「顔を出さないでの謝罪はありえない」と名乗っての会見
アメリカンフットボールの日本大学と関西学院大学の試合で、日大のDFの選手が関学大のQBの選手に悪質なタックルでケガを負わせた問題で、5月22日、日大の当該選手である宮川泰介選手が会見を開いた。
宮川選手は20歳になったばかりではあったが、「顔を出さないでの謝罪はありえない」と顔を出し、名前を名乗っての会見となった。
この問題では6日の試合以降、公の場に姿を見せていなかった日大の内田正人監督が19日にケガをした選手や保護者に直接会い、謝罪。監督辞任を表明したが、21日には被害を受けた選手の父親が会見を開き、被害届を出したことを発表した。
会見は冒頭、代理人の弁護士が問題が起こった後の経緯を時系列で説明。ここに至るまでに大学本部からの事情聴取は行われたものの、アメリカンフットボール部からの事情聴取は行われていないことが明かされた。24日に再び出されるとされる内田監督の再回答までに事情聴取が行われる可能性が低いことからこの日の会見に至ったことが説明された。
続けて宮川選手が陳述書を読み上げ、試合当日の行為に至る状況が語られた。
陳述書では5月3日の実戦形式の練習でのプレーが悪かったことから練習を外され、監督から「試合に出さない。辞めてもいい」、井上コーチから「練習も試合も出さない」と言われたこと。翌日に監督から日本代表を辞退するように迫られたこと、理不尽な理由でコーチから叱責されたこと。そして試合前日に井上コーチから「監督に、お前をどうしたら試合に出せるか聞いたら、相手のQBを1プレー目で潰せば出してやると言われた。“QBを潰しに行くんで僕を使ってください”と監督に言いに行け」「相手のQBがケガをして秋の試合に出られなかったらこっちの得だろう」「これは本当にやらなくてはいけないぞ」と念を押され、頭を坊主にしてくることを指示されたことを明かした。
そして迎えた試合当日、メンバー表に自分の名前がなかったことから、試合前の練習時に井上コーチに確認し「今行ってこい」と言われたことから、監督に直接「相手のQBを潰しに行くんで使ってください」と言いに行ったところ、そこで監督に「やらなきゃ意味ないよ」と言われたという。戻って、井上コーチに監督の言葉を伝え「リード(DLの本来のプレー)をしないでQBに突っ込みますよ」と確認すると、井上コーチは「思いっきり行ってこい」と言い、さらに試合前の整列の時に「できませんでしたじゃ、すまされないぞ。分かってるな」と念を押されたことを明かした。