米倉涼子「NYにいる知り合いの医者から“見学に来る?”って」
「国際霊柩送還士」…初めて耳にする人も少なくないであろう、彼らは海外で死亡した人の遺体をできる限り生前に近い姿に戻し、家族の元へ送り届けるスペシャリスト。遺体だけでなく故人の隠された想いも一緒に運ぶ、国際霊柩送還士たちの姿を描く感動のヒューマンドラマ『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』がPrime Videoにて3月17日より配信開始。
チームを率いる主人公・伊沢那美を演じる米倉涼子と、那美に振り回されながらも成長していく新入社員・高木凛子を演じた松本穂香が、かつてない職業役に挑んだ撮影を振り返る。
原作は第10回開高健ノンフィクション賞を受賞した佐々涼子の同名著作。実はもともと同著を読んでおり、国際霊柩送還士の存在を知っていたという米倉。
米倉涼子(以下:米倉)「以前に、本当にたまたまなんですけど原作を読んだことがあったんです。これほど大変なことに立ち向かう女性がいるんだと衝撃を受けたのを覚えています」
松本穂香(以下:松本)「私は、国際霊柩送還士という職業を知らなかったこともあって、まったく未知の領域でした。これまでに医師の役は経験があったのですが、本作のように“死”と向き合う役どころは初めてでした」
米倉「亡くなった方のご遺体を清めたり身支度を整えるお仕事があるということはもちろん知っていましたけど、国際霊柩送還士が向き合う“死”は、ある種、特殊なんですよね。多くの人が知る職業でなかったとしても、それは絶対に必要な、素晴らしい職業なんだと、役を通して改めて感じました」
海外から送られてくる遺体は、どんな状態なのか棺を開けるまで分からないことも少なくないという。そんな遺体を可能な限り生前の姿に近づけて、遺族の元へ届けるのが国際霊柩送還士の使命だ。
米倉「私も、実際のお話を伺ったり、アメリカの学校教材の映像を拝見したんですが、簡単に向き合えるものではありませんでしたね。だからこそ逆に、那美として受け入れなければいけないと思いました」
役作りの参考にするためとはいえ、実際の遺体の修復処置の映像を見るのはハードだったのでは?
米倉「たまたま、お医者さんの役を長くやっていたので(笑)。最近はあまりなくなりましたが、以前は体の中を映した手術映像などを、参考のために見ることができていたんです。私も『ドクターX』で描かれた症例の映像はほとんど見ていたので、意外と平気というか(笑)。人体や生命体に科学的に興味があるという点では、今回もありのままに受け入れられたんじゃないかな、と思います」
特殊な死に向き合う那美の覚悟が、まるでオーラのようにふとした表情やたたずまいからも伝わる。それは米倉自身が俳優業に熱意を注いできたからこそ。しかもなんと、米倉が学んだのは映像だけではないようで…。
米倉「たまたま先日、知り合いの医師から“NYで肝臓移植をやることになった、なかなかない珍しい症例だから見に来る?”と連絡が来て、見学させてもらったんですが、とても興味深かったです。素人ながらいろいろなことを想いましたが、オペはとてもきれいで、とても参考になりました」
実際の手術を見学に行くほどの米倉の情熱に、松本も脱帽。
松本「おそらく凛子は、これまで生きてきた中で、那美ほどの熱量で何事にも向き合う人に会ったことが無かったんだと思うんです。だからすごく影響を受けたんじゃないかなと。私自身も、那美の印象的なセリフの数々が米倉さんを通して、リアルな想いとして伝わってくるのは、米倉さんだからこそだな、さすがだなと思いました。…偉そうになっちゃってすみません(笑)」
米倉「お恥ずかしいかぎりです(笑)」