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【9月は認知症月間】今すぐ読みたい話題の本『マンガ 認知症【施設介護編】』

2024.09.15 Vol.759

 毎年、9月21日は認知症への理解を深める「世界アルツハイマーデー」。この日を中心に9月を「世界アルツハイマー月間」と定めてさまざまな取り組みが行われている。日本では今年1月に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法(認知症基本法)」において、9月が「認知症月間」、9月21日が「認知症の日」と定められた。

 そんな中で、累計10万部を突破した『マンガ 認知症』シリーズの最新作『マンガ 認知症【施設介護編】』(ちくま新書)が発売された。幼い頃から優しかった祖母・婆ルソンの認知症が進行し、母ルソンと2人で介護に取り組んでいるマンガ家のニコ。在宅介護が限界を迎え、婆ルソンを施設に入居させたものの、認知症の悪化と共に施設からの呼び出しが増えていき……。

 2020年に発売され、認知症介護当事者の視点によるマンガと認知症の心理学の専門家・サトー先生による解説を組み合わせ、“下半期1番売れた認知症の本” となった前作。本作では新たに施設介護のプロ・コジマさんが加わり、「どの施設が合っているの?」「施設との付き合い方が分からない」など、認知症の施設介護にまつわる不安を解消する。

「クレイジージャーニー」丸山ゴンザレスが綴る “タバコの煙のあった風景”『タバコの煙、旅の記憶』

2024.05.26 Vol.758

今すぐ読みたい話題の本

 昨今の状況では信じられないことだが、かつてどこでもタバコが吸えた時代があった。そんな時代、愛煙家の旅の思い出はタバコの煙と共にあった。

 危険地帯や裏社会の取材を得意とし、紀行バラエティー番組「クレイジージャーニー」で知られるジャーナリストで編集者の丸山ゴンザレスが、タバコとベイプのポータルサイト「ケムール」の連載「煙のあった風景」に加筆修正し、書き下ろしを加えた一冊が本書だ。

 フィリピンの銃密造村で、バンコクの日本人宿で、ニューヨーク最安の宿で……。著者が体験した旅のエピソードを拾い集め “もう二度と会うことのない人たちや今では存在しない場所も含めてタバコの煙のあった風景” を描写。タバコを吸う人も吸わない人もなぜか郷愁を誘われる。

2月は黒人歴史月間!今すぐ読みたい話題の本『黒人の歴史 30万年の物語』

2024.02.12 Vol.757

 毎年2月はアメリカとカナダにおいて「黒人(アフリカ系アメリカ人)歴史月間」ということをご存じだろうか。

 1926年に米ハーバード大出身で歴史家のカーター・G・ウッドソン博士が創設し、奴隷解放の父と呼ばれるエイブラハム・リンカーンと、奴隷制廃止運動家のフレデリック・ダグラスの誕生月である2月にアフリカ系アメリカ人の歴史やその功績を称えるものだ。

 そんな今月にぴったりの『黒人の歴史 30万年の物語』(河出書房新社)は、2021年に英DK社から刊行された書籍の日本版。アフリカの歴史で最も強力な帝国は? ジャズの先駆者は? そして「Black Lives Matter」運動のきっかけは? 280点超の地図や図版を収録し、アフリカ系アメリカ人の歴史を総合的に網羅した日本で唯一の本書は必読の一冊だ。

ケニア発アパレルブランド「ラハ・ケニア」の起業ストーリー『踏み出す一歩は小さくていい』

2022.07.03 Vol.751

 大学在学中の就職活動で60社すべて不採用となった著者。その後、介護職、ニート、教職を目指すも断念、丸の内でOL生活……。そんな彼女の背中を押してくれたのは、結婚を期に夫と移住したケニアで人々が身にまとう、カラフルで個性的なアフリカ布だった。

 現地でアパレルブランド「RAHA KENYA(ラハ・ケニア)」を立ち上げた河野理恵さんの起業ストーリー。SNSでのテスト販売からトライ&エラーを繰り返し、次から次へと起こる問題に悪戦苦闘する。社会課題や廃棄問題にも安易な答えを出さず〈私が願うのは、支援ありきではなく、ラハ・ケニアの商品を純粋に「かわいい」とか「品質がいい」と思って買ってくださること〉と貫く姿勢もいい。

「RAHA KENYA」のブランドコンセプトは「一歩踏み出すきっかけの」。この本もアフリカ布のように洋服が好きな人、アフリカに興味がある人、起業を考えている人、何かを頑張りたい人の背中を押してくれるだろう。税込1540円。

今すぐ読みたい話題の本『物語 ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国』

2022.04.24 Vol.750

スキタイから独立まで…ウクライナの歴史を紐解く

 2月24日に開始されたロシアによるウクライナへの軍事侵攻がいまだに続いている。ウクライナとロシア両国に対する関心が高まりを見せ、関連書籍を集めた特設コーナーを設ける書店が増えている。

 中でも売れているのが、2002年刊行の元駐ウクライナ大使の黒川祐次氏による『物語 ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国』(中公新書)。1996年に駐ウクライナ大使に任命された著者は、農業国のイメージで赴任したウクライナが実際に暮らしてみると〈複雑で非常に懐の深い大国〉と感じるようになったと述べる。

 スキタイ、キエフ・ルーシ、コサック、ロシア・オーストリア両帝国の支配、ソ連の時代を経て1991年の独立までがまとめられ、同国の将来性についても〈ウクライナがどうなるかによって東西のバランス・オブ・パワーが変わるのである〉と予見している。

〈日本においてもウクライナが「発見」されるべき〉として書かれた本書は、今こそ日本の読者にも「発見」されるべきだろう。

EXIT兼近、初の小説『むき出し』は「人に優しくなれる本」

2021.10.08 Vol.746

 お笑いコンビ「EXIT」の兼近大樹が初の小説『むき出し』(文藝春秋)を27日に出版することが発表された。兼近は自身のツイッターで「人に優しくなれる本になっていて、本を普段読まない人にも読んで欲しいし、本が好きな人はいろんな意図を読み取りながら、主人公の刹那的思想を脳にぶち込んでくだされ」「こんな日が来る事を夢みて生きてました。生きとし生けるものに感謝。」と報告。芥川賞作家でお笑いコンビ「ピース」の又吉直樹は、兼近の作家デビューに「優しい眼差しが 純粋な言葉が 誠実な覚悟が 重要な小説を生んだ。」とコメントを寄せている。

 芸人の枠を超えて幅広く活動する兼近。どのような小説なのか発売が待たれる。

【今すぐ読みたい話題の本】柳美里『JR上野駅公園口』英語版が「全米図書賞」の快挙

2020.12.31 Vol.736

 アメリカで最も権威のある文学賞「全米図書賞」の翻訳文学部門を、柳美里著『JR上野駅公園口』(河出書房新社)の英語版『Tokyo Ueno Station』(モーガン・ジャイルズ訳)が受賞した。翻訳文学部門は2018年に新設され、多和田葉子著『献灯使』の英語版 『The Emissary』(マーガレット満谷訳)が日本の文学作品として36年ぶりに受賞。今回の受賞はこれに続く快挙だという。出稼ぎのために上野駅に降り立った福島県相馬郡(現・南相馬市)出身の男の生涯を通じ、高度経済成長の光と闇、社会の片隅に追いやられた人々を描く。受賞直後に文庫版がAmazon.jpの書籍総合ランキング1位を獲得するなど話題を呼び、発行元は文庫版と単行本それぞれ緊急重版を決定した。

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