パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」が10月7日にイスラエルに奇襲攻撃を行ったニュースが世界を駆け巡った。ジャーナリストの堀潤氏が主宰するニュースメディア「8bitNews」の公式YouTubeでは10月9日、ガザで子どもや女性への支援を続けてきたJVCエルサレム事務所の木村万里子現地代表から現地の模様が伝えられた。
イスラエルは報復としてすぐにガザ市街を空爆したこともあり両国で1400人以上の死者が出たとみられている。これまではガザ地区からロケットが発射されることはあったのだが、今回はガザ地区を隔離するためのフェンスが破壊され、ハマスの戦闘員がイスラエル国内の市街地で戦闘を開始するというこれまでとは違う状況となっている。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は7日には「戦争状態に入った」と宣言した。
この状況に木村氏は「今までと違うということでみんな警戒を強めている。突然の出来事。前兆はなかった」と警戒。
現状ではハマス側がイスラエルに侵入し人質を取り、民間人にも危害を加えていることで、イスラエルを支持する言説も目立つようになっている。
しかし今回の背景として木村氏は「一つ目は去年あたりからパレスチナの一部、ヨルダン川の西岸地区へのイスラエルからの攻撃が非常に増えてきて、現時点で200人近くの方が亡くなっている。パレスチナ側も我慢の限界が来るのではという予想をしていた方もいた。背景にそういうことがあると説明はつく」という昨年来の現地の状況を説明。そして「もうひとつは、これが大きなきっかけになったのではないかと思う」と前置きし「エルサレムの旧市街に神殿の丘というエリアがあり、そこはもともとユダヤ教、キリスト教、イスラム教それぞれの宗教の聖地で、神殿の丘に訪問することは誰でもできる。その敷地内にイスラム教の聖地と呼ばれるものがいくつかあり、そこに訪問しお祈りや礼拝することはイスラム教徒の特権として認められていて、そのほかの宗教の人がその敷地内で礼拝を行うことは禁止されている。ただ今回、5000人を超えるといわれているユダヤ教徒がその敷地内に入り、礼拝と思われる行為をした。それに対し、イスラム教の聖地を侵したというようにハマス側がとらえて攻撃を仕掛けたということが一部で報道されていた」などと報告した。