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密を避けつつ出かけたい、春のアート展『あやしい絵展』

2021.03.23 Vol.739

 近代、大きく移り変わる時代のなかで生み出された、従来の“美”とは異なる視点を感じさせる作品に注目した展覧会。

 明治期、西洋からもたらされた知識や技術はあらゆる分野に影響を与え、美術においても西洋の刺激から新たな表現が数多く生まれていった。そのような状況のもとで生み出された作品の中には、退廃的、妖艶、グロテスク、エロティックといった「単なる美しいもの」とは異なる表現を持つものもあり、それは激動の時代に生きる人々の心をとらえ、大衆にも広まっていった。

 展覧会では、幕末から昭和初期に制作された絵画、版画、雑誌や書籍の挿図などからこうした表現を紹介。上村松園の《焰》や《花がたみ》、鏑木清方《妖魚》など、あやしくも美しい魅力にあふれた名画をはじめ、甲斐庄楠音《横櫛》、橘小夢《安珍と清姫》、秦テルヲ《血の池》などインパクト満点のあやしさを放つ作品など、近代日本美術の名作の数々に加え、アルフォンス・ミュシャ、ダンテ・ガブリエル・ロセッティ、オーブリー・ビアズリー、エドワード・バーン=ジョーンズといった、日本美術にも大きな影響を与えた西洋美術の作品も展示。

 現実を超えたあやしさ、おどろおどろしいあやしさ、官能的なあやしさ…その時代の画家たちをとりこにしたあやしさを見つめてみては。

密を避けつつ出かけたい、春のアート展「まちへ出よう展 ~それは水の波紋から始まった~」

2021.03.16 Vol.739

 1995年に行われた伝説的な屋外アート展「水の波紋95」を呼び覚まし、街とアートの深い関係を見つめなおす展覧会。

「水の波紋95」は、1995年の夏に国際的キュレーター、ヤン・フート(1936-2014)とワタリウム美術館が協力し、青山、原宿の街中40カ所に現代美術の作品を設置したアート展。各所に作品が置かれた30日間、そこには魔法が掛けられたかのように不思議な空気があふれ、さまざまな出来事が起きたという伝説の展覧会だ。「水の波紋」とは水面に落ちた一粒の水滴が波紋となりゆっくりと広がっていくように、街に設置したアート作品が多くの人たちの心に届くことを願って付けられたタイトルだという。阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件といった大きな事件が次々と起こった1995年、東京が異様な緊張感に包まれ、困難を極めながらも開催された同展は、図らずも都市における行動の自由や場所のあり方、安全についても改めて考えさせられた展覧会となった。

 今回の展覧会では、コロナ禍の影響により人々が“不要不急”の外出を控えるなか、かの伝説的な屋外アート展の記憶を呼び覚まし、その源流となった作品をたどるとともに、その波紋に共鳴するかのようなアーティストたちの作品を紹介。ホワン・ヨンピン、宮島達男ら当時の出品作家の作品に加え、Chim↑Pom、キース・ヘリング、ヨーゼフ・ボイスらによる作品を展示する。

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