日本取引所グループ(JPX)傘下の東京証券取引所は10月1日、株式全銘柄の売買を終日停止した。取引を終日停止するのは初めてで、世界的にも異例のこと。システムを運用するハードウエアの故障が原因で、機器を交換し2日には取引を再開した。
東証の宮原幸一郎社長は1日夕、記者会見を開き、「東証の責任を痛感している。多くの関係者に大変なご迷惑をおかけした」と述べ陳謝した。
東証は昨年11月、富士通が開発・設計した株式売買システム「アローヘッド」を全面刷新。今回はこのうち運用系ネットワークの一部機器が故障しバックアップへの切り替えが正常に行われず、相場情報の配信やシステムの監視ができなくなった。
この影響で東証と同じシステムを利用する札幌、名古屋、福岡の各証券取引所も同日の株式取引を終日停止。証券各社は異例の事態への対応に追われた。
東証によると、1日午前7時4分に、IDやパスワードといったシステム全体で使用されるデータを記憶する「共有ディスク装置」内のメモリーが故障。通常ならばバックアップ用の「共有ディスク装置」に自動的に切り替わるが、何らかの不具合で切り替わらず、相場情報の配信や株式売買の監視システムにトラブルが波及した。共有ディスク装置は外部とは直接接続しておらず、ネットワークの常時監視もしており、サイバー攻撃の可能性はないとみられる。
この事態を受け金融庁は2日、JPXと東証に対し、金融商品取引法に基づいて業務状況の説明を義務付ける報告徴求命令を出した。