SearchSearch

田原総一朗「ナチスは政治が宗教になった」ジャーナリスト志したきっかけは「偉い人とマスコミは信用できない」

2022.07.21 Vol.web original

 

 映画『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』トークイベントが21日、都内にて行われ、ジャーナリストの田原総一朗氏と新聞記者・藤えりか氏が登壇。衰えぬ田原節で“戦争と政治”について語った。

 ヒトラー率いるナチス支配下のドイツ“第三帝国”が犯した戦争犯罪を実際に目撃した、ドイツ人やオーストリア人など加害者の立場にある市井の人々による証言を記録した衝撃のドキュメンタリー。

 冒頭、田原氏は映画の証言者たちに「よく話したね」と感嘆しつつ「僕も小学5年の1学期まで、この戦争が正しいことだと思ってた。それが(夏休み中に終戦を迎え)二学期には180度変わった。占領軍が入って来て、それまで新聞でほめられていた人たちが、逮捕されると悪人だと言われた。戦争は悪だと。ところが高校に入ったら朝鮮戦争が始まった。先生に戦争反対と言ったら“ばかやろう、お前は共産主義者か”と言われた」と振り返り「偉い人やマスコミは信用できないと思った。それがジャーナリストになろうと思ったきっかけ」と明かした。

「日本のジャーナリズムはテレビも新聞も“社員”。社員はダメなんだよね」と切り捨て、聞き手の朝日新聞記者・藤氏を苦笑させる一幕も。

 そして現在「ウクライナ戦争が始まって日本人の考えが変わった。それまでは平和が一番だと言っていたけど(ロシアに対抗し続けるウクライナを見て)やっぱり国を守るためには戦わないといけないんだという意識が出てくるね」と話し、米中対立をふまえた安全保障問題から集団的自衛権が核となる憲法改正の問題にまで切り込みつつ「大事なことは戦争を起こさせないこと。来週、岸田首相と会うので、台湾有事を起こさせてはいけないと言うつもり」と話した。

 市民の支持のもと台頭したナチスについて、田原氏は「本来、民主主義というのは自分と違う考えの人も認めること。ワイマール憲法で政権を得た後、ナチスは政治が宗教になった」とナチスの狂信的な独裁体制を評した田原氏。

 トーク後の囲み取材では、まさに今、問われている“政治と宗教”についての質問も飛んだ。安倍元首相襲撃について、田原氏は「警察が手ぬるかったね。本気で警護してなかった」と指摘しつつ「安倍さんは統一教会について(メッセージ動画で)あんなことを言うべきじゃなかった。問題があるのは分かっているんだから。安易だったと思う」。議論を呼んでいる国葬について聞かれると「国葬にするなら国会を開いて野党と話し合って決めるべきだったと思う。僕は反対じゃないんだけど、国会で決めなかったのは残念」と語り「安倍派のリーダーがいなくなり、それぞれがどこに引き抜かれるのか。そして、これから3年間選挙が無いから、議員が安心して派閥闘争ができるのも心配」と案じていた。

『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』は8月5日より公開。

Copyrighted Image