ミュージカル『レ・ミゼラブル』製作発表記者会見が16日、日比谷・帝国劇場にて行われ、総勢80名近いのキャストたちが登壇し歌唱披露を行った。
1987年6月の日本初演以来、上演されてきた帝国劇場が2025年に建て替えのため休館することから、今回が現・帝劇では最後の公演。
新キャスティングのメンバーを中心とした恒例の歌唱披露では、ジャン・バルジャン役の飯田洋輔による圧巻の「独白」を皮切りに、ファンテーヌ役の昆夏美、生田絵梨花、木下晴香3人による「夢やぶれて」、アンジョルラス役の小林唯が男女アンサンブルとともに歌い上げる「民衆の歌」、エポニーヌ役の清水美依紗とルミーナがエモーショナルな歌声を響かせた「オン・マイ・オウン」、そしてオールキャストによる「ワン・デイ・モア」と、代表曲を披露。12月の本公演開始に向け、意気みなぎる歌声で会場を魅了した。
その後の会見で、歌唱披露の緊張を振り返ったキャストたち。ともに初のファンテーヌ役に挑む昆、生田、木下の3人は「緊張を分かち合えた(笑)」と笑顔。コゼット、エポニーヌを経てファンテーヌを演じる生田は「初めて帝劇に立ったのがコゼット役のときでした」と2017年の初出演を振り返りつつ、この日の歌唱披露に「この日限りの三重奏。本番に入ればこの3人で同じステージに立つことはできないので。一緒に緊張して一緒にハグして、チーム感を感じられました」。
現・帝劇では最後となる公演に、感慨深げなキャストたちも多数。
1997年から27年にわたりマダム・テナルディエを演じてきた森公美子は「またいるのかと思った方もいらっしゃると思います(笑)。私も前回で引退だと思っていたんですがまた受かってしまって」と笑わせつつ「27年前のときは、前田美波里さん、夏木マリさんと私で演じていたんですけど、お2人とも私より年上のマダムで。(テナルディエ役の)斎藤晴彦さんもいらっしゃいましたね」と懐かしげ。さらに、帝劇での思い出を聞かれると「『イーストウィックの魔女たち』(2003年)のために帝劇の天井を4000万円かけて改修したんです。私がここをフライングしたんです」と、フライング中に森の高度が下がるという演出に、観客が本気で怖がったというエピソードを明かし会場も大笑い。
「この劇場には“魔”がいるというか何かを感じる」と言う森。若い共演時に「ぜひ皆さん“帝劇0番”(センター)に立ってみてください。建て直しのときに0番(主演)に戻って来るぞという気持ちを持っていれば必ず応えてくれるような劇場です」と語った。
そんな帝劇に「ステージに立つと宇宙が広がる。怖くて嫌いな劇場」と語っていたジャン・バルジャン役の吉原は『レ・ミゼラブル』の大変さと魅力を語りつつ「このカンパニーも楽はさせてくれない。でもいいチームになれると思う」とチームの始動に意欲をみなぎらせていた。
『レ・ミゼラブル』は12月20日から2025年2月7日まで帝劇にて(12月16~29日にプレビュー公演)。3月から6月まで全国ツアーを行う。
【『レ・ミゼラブル』PV】