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シム・ウンギョン梨泰院事故を追悼 東京国際映画祭審査員を務め「前を向かなければ」

2022.11.02 Vol.web original

 

 第35回東京国際映画祭クロージングセレモニーが2日、都内にて行われ、コンペティション部門審査員を務めた韓国の俳優シム・ウンギョンが梨泰院雑踏事故を追悼した。

『新聞記者』(2019年)で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞し、近年は『七人の秘書』など、日本のドラマ・映画界でも活躍するシム・ウンギョン。

 セレモニーでは、最優秀女優賞と最優秀男優賞のプレゼンターを務めたシムは、受賞者の発表の前に10月29日に発生した梨泰院の雑踏事故の犠牲者を追悼。

 セレモニー後の記者会見で追悼メッセージを述べた思いを聞かれると、シムは「この話をすると雰囲気が重くなってしまうと思いましたが」と断りつつ「この東京国際映画祭の期間中に韓国で大変な惨事が起きてしまい、ニュースで情報がずっと流れ眠れない日々が続いています。亡くなった方やけがをした方が大勢おられ、その大半が10代から20代という若者で、いわば私と同世代。本当に言葉で表現できないほど胸が痛み悲しい気持ちでいっぱいです。なのでまずは事故で亡くなった故人の皆さんの冥福を祈りたいと思いました」と振り返った。

 さらにシムは「私は常々、自分の立場で何ができるかを考えています。今は非常に悲しいけれど、立ち上がって、物事がもっと良くなる方向に進むべきだと感じます。それができるのが映画の持つ力ではないか。愛と平和を伝えるメッセージを表現していく。これからも、つらいことがあっても前を向かなければと、この映画祭を通じて切実に感じました」と思いを語った。

 ジュリー・テイモアはじめ、世界の映画人とともに審査に当たったシム。フィルムメーカーたちをたたえつつ「私も審査員を務めたことで感じたことを生かし、これからもより広く芸術活動をし、探求し続ける人でありたいと思っています」と前を向いた。

 第35回東京国際映画祭コンペティション部門では、スペイン/フランス合作の『ザ・ビースト』(ロドリゴ・ソロゴイェン監督)が東京グランプリ/東京都知事賞はじめ3冠に輝いた。

東京グランプリは3冠の傑作『ザ・ビースト』第35回東京国際映画祭閉幕

2022.11.02 Vol.web original

 

 第35回東京国際映画祭クロージングセレモニーが2日、都内にて行われ、スペイン/フランス合作の『ザ・ビースト』(ロドリゴ・ソロゴイェン監督)が東京グランプリ/東京都知事賞はじめ3冠に輝いた。

『ザ・ビースト』はスペイン・ガリシア地方の村を舞台に、移住してきたフランス人夫婦と、村の有力者である兄弟との緊迫していく関係を描く作品。

 東京グランプリ/東京都知事賞、最優秀監督賞(ロドリゴ・ソロゴイェン監督)、最優秀男優賞(ドゥニ・メノーシェ)の3冠に輝いた『ザ・ビースト』ソロゴイェン監督もメッセージビデオで「複数も賞を頂けるなんてとてもうれしいです」と感激のコメントを寄せた。

 小池百合子東京都知事も「毎年新しい才能がここ東京から羽ばたいていること大変うれしく思います」と笑顔で東京都知事賞を授与した。

 コンペティション部門では審査委員特別賞に『第三次世界大戦』(ホウマン・セイエディ監督)、最優秀女優賞にアリン・クーペンヘイム(『1976』)、最優秀芸術貢献賞に『孔雀の嘆き』(サンジーワ・プシュパクマーラ監督)が輝いた。

 一般の観客からの投票で決まる観客賞は今泉力哉監督の『窓辺にて』が受賞。今泉監督は「私の作品は個人的な、とるに足らない問題を恋愛を通して描いてきました」と受賞を喜びつつ、主演・稲垣吾郎がコロナに罹患中であることを明かし、セレモニー後の会見では「たぶんスタッフから(受賞を)聞いて力になっているのではないかと思います」と稲垣を思いやった。

 Amazon Prime Video テイクワン賞は該当者なし。2年連続で審査委員長を務めた行定勲監督は、応募規定の変更が影響したことも考慮しつつ「次に長編映画を撮るべき才能を見いだせなかった。でも希望を見出せる作品もありました。Amazonスタジオは強じんな長編を作る才能を求めていますのでぜひ来年応募してほしい」とさらなる奮起に期待した。

