメクチンの3種類に重症化予防の効果があるかどうか治験を行っている最中。国産経口薬の承認が現在どういう状況で今後の見通しはどうなっているのか、途中経過を含めて明らかにしていただき、使えるのかどうかを議論していただきたい。ここで重症化予防に使える経口薬が増えれば、だいぶインフルエンザに近づくといいますか、新型コロナの状況がいい方向に向いていくのではないか」と言及。
高齢者や重症化リスクが高い人への4回目接種がスタートしたが「医療従事者や介護従事者に追加接種をという話もありますが、やはり2日間高熱が続くなど副反応がネックとなる場合もある。そういった意味で4回目接種に米ノババックス社製のワクチンを使えるような形もぜひ認めていただければ」と注文をつけた。
さらにマスクの着用について「私どもは屋外でのマスクは不要であろうと思っているが、現実として“マスクをしたい、外したくない”という方もかなりの数いる。今後はマスクをつけていたい方はつけている、もう外しても構わないという方は外すということで、それに対してお互いに“何であなたはマスクをしないんだ”“何であなたはマスクを外さないんだ”ということは言わない。マスクをつける、つけないは自己判断に任せる」。
続けて「感染の恐れとして屋外ではつける必要はないと思っていますが、もうつけなくてもいいと考える人はつけなければいいし、やはりつけていたいと思う人はつけていればいい。これからはつける、つけない両方の人がお互いを尊重し合って、少なくとも同調圧力はもうなくそうという形に持っていくのが一番いい」との考えを示した。
抗原定性検査の活用についても「PCR検査に劣らない成績が出ているので、そろそろ必要な場合には検査を多用して、世の中を動かしていくことをもう一度考えるべき」と訴えた。