スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。
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羽生に強力なライバル出現 チェンが4回転5回着氷
来年の平昌五輪のテスト大会を兼ねたフィギュアスケートの「四大陸選手権」(2月14〜19日、韓国・江陵アイスアリーナ)の男子で全米王者の17歳、ネーサン・チェンが307.46点で初優勝を果たした。
日本の羽生結弦はショートプログラム(SP)で3位と出遅れ、フリーで巻き返したが、303.71点で2位に終わった。
チェンは4回転ジャンプを5本成功させたのだが、4回転の5回着氷というのは国際大会初の快挙だった。今季はGPファイナルで羽生に次ぐ2位に入り、全米王者に続くタイトル奪取。平昌五輪で連覇を狙う羽生の強力なライバルへと名乗りを上げた。
羽生はフリーで競技中にジャンプの構成を変え、自身初となるフリーで4本の4回転を成功させたが及ばなかった。
羽生結弦が一足早いバレンタイン「恥ずかしいけど嬉しい」
2月に五輪で金メダル 12月にGPファイナル2連覇達成 羽生で始まり羽生で終わった2014年
年の瀬を迎え2014年のスポーツ界を振り返ってみる。2月の冬季ソチオリンピック・パラリンピックでは男子ジャンプの葛西紀明が41歳にしてラージヒル個人で銀メダルを獲得、男子フィギュアの羽生結弦が金メダルを獲得した。葛西を表す「レジェンド」という言葉は年末の新語・流行語大賞でトップ10に選ばれるなど大きなインパクトを残した。
メジャーリーグではヤンキースに移籍した田中将大が大活躍。7月に右肘靭帯の部分断裂で離脱したものの、それまで12勝をあげ日本一の投手の実力を示した。田中が春季キャンプ中に発したという「ここには、あこがれで来ているわけではない。勝負に来ている」という言葉が改めて思い出される。
日本のプロ野球に目を移すと、日本ハムの大谷翔平が2年目にして大きな進化を遂げ、二刀流を確立。投手としては11勝、打者としては10本塁打と投打に渡ってチームのクライマックスシリーズ進出に大きく貢献した。
6月にはサッカーのワールドカップがブラジルで開催された。大きな期待を持って送り出されたザックジャパンは1勝もあげることなくグループリーグで姿を消した。
夏にはテニスの錦織圭が全米オープンテニスで、4大大会シングルスでは男女通じて日本人初の決勝進出。順調に世界ランキングを上げた錦織は11月の「ATPワールドツアー・ファイナル」にもアジアの男子として初出場。準決勝に進出した。
しかしウインタースポーツシーズンになり、主役の座を奪い返したのが羽生。
11月のグランプリ(GP)シリーズの中国杯でフリー演技直前の練習中に中国の閻涵と激突し、負傷したまま出場し物議をかもした。羽生は続くNHK杯の会見で「実際にスポーツは自分の限界に挑んでいるわけで、ある意味では死と隣り合わせ。はっきり言って僕が衝突した事故というのは、1秒にも満たないくらいの前後の時間の差があったとしたら、僕はいなくなっていたかもしれない」としたうえで「あのときに僕の意志を尊重してくれたブライアンと連盟にとても感謝している」と語った。そしてコンディションが整わないまま出場したNHK杯でGPファイナルの出場を決めると、12月11〜14日に開催されたGPファイナルでは見事に2連覇を達成した。
羽生に始まり羽生に終わった2014年のスポーツ界だった。
レゴで1年振り返る お台場にアスリートの”レゴ板”
2014年”変わり雛”1位は大活躍の羽生&錦織
毎年、その年の象徴的な話題をモチーフにしたひな人形を製作している東玉が9日、今年の変わり雛を発表した。
一般公募で集まった中から上位5位のモチーフが決定。5位は、消費増税の話題に今年大ブレイクしたお笑いコンビ・日本エレキテル連合を絡めた「ダメよ~ダメダメ 消費増税雛」。4位は高円宮家の次女・典子さまと出雲大社禰宜の千家国麿さんの結婚をモチーフにした「二千年の時を超え 日本神話からのご縁雛」。3位は、デング熱騒動の話題に大流行したキャラクターを絡めた「ヨーでる、ヨーでる デング熱騒動雛」。2位は、ノーベル物理学賞受賞者3名を登場させた「ノーベル物理学賞 青色LED雛」。そしてダントツの投票数で1位となったのが、ソチ五輪金メダリストの羽生結弦選手と、アジア人初の快挙を達成したテニスの錦織圭手の躍動感あふれる姿を人形にした「世界を魅了 男子躍進雛」。
騒動あり、喜ばしいニュースありの2014年の変わり雛。販売はされず、10日から2015年3月3日まで、さいたま市岩槻区の東玉総本店にて展示される。
羽生 NHK杯4位もファイナル出場つかむ
フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第6戦、NHK杯が11月28〜30日の日程で開催された。
中国杯のフリー演技直前の6分間練習で中国のエン・カンと激突し負傷しながらも強行出場した羽生結弦の動向が注目されたが、ファイナルへの出場がかかった大会ということもあり、出場に踏み切った。
羽生は27日の公式練習の後の会見で「ご心配をおかけしたことを深くおわびします」と謝罪し、大会への抱負を語った。体調は万全にはほど遠いことからSPもフリーも演技構成のレベルを落としての出場となった。28日のショートプログラム(SP)では4回転の転倒などジャンプにミスが出て、78.01点の5位に終わり、「やってしまったなという感じ。すごく悔しい」と語った。29日のフリーでも冒頭で予定していた2種類の4回転ジャンプはともに不発、後半の3連続ジャンプもミスして、151.79点。合計229.80点で4位に終わり「けがの影響とかじゃなく、これが僕の実力」と語った。自力でのファイナル出場は3位以内が条件だったが、出場枠を争っていたアボットが5位に終わり、羽生がファイナル進出を決めた。
男子は村上大介が合計246.07点でグランプリシリーズ初優勝。女子は米国のグレーシー・ゴールドがGP初制覇を果たした。
なお女子の村上佳菜子はSPで3位だったものの、フリーではジャンプで跳びすぎ違反を犯し、まさかの108.71点で総合4位に終わり、ファイナル進出を逃した。結局、日本女子は14季ぶりに1人もファイナルに進出することができなかった。
グランプリファイナルは12日からバルセロナで開催される。