 セレモニー後の記者会見で、コンペティション部門審査委員長を務めたジュリー・テイモアは「ハリウッドのような商業性の高い映画だけでなく多様な作品を集めてくれたこの映画祭に感謝したい。映画祭という場だからこその素晴らしい物語を紹介してくれた。多様な物語と出会える場は決してなくしてはならないと思っています」と、芸術性の高い作品からエンターテインメント大作までを紹介する東京国際映画祭の姿勢をたたえた。

3年ぶりレッドカーペットで二宮和也、戸田恵梨香、稲垣吾郎らがファンサービス! 第35回東京国際映画祭開幕

2022.10.24 Vol.web original

 第35回東京国際映画祭のレッドカーペットが24日、東京ミッドタウン日比谷の日比谷ステップ広場と日比谷仲通りにて行われ、3年ぶりとなるレッドカーペットセレモニーに国内外134人の映画人が登場した。

 新型コロナウイルス感染症対策のため中止していたレッドカーペットイベントが3年ぶりに復活。日比谷仲通りからステップ広場へ約165メートルのレッドカーペットが敷かれ、国内外の映画人が、クラウドファンディングで参加権を得た沿道を囲むファンにサインをしたり一緒に自撮りしたりと、ファンサービスをしながら歩く光景は、まさにコロナ前さながらの華やかさ。

 トップバッターで登場したのは『月の満ち欠け』の廣木隆一監督と大泉洋、柴咲コウ。大泉は「コロナもだいぶ落ち着いてきて、今回はたくさんの外国のお客様も来ているようで、かなり盛り上がるのでは。期間中、存分に映画を楽しんでいただければ」と挨拶。その後も豪華映画人が続々登場した。

 今年は日本映画3作がコンペに出品。『エゴイスト』からは松永大司監督と出演の鈴木亮平、宮沢氷魚、『窓辺にて』からは今泉力哉、稲垣吾郎、中村ゆり、玉城ティナ、『山女』からは福永壮志監督、山田杏奈、森山未來が登場。

 話題の新作が集うガラ・セレクションからは『あちらにいる鬼』の廣木隆一監督と寺島しのぶ、豊川悦司、広末涼子。寺島と広末はそろって和服姿で会場を魅了。『母性』からは廣木隆一監督とともに母娘役を演じた戸田恵梨香と永野芽郁が登場。戸田は裾の長いロングトレーンのドレス、永野は全身ゴールドのロングドレスと、ゴージャスな装い。

 日本映画クラシックス部門『DOOR』からは夫婦でもある高橋伴明監督と出演の高橋恵子が登場。

 TIFFシリーズ『ガンニバル』からは片山慎三監督と柳楽優弥、笠松将。ジャパニーズ・アニメーション部門『夏へのトンネル、さよならの出口』から田口智久監督と飯豊まりえ。

二宮和也、映画祭レッドカーペット“大トリ”に緊張「大所帯で歩くのかと思っていたら2人だった」

2022.10.24 Vol.web original

 

 第35回東京国際映画祭のオープニングセレモニーが24日、日比谷・宝塚劇場にて行われ、二宮和也、橋本愛やジュリー・テイモア率いる審査員ら豪華映画人が登壇し、映画祭の開幕を盛り上げた。

 オープニングアクトを務めたのは、宝塚歌劇のOG、柚希礼音、紅ゆずる、美弥るりか、七海ひろきの4人。映画原作の舞台『オーシャンズ11』の楽曲で華麗なパフォーマンスを披露した。

 2年連続でフェスティバル・アンバサダーを務める女優・橋本愛は「映画祭は、決まった場所で決まった時間に自分が迎えに行くことで映画と出会うという体験ができる機会。ぜひいろいろな映画と出会っていただければ」。

 コンペティション部門審査委員ジュリー・テイモア、シム・ウンギョン、ジョアン・ペドロ・ロドリゲス、柳島克己、マリークリスティーヌ・ドゥ・ナヴァセルも登場。

 審査委員を務めたテイモアは「今、世界はコロナや戦争などいろいろな形で分断されています。でもこのような映画祭で、私たちは創造性を共有できる。今、私たちに今一番欠けているものは、人やその場所に対する共感だと思います。その共感を映画祭を通して再び感じてもらえれば」と映画祭の意義を熱く語った。

 オープニング作品『ラーゲリより愛を込めて』の瀬々敬久監督と主演・二宮和也も登壇。二宮は「オープニングにふさわしい映画ができたと自負しています」と胸を張りつつ、レッドカーペットのトリを務めたことに「緊張しました(笑)。最後だから華やかにというか大所帯で歩くのかなと思っていたんですけど、今日来たら2人でした」と瀬々監督と2人きりだったことに苦笑。

