〝ストレートの俳優がゲイの役やトランズジェンダーの役を演ずる事を「難しい役どころ」とか「挑戦的な役」とか表現するの、マジでいい加減ににやめましょう。別に演じる事自体は悪くないけど「難しい役どころ」扱いにするのは、本当にその人生を歩んでる人達に失礼極まりない。宇宙人じゃねえんだから。〟
そうTwitterに投稿すると、瞬く間に1万を超える“いいね”の反響を呼んだ。つぶやいた主は、『ラスト・サムライ』、『ピンクパンサー2』、『硫黄島からの手紙』など超大作に出演する、日本人ハリウッド俳優の松崎悠希さん。
ロサンゼルスで人種的マイノリティ俳優として20年間ハリウッドを見てきた先駆者だからこそ、作品の中で描かれるマイノリティ像に対して黙っていることができなかった。
「日本の映画やテレビ業界のキャスティングにおける多様性の常識を根本的に変えなければいけないと思いました」
その意思のもと、松崎さんは今年2月、多様性がすでに受け入れられた後の日本を舞台にした探偵ドラマ『モザイク・ストリート』を、Youtube上で公開した。
多様性がすでに受け入れられた――。これが意味するところは、登場人物の人種、民族、障がいの有無、性的指向、性表現、性同一性といった要素が、ストーリー上で特別視されず、それぞれのキャラクターが、それぞれの属性を保ったまま、「すでに社会に受け入れられた状態」で登場するということだ。
実際、『モザイク・ストリート』は、主人公である私立探偵のトランスジェンダー女性である徳留隆徳を、自身もトランスジェンダーの女優であるKOTAさんが演じる。さらには、主人公の右腕的な存在であるレズビアンの安藤真由美を、レズビアンの女優であるAmi Ide(アミ・イデ)さんが演じ、助手のミックスルーツの日本人女性・御手洗若葉を、ミックスルーツの日本人女優Ema Grace(エマ・グレイス)さんが演じている。あるがままに、である。