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【演劇・ミュージカルに復活の兆し】新宿梁山泊『唐版・犬狼都市』

2020.11.10 Vol.735

 新宿梁山泊は今年6月に花園神社特設テントで『唐版・犬狼都市』の上演を予定していたのだが、新型コロナウイルスの影響で、延期に。その公演が本多劇場グループテント企画として、11月14日から下北沢駅前の線路街 空地に特設紫テントを立てて上演することとなった。

 本作は澁澤龍彦の「犬狼都市」に想を得て描かれた唐十郎の珠玉の名作。東京の大田区の地下にあるという犬の町「犬田区」を舞台とした物語。そこに生息するしがない人間のドラマが展開される。

 新宿梁山泊の役者陣に加え、小劇場界で活躍する宮原奨伍、オレノグラフィティ、実力派俳優・松田洋治ら豪華な客演陣を迎えて送る。

 同作は状況劇場で1979年に初演。場所は新宿西口公園に建てられた状況劇場の紅テントだった。当時の状況劇場の客は新宿という街が生み出す猥雑な空気につかりながら唐の作る幻惑の世界の一員となっていた。

 開発されてしまった下北沢という街にはかつての新宿のような空気は望むべくもないが、その中で新宿梁山泊はどのような世界を見せてくれるのか…。

 新型コロナによる感染症対策として、テント演劇の定番である桟敷をなくして全席指定席のみとし、客席数も通常よりも大幅に減らし、また入場時に検温、50分に1回はテント全面で換気するなど、万全の対策を取っての公演となる。

見逃したくない名作『少女仮面』新宿梁山泊

2015.09.12 Vol.650

 旗揚げ以来、テント、劇場とさまざまな空間で国内外を問わず公演を重ねる新宿梁山泊。
 主宰で演出も務める金守珍が唐十郎の状況劇場で役者として活躍していたことから唐作品との親和性が高く、唐作品も多く上演してきた。

 そんな彼らが今回手がけるのが『少女仮面』。1969年に初演された唐の代表作ということは言うに及ばず、当時、主人公の春日野を演じた李麗仙にとっても自身を語る上で欠かせない代表作だ。

 春日野はかつての宝塚の大スター。その隠れ家でもある地下の喫茶店「肉体」に宝塚のスターを目指す少女・カイが老婆と一緒に春日野を訪ねやってくる。春日野に見初められ演技指導を受けるカイ。そのうちに戦争時の記憶がよみがえった春日野は徐々に正気を失っていく…。

 実在したスターをモチーフに戦後、そして老いを唐独特の切り口で描いた作品。
 若いファンにとっては李はテレビで見かけることの多い女優かもしれないが、舞台上の李はテレビで見るそれとは明らかに違う存在感を見せつける。せっかくだから見ておいてほしい作品。

クセのありすぎる登場人物たちについつい没頭 新宿梁山泊『ジャガーの眼』

2014.06.08 Vol.619

 現在、演劇を上演するにあたって最もライブ感あふれる場所はテント公演だろう。

 大雨や雷が鳴る夜は雨音や雷鳴がBGMに。例え、街宣車が通って大きな音を鳴らしていても、それすらBGMになってしまう。究極のライブ。

 テントといえば唐十郎ということになるのだろうが、新宿梁山泊も多くのテント公演を手がけている。そして今回上演するのは唐による名作『ジャガーの眼』。新宿梁山泊旗揚げの原点ともなった作品だ。

「ジャガーの眼」と名付けられた、不思議な力を持つ眼をめぐる物語。その眼を求め、多くの人々が争う、そんな人々の間をくぐり抜けてきたジャガーの眼が見つめてきた物語とは…。移植された眼球をめぐり幻想の世界が展開する。

 唐の当たり役だった探偵・田口を息子であり、テント公演初出演となる大鶴義丹が演じる。

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