 それでも「沿道に来ている人たちに声をかけていただいて、反対側で取材を受ける形が3年ぶりに戻ってきたんだなと」と復活したレッドカーペットに感慨を見せた二宮。「日本が作っている映画を見ると、やっぱりいいなと思える」と日本映画への愛を語りつつ「たくさんの国の素晴らしい作品が集まったお祭りです。いろいろな映画を一気に見れる期間なのでぜひ楽しんで」とアピールした。
 
 この日は岸田文雄内閣総理大臣もメッセージビデオを寄せ「映画祭を経て、東京が世界中の素晴らしい映画と人々をつなぐ場として更なる飛躍を遂げますように」と開幕を祝福した。

 第35回東京国際映画祭は10月24日から11月2日まで日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催。

橋本愛「映画界のハラスメントや労働環境についても語りたい」映画祭アンバサダー2年目に意気込み

2022.09.21 Vol.web original

 

 第35回東京国際映画祭のラインアップ発表会が21日、都内にて行われ、2年連続でフェスティバル・アンバサダーを務める女優・橋本愛らがゲストとして登壇。日本の映画界が抱える課題を意識しているという橋本が2年目の抱負を熱く語った。

 コロナ禍においても感染対策やオンラインを活用しながらリアル開催を続けてきた東京国際映画祭。今年は3年ぶりにオープニングのレッドカーペットを実施。また海外の映画人も多数参加。最大100名ほどの来日ゲストを予定しているとのこと。

 昨年に続きフェスティバル・アンバサダーを務める橋本は「とても光栄なこと。役目を果たさなければと背筋が伸びる思い」。

 一方で「昨年は、アンバサダーとしてどういうことを発信していけはいいのかと模索していた中で、自分のワクワクする興奮の方を発信していたような気がするんですが、今年は、2年連続ということで、もう少しできることはと考え、今の映画界に立ちはだかる課題ついても気持ちを話していければ」と真摯な表情。

 近年、課題として度々取り上げられる映画界のハラスメントや労働環境について橋本は「私も現場を経験して思うことがたくさんあった」と振り返り「一番感じるのは世代間の溝」と、ベテランと若手世代が互いの声を聞き合い「お互いが歩み寄ってもっと素敵なモノづくりの環境になれば」と期待。

 この日は、コンペティション部門に出品する今泉力哉監督(『窓辺にて』)、福永壮志監督(『山女』)、松永大司監督(『エゴイスト』)も登壇。

 質疑応答では、3監督もそれぞれの現場において労働時間やハラスメントに気を配りながらの作品作りを心掛けていると語り、橋本も「監督側の景色を知ることができてうれしかったです」と笑顔。「主演という立場だと、意見を言う機会を設けていただくこともある。その立場を生かして、自分以外の人への態度が違うのを目の当たりにしたり、そういう状況を見たときには、コミュニケーションを促していきたい」と意欲を語った。

 LGBTQへの理解といった社会的課題についても橋本は「知人で、ものすごく苦しんでいる人がいるのを見ているので」と明かし「歴史や伝統を守っていく姿勢は、それ自体は美しいし素晴らしいと思うんですけど、その過程でこぼれ落ちてしまう人たちはたくさんいる。そういう人たちの苦しみや悲しみに寄り添って、それでも生きていてほしいという気持ちを込めて作るのが映画や芸術だと思う。世界をより良くするお手伝いを、映画を通してできたら。せっかく世界に開かれるまたとない機会である東京国際映画祭を通して、日本の素敵なところと改善したいところを改めて見つめ直すきっかけになればいいなと思います」と思いを語った。

 この日は、華やかな映画祭の復活を予想させるラインアップを安藤裕康チェアマンらが紹介。オープニング作品に二宮和也主演、瀬々敬久監督作『ラーゲリより愛を込めて』。クロージング作品には、カズオ・イシグロの脚本で黒澤明の傑作を英国で映画化した『生きる LIVING』。

 コンペティション部門審査委員長には『アクロス・ザ・ユニバース』(2007)、『グロリアス 世界を動かした女たち』(2020)の映画監督・舞台演出家のジュリー・テイモア。審査員に、シム・ウンギョン(俳優)、ジョアン・ペドロ・ロドリゲス(映画監督)、柳島克己(撮影監督)、マリークリスティーヌ・ドゥ・ナヴァセル(元アンスティチュ・フランス館長)。

 また、過去にスティーヴン・スピルバーグ監督らが受賞した黒澤明賞が14年ぶりに復活する。

 第35回東京国際映画祭は10月24日~11月2日、日比谷、有楽町、丸の内、銀座地区にて開催。10月15日よりチケット一般販売開始。

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