放送中の大河ドラマ『青天を衝け』が大きく動き出した。11日に第9回『栄一と桜田門外の変』を放送。桜田門外の変で井伊直弼が暗殺される一方で、栄一(吉沢亮)は江戸から戻った長七郎(満島真之介)に感化され、江戸へ行かせてほしいと父に懇願した。吉沢が放送前の会見で話した栄一の「若いころのジェットコースターのような波乱万丈の人生」がいよいよ本格スタートする。
ドラマではこれまで、栄一が、どのように育ったのかをていねいに描いてきた。父や母、家族に親族、幼なじみに仲間、一緒に額に汗して働く人々に囲まれて日々を過ごすなかで、出会った人や乗り越えなければならない問題と向き合いながら成長してきた。そのなかでも、大きな影響を与えたのは、やはり小林薫演じる父の市郎右衛門だろう。
市郎右衛門は、よく働き、家業の研究に勤しみ、藍玉づくりの名手と呼ばれた人物。厳格でもあるが、栄一を導き、見守っている。
市郎右衛門について、小林は 「栄一もそうですけど、実は市郎右衛門もかなり熱い人」だという。
「みんなが豊かになることが幸せなんだ、という考え方を語っているところがあって、そういった思いを持ち合わせた熱い人だと思います。市郎右衛門には厳しい一面も確かにあるのですが、一方ですごく愛情豊かというか、深いところで栄一の事をすごく愛しているのだと思います」
仲間たちが旅立ち、栄一も江戸に行かせてほしいと父に願い出た。
「栄一に対して、お前にはお前の人生があると思っている節が市郎右衛門にはあります。当時は『家』を中心に物事が考えられていたと思いますし、そこからはみ出ようとするならば、百姓の分でとんでもないことだと止められる時代だったと思います。そういった時代に“攘夷の志士になる”と言う栄一を止めるのでは無く、信頼して江戸や京都へ送り出しているのをみると、とても見事な人だと思います。 栄一は時代がざわついているのを敏感に感じ取って旅立っていきますが、一方で市郎右衛門自身もどこか時代が大きく動き出したのを感じ取ったように思います。栄一の思いに対して非常に理解があった人物であったのはもちろん、それだけでは無く時代の機微みたいなものを市郎右衛門も感じていたような気がします」
18日放送の第10回は「栄一、志士になる」。孝明天皇(尾上右近)の妹・和宮(深川麻衣)の将軍・家茂(磯村勇斗)への降嫁が進むなかで、朝廷との結びつきを強め幕府の権威回復を図った和宮降嫁は、尊王攘夷派の志士に火をつける。
『青天を衝け』は、 毎週日曜、NHK総合で20時~。BSプレミアム・BS4Kで18時~。再放送土曜13時05分~。