小説家・いしいしんじ原作の『麦ふみクーツェ』が、渡部豪太主演で、楽しい音楽劇として上演される。観客と一緒に舞台を作る“つながる”音楽劇とは。
「日常に溢れている音や生活音を芝居に支障をきたす雑音ととらえないで、逆にそれを架け橋にして、劇中劇のように舞台と現実をごちゃごちゃにして、会場全体がつながるということです。ですから、お客さんには音の鳴るものを何かひとつ持ってきてもらい、通称・麦ふみ楽団の当事者として、一緒に参加していただきます。音楽劇って何?って言われた時に、この前やっていたあの舞台が音楽劇だよっていわれるようなものを作りたいと思っています」
原作の世界観と愛すべきキャラクター、そしてトクマルシューゴの音楽とウォーリー木下の演出で新しい舞台を作り上げていきたいという。
「この舞台はファンタジーに見えて、実は現実に近い世界だと思います。今は象だって絵をかくし、世の中は何が起きても不思議じゃないことの連続。世界で起きているいろいろなことが、新しいニュースとして、飛び込んできたという感じで見ていただければ、この舞台の世界観にすんなり入ってもらえるかも知れないですね」
その空間に飛び込んだら楽しそう。
「お客さんに音の鳴るものを持って来て下さいって言っているので“何を持っていこうかな”って考えている時から、生活の中に『麦ふみクーツェ』が入り込みます。すると、それまで気にしていなかった音が気になったり、雑音が音楽に聞こえたりするかも。そして当日は、誰が何を持ってくるかで、舞台が変わるので、間違いなくその舞台はその瞬間しか味わえない、二度とは出会えないものになる。劇場全体で笑ったり、驚いたり、ものすごく大きなエネルギーを交換するようなライブが行われるので、この今までにない音楽劇をぜひ劇場で体験してほしいですね」