劇団EXILEの青柳翔が4月上演の舞台、パルコ・プロデュース『三十郎大活劇』に主演する。演じるのは、日本映画界の黄金期に、映画を愛し、一夜にして活劇スターへと駆け上がる青年、紅三十郎。青柳もまた、映画をはじめエンターテイメントの世界を愛する男で、志を同じくする役どころともいえる。三十郎をどう演じる? 本人に聞く。
時は第二次世界大戦の開戦前夜。社会や価値観が大きく揺れ動くなかで、日本映画界も大きく変化し始めていた。映画はサイレントからトーキーへ、日本が戦争へと向かう中で映画制作にもいろいろな制限が加わって、存在意義も変わり始めてーー。
4月にリバイバル上演される舞台『三十郎大活劇』。94年に初演されたこの舞台は、日本映画黄金期へのリスペクトが込められた青春物語で、戦前の激動の映画界のなかで格闘する若者たちの姿と、LOVE&PEACEのメッセージを真っ直ぐに描く。
今この作品を上演することに「意味がすごくある」と、青柳は言う。
「(作品を作るうえで)こういう描写はダメ、こういう作風だとダメ、これはできるけどR指定が入りますみたいなことが、たくさんあります。いろんな方々に協力していただいて作品を作りますから配慮すべき点だとは思いますが、制限されすぎていくのは良くないと思っています。この作品にもそういうメッセージが込められているように感じます」
物語の軸となるのは青柳演じる主人公の紅三十郎。大部屋役者の三十郎は、友人で助監督の岡村やベテランの大部屋役者・岩蔵の助けもあってスターの敵役に抜てきされる。それがきっかけとなって活劇スターの階段を駆け上っていく。
役者で成功しようとする青年、それが青柳の役どころ。「三十郎のセリフの節々にどう捉えたらいいんだろうというのがあるんです。野心なのか、人を悪く言っているようにも聞こえますが、悪い人ではないですから研究しがいがあります」と、青柳も気合がはいっている。
演出のラサール石井からは「当時の感じで、新しい銀幕スターが出てきた時のような佇まいを演じてくれたら」と伝えられたそう。そのために、稽古に入る前には、舞台で描かれる時代の前後に作られた作品を見直し、すごさを再確認したという。
「活劇のスター、銀幕のスターを演じるのは難しいですね。単調な言い回しなのにとてもシブい、めちゃめちゃカッコ良かったかと思えば、すごく風を浴びているシーンがあって、それがもちろんすごく格好いいんだけど、今やったらコメディーになってしまうようなところもあるんです。……舞台では格好いいんだけど滑稽な感じも表現できたら楽しくなるんじゃないかな」